前々回記事ではキネティック・サスのシステム概要を、前回記事ではそのメリットの総論を書きましたが、
キネティック社からのプレゼンを受けてスバルとしては次のステップ、
ようはスバル車にキネティック・サスを搭載した試作車を作って先行開発をしましょうとなりました。
すると問題となるのはスバル車の中でもどの車種にキネティック・サスを搭載するかです。
あくまでも先行開発段階ですから具体的に量産するとしたらどの車種にするかとは別なんですが、
かといってまったく無関係というわけにもいかず、ある程度は量産を見据えての判断となります。
候補としてというか、考え方としては以下の3つくらいでしょう。
①フォレスター:やはり悪路走破性をメインにして操安性・乗り心地の底上げを狙う。
②インプレッサWRX:スポーツ性というか“走り”、特に速く走ることをメインに狙う。
③レガシィ(orアウトバック):全体的な操安性・乗り心地の底上げとともに上質な走りを狙う。
で、個人的な趣向というか好き嫌いでなくスバルが目指すべきは①か③だと考えていたんですが、
再三ここで書いているように当時は「プレミアム・ブランドを目指す」なんてほざいていた時期ですし
その中でも「走りのスバル」とか言って、それもWRCでの戦果と共にNBR世界一とか言ってたので、
結局は②のWRXに搭載して行きましょうということに決まります。
まぁ、このキネティック・サスの先行開発についてはあくまでも設計部門と技術開発部門が旗振りで
実験部門であるボクはその操安乗り心地の性能部分の評価をするという立場であったので、
本件についての決定権もなければ、大した発言権もなかったので、その決定を渋々受け入れただけです。
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