BLUE BACKS「手術はすごい」

講談社BLUE BACKS「手術はすごい」石沢武彰著を読みました。
BLUE BACKSというと科学モノ、数学・物理・化学モノが多くて、
横書き・左開きのものが多いイメージを持っていますが、
本書はタイトルからして少し異質な感じがして、逆にそれが面白そうだなと思い買ってみました。
といっても2025年1月初版発行なので、買ってすぐに読みはじめたわけではなかったんですけどね。
著者の石沢氏は帯にも書いてあるように消化器外科医とのことです。
なので、本書における“手術”とは基本的に消化器の手術に限っての内容になっています。
というのもあまり理解してなかったので、もう少し広い範囲の手術を期待していたボクは
少しだけアレッとなってしまったんですが。
本書の「はじめに」でもちゃんとこう書いてありました。
(以下引用)
本書では、数ある外科の専門領域の中から、「消化器の手術」に焦点を当てます。虫垂炎や
胆石症、あるいは「がん」の治療として、私たちが手術を経験する確率が最も高い分野です。
(引用終わり)
なお、ボクは60ウン年生きてきましたが、たぶん過去に2回だけ手術をというものを受けてます。
1回目は幼稚園児の頃に扁桃腺摘出手術を受けました。
けど、これは消化器外科ではなく耳鼻咽喉外科になるんでしょうね。
2回目は中学生の頃の右ひじの離断性骨軟骨炎(いわゆる野球肘、実際はハンドボールだけど)の手術で
これは整形外科ですね。
だから消化器外科の手術は幸いなことに未経験となります。
できればこのまま一生、腹とかにメスは入れられたくはないですし
特にがんについてはできるだけ切除手術はやりたくないという気持ちですが、
こればっかりはどうなるか状況次第というか運次第というところもありますからねぇ。
その手術、さらにはがん摘出手術について著者は次のようなことを書いています。
(以下引用) 手術という治療のカードは「それ
しか方法がなく」、かつ「十分な勝算が見込める」時に限り、やむなく切る「ジョーカー」だ
と言えます(図1-2)。外科医は「すぐに切りたがる」人種だと思われているかもしれません
が、私たちも決して無理な手術はしたくないのです。 (中略) かつては、たとえ勝算が低
くても、外科医が先陣を切ってギリギリのがん切除に挑んでいた時代もありました。しかし残
念ながら、タチの悪いがんを撲滅できない事例が大多数だったのです。現在の潮流では、戦況
が悪い場合には、まず栄養療法とリハビリで自軍の兵力を補強すると同時に、抗がん剤や放射
線治療で敵の戦力を削いでおき、満を持して「手術」という切り札を繰り出すのが最善の策だ
と考えられています。 (引用終わり)
そうはいっても、それは医療施設や医師によりけりなんじゃないの? とも思うし、
それに「戦況が悪い場合には」ということはやっぱり良けりゃ
「すぐに切りましょう」と切らなくてもすむようなものまで何でも切って
表面上の手術成功率や生存率を上げようとするんでしょうし、
「抗がん剤や放射線治療で敵の戦力を削いでおき」が成功してるのならそれで十分なのに
そうして体力も落ちている時に手術をするのは患者にとって負担でしかないと思うんですけどねぇ。
とまぁ、がん手術については他にもいろいろと書かれていますけど、それを読むと
やはり個人的にはがん切除の手術はやりたくないなぁという思いを強めてしまいますねぇ。
ただ、本書ではがん手術だけに特化して書かれているわけではないですし、
むしろBLUE BACKSらしく(?)手術のハイテク機器などについての解説やら医師の技術の解説やら
多角的に解説されています。
というか、その辺は逆にもし患者になったとしてもあまり関係ないことかも知れませんけどね。
だって、おそらく全身麻酔されて何も記憶してないところでやられ放題されてることなので(笑)
ボクは血を見るのとかは大の苦手ですが、ハイテク手術用機器などには興味津々ですしね(汗)
といいつつ、その辺については今までまったく無知でしたので、本書を読んで勉強になりました。
たとえば、初歩的レベルですが内視鏡手術についても改めてちゃんと理解できました。
(以下引用、改行位置変更)
腹部の内視鏡手術(腹腔鏡手術)では、腹壁に「トロッカー」と呼ばれる径5~12mmほど
の筒状の器具を何本か挿入し、そのうち1本から二酸化炭素を注入してお腹を東京ドームのよ
うに膨らませます(気腹)。 (中略) 気腹によりス
ペースが確保されたら、別のトロッカーから腹腔鏡を挿入し、さらに鉗子などを入れて臓器を
把持(しっかりと握ること)・切り離したりして手術を進めます (中略) 腹腔内の気
腹圧(8~12cmH₂O程度)が人間の静脈圧に近いので、手術中に創部から滲み出る出血を抑
えられる、という利点も多くの術式で示されています。 (引用終わり)
へぇー、二酸化炭素で膨らませるんだぁ。知りませんでしたよ(恥)
もちろん、これは初歩の初歩というところでしょうし、
本当のハイテクとも言えるようなVR技術やAI活用なんて話も出てきますが、
まぁその辺については興味ある方だけ(外科医を目指す人だけ?)が読んでもらえればと思います。
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