新書「福音派 ――終末論に引き裂かれるアメリカ社会」

中公新書「福音派 ――終末論に引き裂かれるアメリカ社会」加藤善之著を読みました。
前回「日本政治と宗教団体」を読んだので今度はアメリカ合衆国の政治と宗教の話でも
と思って本書を買ったわけではなく、本書の方が先に買ってたんですが、
いい機会なので(?)続けて読んでみました。
それで、福音派ですが、その名前も存在もアメリカの政治にも大きな影響力があるとも聞いてたけど
具体的に福音派がどんなものでどんな影響力を持っているのかなどまで知りませんでしたから、
これまたいい機会なので(笑)勉強してみましょう。
まっ、いまさら勉強してももうボクには直接的にはあまり関係ないことかもしれませんけど(汗)
本書の「まえがき」は次のように始まります。
(以下引用)
現代のアメリカでは、複数の争点をめぐり、きわめて深刻な対立が生じている。
中絶は女性の基本的人権なのか、それとも許されざる殺人なのか。公立学校で教えるべき
は進化論なのか、それとも神による創造なのか。警察による黒人射殺は構造的な人種差別の
表れなのか、それとも犯罪に対する正当な法執行なのか。そして、より根本的な対立として、
合衆国は人種や信仰の多様性を認める世俗国家なのか、それとも建国以来のキリスト教国な
のか。
対立はなぜ起こるのだうか。
その答えを探る鍵は、意外にも宗教にある。
(中略)
こうした福音派による戦いは、現代アメリカ社会へどのような影響を与えたのだろうか。
それを明らかにするのが、本書の狙いである。 (中略) した
がって、終末論的な世界観に基づく福音派の影響力を分析することは、現代アメリカ社会の
対立構造を理解する重要な糸口となるだろう。 (引用終わり)
中絶の是非については日本ではほぼ議論になりませんが、アメリカでは完全に対立してるらしいし、
個人的には何故頑なに中絶反対を掲げるのかまったく理解に苦しむのですが、
ある意味では日本での選択的夫婦別姓の議論と似たような構造になってしまってるのかもですね。
神社本庁・日本会議→保守・右翼がその象徴的なひとつの事案として最前線の砦みたいな感じで。。。
では、その福音派とはなんぞやということですが、これも「まえがき」に次のように書かれています。
もちろん、本書の本文中にはより詳細に歴史の変遷も含めて説明されていますが。
(以下引用)
「福音派」("Evangelicals")という名称は、救い主イエスの到来を意味するギリシア語の「良
い知らせ」(エウアンゲリオン)、すなわち「福音」に由来する。この用語は、一六世紀の宗
教改革以降、ローマ・カトリックと区別されるプロテスタント教徒を表す一般的な呼称とし
て使われてきた。しかし本書で扱う福音派は、アメリカの歴史のなかで独自の発展を遂げた
特殊な宗教集団を指す。
米国の福音派は、神の言葉としての聖書、個人的な回心体験、救いの条件としてのキリス
トへの信仰、そして布教を重視する、複数の教団、教会、個人からなる宗派の壁を超えた宗
教集団であり、運動である。 (中略)
ただし、実際に「福音派」と名乗りだしたのは一九四○年代で、強力な政治勢力として
台頭したのは七○年代後半だった。 (引用終わり)
あらら、ボクは完全に間違った認識をしてましたね。
何世紀も続いてきたキリスト教の一派が福音派だと理解してしまってました(恥)
半世紀+αくらいの歴史しか有していない、つまりボク自身と同年代なんですな(笑)
要するにアメリカ社会でいいように政治と密接に結びついて民衆をかどわかしてきた(?)勢力なわけか。
どうやら純粋に宗教というより(そう信じてる無垢な信者も多いのかもしれませんが)
それらによって名声や実利を得てきた指導者的な立場の人といろいろな政治勢力の利用によって
発展してきた幾つもの勢力の総体みたいなものと捉えるのが良いのかもしれないですね。
なので、一括りに福音派といっても、原理主義的に凝り固まった偏った考えの人もいれば、
逆にある程度柔軟で現実的な考えの人もいるわけですが、
やはり声が大き人(キャッチーで刺激的な発言)に引っ張られやすく、
特に近年はSNSなどの影響でそれが加速していきやすいということなのでしょう。
それにしても、宗教の物語と現実世界の区別もつかずに未だに神がこの世界(宇宙)を創造したとか
終末論とかを真顔を信じていて、故に進化論を否定し、なかには地動説すら否定するって、
なんといったらいいのか……差別的な意味ではなく未開の原住民みたいですなぁ。
(以下引用) 福音派にとっては、
生命、さらにいえば万物は偉大なる創造主によって作られており、偶然の産物や自然淘汰の
結果として派生したものではない。つまり、進化論の否定である。ちなみに、日本から見る
と驚くかもしれないが、米国全体でも進化論が浸透しているわけではない。公衆の科学理解
を専門とするミシガン大学のジョン・ミラーらの研究によると、進化論を支持する米国人の
割合は二○○五年の段階で四○%であり、五四%の多数派になったのは二○一九年だという。
(引用終わり)
(呆)。
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