スバル

スバル車関係のネタ.たまに○秘ネタもあるとかないとか.

新Wウィッシュボーン・リアサスのマガジンXの評価は?

スバル・カテゴリーの前回記事で、NPFとして新型ダブルウィッシュボーンのリアサスの先行開発の話を
書きましたが、今回は予告通り、その後にそのリアサスをベースに用いて量産開発となったスバル車の
雑誌マガジンXの覆面座談会の内容を紹介していきましょう。

最初に書いてしまいますが、そんなに良い評価はされていません。
まぁ、覆面座談会では良いことが書かれることはどんなメーカーのどんなクルマでも滅多にないのですが。
でも、(3代目)レガシィのマルチリンク・リアサスはかなり辛辣な評価なのをこの記事で紹介したわけで、
ボク自身が先行開発に関与したWウィッシュボーンについてスルーしちゃうわけにはいかないですよね。

 

さて、この新型Wウィッシュボーンのリアサスを初めて搭載したのは3代目インプレッサ(ZR1)です。
前回記事で書いたように、ボク自身はこのZR1の初期構想時(55C)にこのリアサスを推したけど、
それ以外ではこのZR1の開発には何ひとつ関与していませんので、あくまでも先行開発しただけですが。
※スバルとしてはトライベッカB9が最初ですが、あれは別物で失敗作ですし、国内未発売でした。

2007年11月号のマガジンXの「マガジンX流新車インプレッション ざ総括。」に
その3代目インプレッサは登場しています。
ただし、WRX STIは遅れて発売されたこともありいわゆるノーマル系のみの評価となっています。

それでは、リアサスに関係する部分を見ていきましょう。

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NR1の先行開発としてのNPFのリアサス新規開発

前回記事では「酔い難い3rd席」の研究で少し道草を食ってましたし、ずいぶんと間があきましたが、
今回からはまたNR1に戻って、というよりNR1の先行開発としての
NPF(ニュープラットフォーム?)開発について紹介していくことにしましょう。
先ずはそのNPFの新リアサスペンションの先行開発の話です。

なお、この新リアサス開発だけで専用の先行開発コードがあったはずだけど、もう忘れました(汗)

どうして、NR1、NPF、先行開発コードとややこしくなっているかというと
量産車開発と先行開発では税制上の取り扱いが異なっていたりして
予算や工数をそれぞれ分離する必要があるから、それぞれ便宜上分かれているということです。
なので、実質的にやっている人もやっていることもごちゃまぜ状態なんですけどね。

ちなみに、このNR1、NPFの操安乗り心地に関連した業務は、
その他の幾つもの業務も兼任してやっていた担当(係長相当)のボクと
もうひとり若手の担当員O氏とだけでやっていました。

先行開発を重視する動きが少し出てきたといいつつも、当時のスバルの操安乗り心地では
21Z(4代目レガシィ)のサスチューニングに課長以下4人も5人もかかりっきりだったのに、
スバルの将来を左右する次世代プラットフォームの開発には1.5人分の工数もかけていないし
この新リアサス先行開発に限れば1.0人分にも満たないという、アンバランスさだったわけです。

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「酔い難い3rd席」の研究はやっつけ仕事だったけど……

前回記事のNR1の操安乗り心地の目標性能の中で出てきた「酔い難い3rd席」というワード、
本日の記事ではその「酔い難い3rd席」の研究について、触れてみたいと思います。

「〇〇の研究」などと題するとなんだか凄そうにも聞こえるかも知れませんが、
まったく大した内容ではなくやっつけ仕事みたいに、ちゃちゃっと資料をでっちあげて、
確か社内の先行開発発表会みたいな場で、発表=プレゼンしただけのことです。

その時のパワーポイントの資料が手元に残ってますが、総ページで20枚ほどの簡単な資料です。
それによると正式なタイトルは「車酔いし難い多人数乗り車 ~動揺病の研究~」となってます。
そうそう、車酔いのことを動揺病って言うんですよね。病気なんですよ、あれは。

 

なんで、動揺病の研究をすることになったのか、実はきっかけははっきりと覚えていないんですが、
正式に業務として上司から命令されたということではなかったはずです。
というか、これに限らず、そのころ上司から疎まれていたボクは面と向かって
上司から具体的な業務を命じられたという記憶はほぼないんですよね(汗)

NR1で3rd席のある多人数乗り車が企画・構想されて、みずから酔い難いものにすべきと考えたのか、
あるいはNR1のPGM(プロジェクト・ゼネラル・マネージャー、実は2度上司にもなった I氏)から
雑談交じりに酔い難くしてくれとか言われたのか、曖昧ですけど、なんかやる羽目になったんですね。

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幻の(キテレツ車?)NR1の初期開発にも携わった

少し間が空いてしまいましたが、前回までの記事のように、
GMとの共同開発車で後にスバル単独開発でB9トライベッカとなったSGX→00Xについて、
ボクは開発の初期段階に携わったのですが、台車完成後に業務から外れ、
結果的にいろいろと後悔・反省するところがあったことを書きました。

