新書だけど中身は古い「日本神話の考古学」
で、ボクは騙されて新刊だと思って買っちゃった、というオチではなく、
さすがに気づいたけど、日本神話、つまり「記紀」=「古事記」と「日本書紀」などと
史実・事実としての考古学との関係を20数年前はどのように捉えられていたのかを復習する意味で
本書を読んでみることにしたというわです。
というわけですが、まぁ内容的にはこれまでに聞いたことがあるようなものがほとんどで、
定説となっているものや、定説までいかなくとも諸説ある中のひとつとしてよくあるような内容で、
特に新たな面白味のあるものというのは少なかったという印象です。
まぁ、復習ならそうなるでしょうね。
本書の帯には大きく「黄泉の国は実在した」なんて書いてありますから
それについて触れてみましょうか。
といっても、現代の何県何市が黄泉の国だったとかそんな話ではないですけどね。
(以下引用) つま
り横穴式石室というのは、埋葬後に人が入れることを前提につくったものなのである。この
ことは、イザナミの遺骸の変化を語る神話の舞台装置を知る手がかりになる。
それだけではなく、普通の横穴式石室では一人の死者を安置するのではなく、数体から十
数体の死者を安置していることがよくある。 (引用終わり)
おそらく黄泉の国は架空のものというか概念上のものなんだろうけど
それを具象化したのが古墳でありその石室であったわけで、
記紀によるイザナミの死後にイザナキが黄泉の国に行ってうんぬんという話は
こういうところに繋がっているんでしょうね、ということですね。
もうひとつ、なぜ三種の神器のひとつである草薙剣が名古屋の熱田神宮の御神体なのかという話で、
それ自体もボクも疑問に思ってましたが、それに関連して次のようなことが書かれてます。
(以下引用)
道行という僧については、『記・紀』のうえではこれ以外にはあらわれないが、愛知県の
知多半島北部の知多市にある名刹・法海寺は、道行を開基として信仰を集めている。境内の
発掘で弥生土器以来の遺物が出土しており、さらに七世紀末ごろに始まり、奈良時代、平安
時代の瓦も出土していることから、この地域での安定した生活の場(有力な村)に、天武天
皇のころに大伽藍が営まれたことがわかる。
知多半島北部を代表する仏教寺院の建立者が、『紀』によると草薙剣を盗んだ道行である
というのであるから、『紀』の記録にはよほどの謎がありそうである。 (引用終わり)
愛知県知多市で生まれ育ったボクとしてはへぇーそんな法海寺なんてお寺があったのかって感じ。
調べてみると、実家の近くではなくて沿線鉄道路線も違うのであまり土地勘もないところですが、
それでも通ってた中学(加木屋中)、高校(東海南高)から4,5km、直線距離2km強ほどとすぐ近くで、
だからなんだと言われればその通りだけど(汗)、やはり急に身近な話に感じられちゃうから不思議(笑)
ただ、まぁ、草薙剣って誰も見たことがないと言われているわけですし、
それが鉄製なのか青銅製なのかも確かな証拠はなにもないどころか
実在するのかどうかさえも怪しいとされているわけですから、何を語っても根拠はなさそうですけどね。
宮内庁治定陵墓の古墳の調査もそうだけど、個人的には
三種の神器にしてもそろそろちゃんと科学的調査をしてもいいころだと思うんですけどねぇ。
天皇家や各神社の私的なことだとも言えますけど、日本国の象徴天皇でもあるわけですから。
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