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新書「今こそ経済学を問い直す」

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講談社現代新書の「今こそ経済学を問い直す 切実な『必要』の声を聴くために」中村隆之著を読みました。

正直、「今こそ経済学を問い直す」とか副題の「切実な……」にはピンと来ませんでしたが、
帯に書いてある「GDPが増えればほんとうに幸せになれるのか?」について強く惹かれたので、
惹かれたというからにはボク自身がそれに対して同様に疑問を抱いているからでしょうし、

さらに「働かざる者、食うべからず」とか見ちゃうと、
早期リタイアした無職のオッサンとしてはスルーするわけにもいかず(笑)、
買って読んでみることにしました。

本書の「はじめに」では次のようなことが書かれています。
                                   (以下引用)
 経済成長は、ある程度までは確実に人びとの豊かな生活につながる。しかし、ある程度
大きなGDP(国内総生産)を生みだせる先進国の人びとにとって、経済成長をめざせばよ
いのだ、それこそが豊かさへの道だ、とは言えない。理由は大きく二つある。
 一つは、自然環境の制約である。(中略)
 もう一つの理由は、GDPというかたちで実現される価値が、人びとがほんとうに求め
ていることに対応していないからである。(中略)
 経済成長を追求する路線は、実現可能性においても、また実現したとしてそれが真の豊
かさに結びつくのかにおいても、かなり怪しい。多くの人が怪しいと、何となくはわかっ
ている。にもかかわらず、この路線に疑問を投げかけ、正面から違う路線を打ちだす覚悟
が持てない。                            (引用終わり)

まったくもってその通りだと思っています。
まぁ、覚悟が持てないかと言われると、覚悟より具体的な中身が思いつかないだけな気がしますが、
政治家とか経済の評論家とかがおっしゃっていることは覚悟が持てないからということなのかも。

そこで、本書の「はじめに」ではさらに次のように続いていきます。
                                   (以下引用)
 本書は、「必要」概念を広くとり、「ほんとうに求めるもの」に近づけることで、GDP
を追求する従来の価値観を乗り越えたいと考えている。
(中略)                 例えば、「働かざる者、食うべからず」とい
う言葉は、生産における貢献にこそ価値があるという道徳的観念の表現である。(中略)
 われわれは、勤労倫理の世界で生きている。生産に貢献した人を称え、あまり貢献しな
い人を低く評価する。働いて稼げない人は、その価値基準では価値がない。だから、生産
貢献者は上から目線になる。(中略)
 なぜこうなってしまったのか? それは、「生産=価値」にどっぷり浸かり、さまざまな
問題も経済が成長すれば解決できると安易に考え、人びとが抱える「必要」に正面から向
き合って来なかったからだろう。経済成長を目標とするのも、「必要」に向き合わないの
も、経済学的な思考法の特徴である。本書は、経済学が避けてきた「必要」概念を正面に
据え、その切実な声を聴くことを通じて、真に豊かな社会をめざす。   (引用終わり)

なんとなく見えてきたというか、ここで「必要」というワードがさかんに出てくるようになりますが、
それが本書の副題の「切実な『必要』の声……」に繋がってくるというわけですし、
本書でいう「必要」という概念をきちんと理解しなければ全体像も理解できないことになります。

 

では、その本書でいう「必要」とはなんぞや、ということになりますが、
まぁそこまで書いちゃうとネタバレみたいになってしまうし、
一方でそんなに数行で簡単に説明できる内容でもありませんので、
いつものように興味のある方は本書をお読みくださいということにしたいと思います(汗)

なお、本書では真面目に(?)経済学の歴史というか変遷も含めて様々な主張を紹介しつつ
上記のような疑問・問題について考え直そうということで、
最終的な政治・経済・社会に具体的な施策を提案するということよりも
その思考過程を紹介しているといった内容となっています。

だから、タイトルも「……問い直す」となっているわけですが、
これだ!といった具体策はないのでやはり読み終わってもモヤモヤ感は残ります。
モヤモヤ感が残るからどうすべきかを各自が考える余地があるわけですし、
経済の専門家でもなんでもないボクみたいな人間にとっては
基礎的なことを勉強するにもいい内容となっているのかなとも思えましたけどね。

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