そして、00Xから外れてもAWD関連など様々な業務を並行して受け持っていたのですが、
ちょうど00Xと入れ替わるような形で、NR1という車種の開発の初期段階に携わることになります。
2003年初頭ぐらいからこのNR1というものの話が持ち上がってきたと思います。

最初から開発符号が付いていましたけど、開発期間は4年とかよりもっと長い計画だったはずです。
というより、プラットフォームを新開発してまったく新しくグローバル展開する車種として企画され、
そのプラットフォームおよびパワーユニットもフロント&リア・サスも新規開発だし、
その他諸々の新規開発機構やアイテムが盛りだくさんで、
それらの先行開発を終えてから、NR1という車種開発に実質移行するという気の長い話だったです。

この気の長い話というのは揶揄してるのではなく、きちんと先行開発してから量産開発するというのは、
今でこそスバルでも当然のことと理解しているでしょうが、当時としてはそうなっておらず、
ボクはそう主張してたけど、社内的にはやっとそんな考えも芽生えてきたという意味で、画期的でした。

NR1のプラットフォームの先行開発部分は、NPF(ニュープラットフォーム?)と呼んでいたので
正確にはNR1の開発の初期段階とNPFという先行開発の両方に携わっていたことになります。
もちろん、同時並行してAWDなどの他の先行開発もやっていたわけですが。

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SGX→00Xの台車段階までは後悔・反省しかない

前回記事では、2000年の年末ごろから企画・構想がはじまった
スバルとGMの共同開発車である仮称SGXの操安乗り心地の目標性能について、
GMとのすり合わせに大変な労力を費やすことになって、テンテコ舞いだったことを書きました。

このSGXの当初企画の発売予定日はもう失念したし、史料も持ち合わせていませんが、
その後にスバルだけでB9トライベッカとして発表したのが2005年1月ですから、
結果的には企画段階から約4年の開発期間を経て発表・発売に至ったことになります。

この時代のスバルでは、通常の新型車は4年ほどの開発期間をかけていたので
SGXが特に短かったわけではないのですが、それまでに経験のない3列中型SUV、
新規(一部大幅改修)のプラットフォーム、新開発リアサスペンション、
アメリカ工場のみでの製造などの要件を鑑みると、かなりの短期間開発ということになります。

それまででは、新開発のサスペンションなどの場合には、サスペンション開発だけの先行台車を作り、
基本的性能や安全性を確認してからその車種の台車を作る手順を踏んでいたのですが、
SGXではその手順を踏む時間もなくて、いきなり台車製作へと進んでいくことになります。

なお、当初は当時のレガシィのマルチリンク・リアサスを流用する案もありましたが
3列乗車のSGXでは強度的に成立しないことが判明して、新開発リアサスとなりました。
個人的にも、あのマルチリンク・リアサスは根本的にダメダメなので流用しないで正解と考えましたが
それでも全く新しいリアサスを短期間で開発すのもかなりリスキーだなと痛し痒しでしたね。

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GM共同開発車SGXの目標性能=VTSすり合わせ

前回の記事では、2000年の年末くらいからGMとの共同開発となる仮称SGXについて
その企画概要とそれに基づいてボクが操安乗り心地の目標性能を設定したことなど書きました。

ただし、GMとの共同開発車であるからにはGMと目標性能のすり合わせが必要ですから
本日はその辺のことを書いて行こうと思います。

 

ところで、前回記事でも、それ以前の記事でも折に触れたように、
スバルでは実質的に各実験部署の担当員が目標性能を設定しています。
もちろん、上司の承認を得て、実験総括部という部署でまとめられ、実験総括部長と
商品企画部門のPGM(プロジェクトゼネラルマネージャー)の承認を経て最終決定されるのですが、
細かな目標性能の項目やその数値は各実験部署の担当員が設定して、ほぼそのまま決定されます。

そして、その目標性能を達成する責任は、図面化する設計ではなく実験部署にあるとされています。
自分で目標設定して、自分で達成するという高尚な? いや不思議な開発手順となっています。

普通の商品開発の流れだと、商品企画部門が目標設定して、設計部門がそれを実現するよう図面化し、
それを実験部門が目標性能を満足しているかを確認して、開発が完了するのが一般的でしょうけど、
いろんな理由や経緯によって、スバルではそんな開発手順になってしまっていたんですよね。

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GM共同開発車SGX→00X=トライベッカの初期開発

2000年2月にレガシィ系の操安乗り心地・実験部署から突如、
新設のAWD-CoEという部署に異動になったけど、数ヵ月で分解・崩壊し、
その後2000年10月頃からボクは歓迎されてない操安乗り心地・実験部署に出戻りとなり
同時にSKC勤務となって、AWD関連の基礎研究・先行開発を行なうことになったわけです。

まぁ、AWD関連をやりはじめたと言っても、建前上は操安乗り心地に関する実験評価だけですが、
何故か実験評価全体のまとめ役みたいなこともやっていたのも事実です。
一方で、AWD関連でない仕事もどんどんと舞い込んできて、仕事の内容は多岐に渡っていきます。
その辺のことは、大雑把にはこのSKC勤務中に何をしたのか、その(2)、その(3)で書いてます。

