« ローソン限定カップ麺:サッポロ一番「三幸園ニラそば」 | トップページ | カップ麺:明星チャルメラ・スタミナ源たれ焼きそば「醤油」と「塩」 »

新書「うさんくさい『啓発』の言葉」を読了

B240611_57 
朝日新書「うさんくさい『啓発』の言葉」神戸郁人(かんべいくと)著を読みました。

先月紹介の「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」の中でも出てきた「自己啓発書」ですが、
そこでも書いたようにボクは自己啓発書はほとんど読みません。
そこでも書いたようにノイズがなくて面白くないからというよりも
本書のタイトルのようになんだか「うさんくさい」としか思わないからでしょう。

さらに言えば、そもそも「啓発」とかいう言葉からして「うさんくさい」と感じます。
でも、なんでうさんくさいのだろうということで、興味本位で本書を読んでみました。

ちなみに、著者の神戸郁人氏の肩書はライターということのようです。

本書の「はじめに」では次のようなことが書かれています。

(以下引用)          自らを高めなければ、競争に打ち勝ち、確固たる地位を
得ることはできない。まるで、水底から響く声のようなメッセージにさらされた経験が、
誰しも一度や二度あるのではないでしょうか。
(中略)   もちろん、書かれている内容を実践し、幸福感を得られるケースも多いので
しょう。一方で、こうも思います。「なぜ、誰に『啓発』への道を歩まされているのか?」
と。この問いに、言葉の観点から取り組もうとする試みから生まれたのが、本書です。
 市中に出て、周囲を見渡せば、「啓発」の色彩を帯びた表現があふれています。筆者は
特に、労働の領域にまつわる造語に注目し、その成立経緯を追ってきました。
                                  (引用終わり)

労働と啓発(もしくは自己啓発書)という点では
先月紹介の「なぜ働いていると……」と共通する部分もあるでしょうかねぇ。

ただ、本書ではそういう自己啓発書などによく出てくる
「人財」、「顔晴る」、「志事」、「輝業」、「最幸」などの主に漢字の当て字・書き換えについて
それぞれいつ頃からどんな場面で使われるようになっていったかなどを調査し、
それに基づきその背後にどんな思惑があるのかなどを考察していくという内容になってます。

 

でも、何度も書いているようにボクは自己啓発書などをほとんど読んでいないので、
ここに出てきた「人財」(もちろん「人材」の書き換え)などは目にした記憶がほぼありません。
サラリーマン時代の(嫌々参加させられた)研修などでもこのような言葉は目にしなかったかな。
そういう意味では、その会社はまだ「うさんくささ」はマシだったと言えるのかもしれませんね(笑)

ひとつひとつのこれらの「啓発言葉」について紹介するわけにはいきませんが、
ひとつ「人財」についての著者の結論めいた部分だけ紹介しておきましょう。
                                   (以下引用)
 日本経済が漂流する時代に成長した、「人財」という概念。それは組織の生き残りを賭
け、労働者の雇用と、「どれだけ業務に役立つか」という功利的視点とを両立させたい、
企業側の「選民主義」を象徴しているように思えます。         (引用終わり)

個人的にはそうだよねぇと納得するところが多いのですが、
人によっては偏見だとか屁理屈だとかと反論したくなる人もいるかもしれないですね。

それについても著者は「はじめに」で次のように書いていますので、
この結論めいた部分にだけ反応せずに本書をちゃんと読んで各人の考えを深めたらよいでしょう。
                                   (以下引用)
 この本は、ちまたに漂う、一見してきらびやかな語句や言い回しへの違和感から書かれ
ました。ゆえに、ときに筆者の個人的な意見や体験も交えながら、前述の各項目に言及し
ています。場合によっては、論理に飛躍があったり、極限だと感じられたりする箇所もあ
るかもしれません。該当するような記述に出会ったら、ぜひあなた自身の言語感覚に照ら
して、「自分ならこう捉える」といった、腑に落ちる見解を導き出していただきたいと思
います。本書がそうした内なる対話のきっかけになれば、望外の喜びです。(引用終わり)

そのとおりでしょうね。
「人財」という言葉を一切使うなということでもないし、
場面によってはとても良い言葉になったりするのかもしれないし、
でも、その背後の意図を考えると素直に受け取らない方が良いこともあるということです。

 

そして、本書では言い換えの「啓発言葉」を取り上げているので出てきませんが、
これらの議論で思ったのは、このブログでも記事にした「働くの語源は傍+楽」のことです。

実は、この記事の閲覧数が何故かいまだに異様に高いんですよね。
そんなに働くの語源を知りたい人がいるのか、そういう人がこのブログにたどり着くのか疑問で、
もしかしたら有名な方がSNSとかで拡散しているのかもしれませんが……

そうだとすると、おそらくボクの意見に批判的に拡散しているのでしょう。
たまに頭ごなしに暴言をコメントしてくる人もいますから(笑)
(で、そういう人はその記事しか読んでないし、おそらくその記事すらもしっかり読んでない、
 だからほとんどはこちらで削除しますけど。)

ひょっとすると記事にした某俳優さんが自分に反論されたと勘違いして発信し
その方のファンとかシンパが攻撃してくるのかもしれませんが、
ボクでさえその俳優さんが誰だったのか忘れてるくらいで別に彼を非難してるわけじゃないんだけどねぇ。

でも、「働くの語源は傍+楽」はウソですし、喩え話でするにしても場面によっては、
特に雇用者側が「周りのみんなが楽になるように(自分が犠牲になって)働きましょう」の意を
言外に含んで使っていたりすれば、それはブラック企業の入り口と言えるでしょうからね。

そういうところに「うさんくさい」と気づけるようにはしておきたいですな。

ちなみに、本書でも働くことに関して著者は次のように書いています。
                                   (以下引用)
 そもそも、私たちはどうして働くのでしょうか。筆者は、「生きるため」に他ならない
と考えています。生活費を稼ぎ、日々の糧と交換する。労働とは本来、それを叶える手段
に過ぎないはずです。                        (引用終わり)

そうなんですよね。ボクはもう生活費を稼ぐ必要がないというか
そんなに生活費が要らないから早期リタイアして働かないでいる
ただそれだけのことですし。

|

« ローソン限定カップ麺:サッポロ一番「三幸園ニラそば」 | トップページ | カップ麺:明星チャルメラ・スタミナ源たれ焼きそば「醤油」と「塩」 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ローソン限定カップ麺:サッポロ一番「三幸園ニラそば」 | トップページ | カップ麺:明星チャルメラ・スタミナ源たれ焼きそば「醤油」と「塩」 »