新書「日本の自然葬」

講談社現代新書「日本の自然葬 風葬・土葬から樹木葬・循環葬まで」高橋繁行著を読みました。
前々回紹介の「棺桶まで歩こう」、前回紹介の「人は生きてきたように死んでいく」に続いて、
死んだら埋葬されるということで、、、という繋がりでもないですし、
とうとう死を覚悟したわけでもないですが、
興味本位で、あるいはちょっぴり怖いもの見たさ的な感覚で読んでみました。
まぁ、別に怖い話ではないのですが、なんとなくタブーな話題というイメージがありますしね。
本書の「はじめに」は次のような書き始めとなっています。
(以下引用)
この本は、日本の自然葬の代表的な葬地を訪ね、現状を聞き取り、事実を確かめル
ポルタージュした弔いの記録である。
沖縄の風葬、アイヌの土葬、一九九〇年代に始まった散骨、樹木葬。そして最後に、
最近生まれたばかりの自然葬、「循環葬」を取り上げた。土に還ることを主眼におい
たため、水葬や鳥葬は取り上げていない。 (引用終わり)
沖縄というか琉球にしろアイヌにしろ縄文文化を受け継いできているところが多く、
埋葬文化についても根っこで繋がっているところが多いのだろうと思いますが、
それでも風土的な地域差もあるのでそれぞれに特有の埋葬文化が育まれてきたのでしょう。
そういう何千年あるいは1万年以上の伝統がある埋葬文化が現代にも残っていることと、
近年新たに始まった散骨とか樹木葬とか循環葬(?)とか同列に語られているのは
少し違和感があるというか、少しモヤモヤっとしたのが正直な印象です。
あるいは、ボク自身が琉球やアイヌにルーツを持たない(特に意識していない)人間なので
そのような伝統文化にもとづく風葬・土葬には直接的には関係しない傍観者的立場なのに対し、
散骨、樹木葬、循環葬などについては少なくとも一度はそういうのもアリなのかもと
ふと考えたこともあるわけで、
そこには前者と後者はまったく別次元のものという思考があるからなのかもしれませんね。
少し面白いというと不謹慎に聞こえますが、気になったことなどを紹介してみましょう。
(以下引用)
沖縄本島とオウ島は潮の満ち引きをきっかけに繋がってしまうことがあるという。
小舟で死体を運べるほどの距離だった。実感として、オウ島=あの世と、沖縄本島=
この世の存在はそれほど近かったといえる。 (中略)
面白いのは、「青島」の「青」についてである。実は青という色名は、沖縄では「黄
色」のことだった。驚いたことに、黄色という色は、最近まで沖縄にはなかったとい
うのである。 (引用終わり)
勝手な連想ですが、沖縄の風葬は遺体を洞窟など置いて自然に腐敗するのを待ち
その後に洗骨するわけですが、なんとなく記紀の伝説にある
「イザナギが亡き妻のイザナミに会うため黄泉の国へ行く」とかの話を彷彿させますし、
黄泉の国の黄色などとも繋がりがあるのかないのか……なんて考えちゃいますね。
ただ、本書はそういう視点で書かれているわけではないですから
これ以上にそこに踏み込んだ展開にはなっていきませんけどね。
次は一転して著者の体験談なんですが、なかなか生々しい話です。
(以下引用、改行位置変更)
実はここまで黙っていたが、私は二十五年前、散骨したことがある。年上の友人O
さんが亡くなり、いっしょに看取りをした友人の女性が、Oさんの遺骨を台所のミキ
サーであっという間に砕き、その骨を桜咲く百箇日の晩、近所の川に撒いた。
(引用終わり)
法的には散骨は条件さえ整えば認められているそうなのでいいんですし、
ちゃんと火葬された遺骨ならなおさらだとは思いますが、
「台所のミキサーで……」というのがなんとも生々しいですなぁ。
遺骨は汚いものでも穢れたものでもないことは頭では分かっていますけど、
でもつい先日、スムージーを作って飲んだそのミキサーで遺骨を砕いたのか? とか
その後もそのミキサーでトマトジュースを作って飲むんですか? とか考えるとシュールですね(汗)
最後に循環葬とはなんぞやという話を紹介しておきましょう。
(以下引用)
散骨でも樹木葬でもない、新しいタイプの自然葬の話をしたいと思う。この葬送法
を「循環葬」という。遺骨を栄養分として最も効率よく利用する埋葬法で、遺骨を埋
葬した森が、百年後もなお豊かな森としてあり続けるのを目指すという。(引用終わり)
なんとなく分かったような、でも散骨や樹木葬と決定的な違いは何かというと少し曖昧に感じます。
散骨や樹木葬でもある意味では自然に還るわけですが、
より自然に還ることを優先するのが循環葬ということになるのですかね。
例えば分解する微生物は地表近くに多いので循環葬は浅く埋めるけど土葬は2m以上掘るとか
逆に土の上に散骨するのでは白く残るし分解されにくいといったことがあるようです。
まぁでも骨以外では不自然に焼いちゃうわけですから、遺骨だけで循環葬っていっても……
という気持ちにならないわけでもないですが。
かといって、やはり焼いちゃった方が衛生面とかいろいろ考えると世話ないんでしょうしねぇ。
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