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新書「ケルトの世界」

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ちくま新書「ケルトの世界 ――神話と歴史のあいだ」疋田隆康著を読みました。

本書を見た時は一瞬、ケトル、そうヤカンの世界かと。というのは半ば冗談ですが。
でも、ケルトって聞いたことはあるけど、なんだったっけ。高校の世界史で習ったっけ?
ってなくらい具体的なことは何も知らない自分を恥じて、
今さらながら少しは勉強しましょうかという感じで読んでみることにしました。

本書の表紙の袖には次のような説明が書いてあります。
                                (以下引用、改行位置変更)
 ギリシア・ローマやキリスト教と並ぶもう一つのヨーロッパの源流とされ、日本でも根強い人気
を誇るケルト文化。(中略)なかにはその実在を疑う「ケルト否定論」すら展開されている。では、
古代ケルト人とは何者だったのか。著名な神話を入り口に、それを考古学的・歴史学的知見と照ら
し合わせることで、古代ケルトの生活世界へと分け入る入門書。         (引用終わり)

「入門書」とあるので、ボクにはうってつけですかね(笑)
でも、「ケルト否定論」とか言われちゃうと、そんな不確かなことしか分かってないの?
と心配になってしまうのですが……

そして、本書の「まえがき」は次のように始まりますから
余計にこの本を読んでもケルトが何かは分からんのとちゃうのか? と心配になっちゃいます。
                                   (以下引用)
 ケルトと聞いて、何を連想するだろうか。エンヤなどに代表されるいわゆるケルト音楽
だろうか、『ケルズの書』などのいわゆるケルト美術だろうか、妖精物語だろうか。近年
ではゲームやアニメなどのサブカルチャーにケルト神話由来のキャラクターが登場するこ
とも多いので、それらを思い浮かべる人もいるかもしれない。
 ケルト人は、近年論争のあるテーマで、じつは学界でもケルト人をどう捉えるかについ
て十分な合意があるわけではない。                  (引用終わり)

合意はないんかい! と突っ込みたくもありますけど、
エンヤは一時期よく聴いていたなぁ、でもあれがケルト音楽だという認識は一切なかったよ(恥)
ケルト美術も知らないし、ケルト神話も知らないし(たぶん)。
ただ、本書はそのケルト神話が入り口だというわけなので、そこは解説してくれてるのだろう。
と読み進めると……

 

第1章ではそのケルト神話から話が入っていくわけですが、、、
                                   (以下引用)
 今日、ケルトの神話といわれているものは、中世のアイルランドやウェールズなどで主
として修道士によって書き残された物語である。現在残されている写本は古いものでも九
世紀頃のものであり、もともとのケルトの物語がキリスト教の影響により改変されていた
り、中世に創作されたものである可能性があり、こちらも古代のケルト人の神話をはたし
てどの程度反映したものであるかは分からない。            (引用終わり)

うーん、分からんのかーい! とさらに突っ込みを入れたくなる話ですなぁ(汗)

なんだか先日読んだ「ブッダという男」にも共通するような曖昧模糊としたような話とも言えますが、
まぁ歴史を遡るということはそういうものだと言えなくもないんでしょうけどね。

昔、教科書に書いてあることはすべて正しいものだとして習わされたけど、
実際には歴史にそんな確かに言えることはないわけで、教科書だって変わっていくわけですから、
まぁそれはそれ、これはこれという感じで知っておくということなのでしょう。

 

そんなわけですから、本書を読んでも「ケルトとは……」とウンチクが語れるようにはなりません(笑)
まぁ、ウンチクを語るために本を読むわけではないのでどうでもいいんですけど。

なお、本書の最終章では、「日本人の起源」とか「人新世」とか全然違う話を引き合いにして、
「ケルトとは」という問いに次のようにまとめて終わりとしています。

(以下引用)     古代のケルト人をギリシア・ローマの著作家によって「ケルト」と
レッテル貼りされた集団および彼らと文化的一体性を持った集団、と捉えたうえで、その
遡及できる上限と、適用しうる下限を「ケルト人」と呼んでもよいのではないだろうか。
                                  (引用終わり)

まぁ、そう言ってしまうと身も蓋もないというか、
最初(上限)は言ったもん勝ちで、最後(下限)は結果論に過ぎないとも聞こえちゃいますけどね。

ということで、なんとなくモヤモヤが残るというか解消されないままに終わった本でしたが、
中身はそれなりに面白く、確かにケルトの入門としては勉強になった感じはしました。

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