そして、前回までの記事でこの時期のAWD関連の仕事の話はだいたい書き尽くしたので、
今回はタイトルにも書いたようにSGX、その後00Xという開発符号が付いて
最終的には、スバルB9トライベッカとして発売された(日本では未発売)車種の
最初の段階に携わっていた話を書いてみようと思います。

 

まず、スバルとGMの混合=クロスオーバーなのか両者の掛け算なのか分かりませんが
まぁそんなような意味合いで仮称でつけられた開発符号がSGXです。
簡単に言えば、スバルとGMの共同開発車ですね。

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TVDの評論家試乗の評価とプロモーションビデオ

前回記事で、ユニシアジェックス(UJ)のYMGから、スバルのTVDというものとなり、
ボクの発案の制御ロジックを組み入れてそこそこの性能のモノになったということを書きました。
まぁ、量産化となると品質確保やコストなどの面で難しかったでしょうけど。

それで、どういう経緯だかイマイチ分からなかったのですが、役員の目に留まったのか聞きつけたのか、
急に自動車評論家に試乗させようとか、プロモーションビデオを撮影しようという展開になります。
本日はその辺りの事を記事にしようと思います。
というか、前回そういう宣言をしたので、その通り記事にしますね。

 

まず、その役員・H副本部長がどういう意図で急にTVDを取り上げようとしたのか謎ですが、
社内的なアピールや権力争いみたいなのが背景にあったのか(H副本部長とT課長もいがみ合ってたし)
あるいは株主に対する何かの説明に使おうとしたのか、よく分かりません。

少なくとも対外的におおっぴらにするような段階でもなかったので
お客さんやスバリストや一般の人たちにアピールするためではなかったことは明らかです。

なので、自動車評論家に試乗してもらうのも、大々的に試乗会を開催したのではなく
2名の評論家にそれぞれ別々の時にSKCにて試乗したもらっただけです。
おそらく、謝礼を払って、評価・助言をもらうという形だったのでしょう。

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UJのYMG→TVDはまずまずに仕上がったが……

21世紀初頭のスバルのAWDの先行開発などについて書いてきましたが
今回紹介する左右トルクベクタリングがいちおう最後のアイテムとなります。

この記事などで何度もAWDの前後トルク配分なんてのはハンドリングには大した影響はなく
ただ前後輪どちらが先に空転しはじめるかだけの問題だし
空転させてドリフトコントロールするには前後トルク配分ではなく前後差回転が重要だよと書きました。

一方、左右デフ(フロント/リアデフ)は差回転制御よりトルク配分が有効だとこの記事で書きました。
左右でトルク差があれば、それが直接、車両にヨー運動(向きを変える運動)を起こさせるからです。
そこで、左右トルクベクタリングという発想が生まれてきます。
戦車などの無限軌道(クローラー)の車両が向きを変えるのと力学的には同じことですね。

三菱ランサー・エボリューションのAYC(Active Yaw Control)が有名で
ホンダもATTSとかその後も似たようなのを出してた気もしますが
ちゃんと調べて書くのも面倒なので、まぁこのくらいにしておきます。
ただ、これらは本当に左右の駆動力そのものを変えているのではなくて
左右の回転数を強制的に変えて駆動力配分が不定になって
結果的に駆動力配分が変わっているというモノです。

以前に書いたように、どうしても半クラ状態で制御しなければならないので構造的に無理があるし
滑らかさを欠いたり、ドライバーに違和感を抱かせるようなモノとなってしまいがちです。
まぁAYCなんかはその無理矢理感がかえって面白さを生んでいるとも言えなくはないですが……

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プロドライブのATDというAWDシステムを評価した

このスバルカテゴリーでは、最近は、21世紀初頭のスバルのAWD関連開発について書いていますが、
新ACT-4制御、そしてボツになった新型VTDと書いてきましたので、
今回はハイパースポーツ用というかまぁインプレッサWRX狙いのAWDの先行開発のひとつとして
プロドライブ社から提案されたATDというAWDシステムについての話を書きましょう。

なお、プロドライブ社とはまぁ業界人やスバル好きの人なら誰でも知っているであろう
スバルが本格的にWRC(世界ラリー選手権)に参戦していた頃のパートナーであった
というよりラリー参戦の主導権を握っていて
プロドライブがなかったらスバルのWRC本格参戦・チャンピオン獲得は絶対になかったであろうという
イギリス本拠地のモータースポーツ・コンストラクターおよび参戦チームですね。

ただ、モータースポーツだけでなく、アフターパーツなどの開発・販売もしていますし、
それだけでなく自動車メーカーに売り込むような技術開発などもしている企業です。
今回、記事にするATDだけでなくAMT(自動変速MT)などもスバルに提案してきていました。

内部の組織的にもモータースポーツ部門とそれらの技術開発部門とは
かなり線引きされて別々の組織として存在しているという印象でした。
もちろん、それらの中からモータースポーツに応用できたり
逆にモータースポーツの技術からのフィードバックなどもあったのでしょうけど。

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