新書「働かないアリ 過労死するアリ」

扶桑社新書「働かないアリ 過労死するアリ ~ヒト社会が幸せになるヒント~」村上貴弘著を読みました。
アリに関する本は過去にも「アリの巣をめぐる冒険」とか「働かないアリに意義がある」など読んだし、
アリも含めて昆虫全般の本も何冊も読んできましたが、やっぱり
「過労死するアリ」なんて聞くと他人ごとではないという気になっちゃいますよね。
もっともボクはもうこれっぽっちも働いてないし、現役時代でも過労死するほど働きませんでしたが(汗)
そういう意味では「過労死」の方より「働かないアリ」の方の立場になっちゃいますが(爆)
著者の村上氏はアリの研究者ではありますが、
今は九州大学持続可能な社会のための決断科学センター准教授という長くて少しきな臭い肩書で(笑)、
いろいろなテレビ番組などメディアでもよく顔を拝見する方ですね。
そして、本書の副題にも「ヒト社会が幸せになるヒント」なんて書かれていますし、
確かになんらかのヒントというか考えるきっかけにもなるんでしょうけど、
だからといってあまりアリの生態を人間社会に当てはめて考えすぎるのもいかがなものか?
という気もしないではないですけどね。
だって、アリの社会といっても基本的には女王1匹とその家族という構成でしょうから
赤の他人同士が寄り集まって組織や社会を形成しているヒトの社会とは本質的に違いますから。
なんてことは著者も百も承知の上で、
でも読者のウケ狙いも含めてヒト社会との比喩を楽しんでいるようにも思えますけどね。
本書は「まえがき」にはこんなことが書かれています。
(以下引用)
本書は2020年に出版された『アリ語で寝言を言いました』の続編である(前著を未
読でも、本書を楽しめます)。前回、ご紹介しきれなかったハキリアリの音声コミュニケ
ーションの研究のことや、僕の宇宙飛行士への挑戦、そして、「進化」についてなどを取
り上げた。
しかし、いちばんの目的は前著同様、アリの面白さを多くの人に知ってもらうことだ。
再び、僕が愛してやまないアリの話をはじめたいと思う。 (引用終わり)
ということで、「アリの面白さを知ってもらうこと」が目的というんだから
まぁ肩ひじ張らずにそれを雑学的な面白さとして読むのがいいんでしょうね。
そんなわけなので、その雑学的な面白さをいちいちここで紹介するのもなんですが、
やはりタイトルにもなっている過労死するアリについてだけは触れておきましょうかね。
(以下引用)
日本でもっともよく見られるアリの一つ、クロヤマアリは日中働き、夜6~7時間ほ
ど眠る。ハキリアリは基本的に24時間働いて15分おきに2~3分ほど寝るだけだ。
ただし、地域によっては夜の活動が落ちるという報告もある。
超ハードワーカーのハキリアリと対照的なのがカドフシアリだ。カドフシアリは珍し
い種ではないけれど、基本、森の中に生息するため、一般に目にする機会は少ない。黒
くつややかで丸っとしていて、とてもキュートだ。このカドフシアリ、なんと1日のう
ちほとんどの時間は動かない。 (中略)
さらに興味深いのは、睡眠時間と寿命の関係だ。クロヤマアリの寿命が2~3年に対
し、ハキリアリの寿命はたったの3か月! そして、1日の大半を寝ているカドフシア
リは5~6年も生きる(飼育下だと7年生きた個体もいる)。
同じハキリアリのグループでも起源に近い、社会が小さい種は労働時間が短く、寿命
は5年ほどだ。長く寝るほど寿命は長い。言い換えれば、睡眠時間が短い=労働時間が
長いほどアリは短命となる。「働きすぎ」「寝ないで働く」のは、体にストレスを与え、
寿命に直結すると考えられる。 (引用終わり)
最初ボクは、同じ集団の中でも働かないアリがいるというのは知っていたので、
それとは逆に過労死するほど働くアリもいるという話だと思っていましたけど、
種によって違うという話ですし、単に睡眠時間と寿命の話なので過労死とは違う気がしますね。
内容的にはそりゃそうだろうなと納得する反面、それもこれも進化の過程でそうなったわけで、
これまたそれをヒトそれぞれの個人とその生活スタイルに当てはめるのも違うかなと思うけどね。
ヒトの場合は労働/睡眠だけでなく余暇・趣味などの時間も大切な要素になるのでしょうし、
にも関わらず趣味のはずなのに労働よりも精神的にも肉体的にもストレスをかけてる人もいるしねぇ。
| 固定リンク


コメント
仰る通り、蟻は蟻、人は人でしょうね
まぁ、目くじら立てるようなものでないのは著者さんもわかってるのでしょうけど
弊社では定年退職後の数年でポックリ逝く人が続いた時があります
いわゆる団塊の世代
働き詰めることが普通だったのに一気に時間を持て余してしまったのが原因なんでしょうか
どうして体調不良になってしまうのか、サッパリ理屈は分かりませんけど、仕事も趣味や私生活もバランスよく自分のペースでやっていくのがいいのでしょうね
投稿: 五条銀吾 | 2025-08-17 13:08
>五条銀吾さん
>>弊社では定年退職後の数年でポックリ逝く人が続いた時があります
あらっ、そんな怪現象(?)があったんですね。
まぁ、ボクなんかは定年退職後の人とかかわったことはほとんどないですし、
辞めた人の噂話とか興味もないのであまり耳にしたこともなく、
元気でやってるかどうかすらよく知らないんですけどね(汗)
でもまぁ、なんにしてもバランスとマイペースは重要なんでしょうね。
投稿: JET | 2025-08-17 14:53