BLUE BACKS「生命と非生命のあいだ」を読了
講談社 BLUE BACKS の「生命と非生命のあいだ 地球で『奇跡』は起きたのか」小林憲正著を読みました。
なんか数年前にも同じようなタイトルの新書を読んだ気がしますが……
あぁそれは「生物と無生物のあいだ」、福岡伸一著でしたね。
そちらは生命とは何か?という問いに対して考察しているような内容でしたけど、
本書はサブタイトルから類推できるように生命の起源について、
特に地球で生命が誕生したならばその奇跡が起きたのか? などを考察した内容となっています。
その意味では、先日読んだ「宇宙になぜ、生命があるのか」戸谷友則著とも繋がる内容ですし
(実際に本書でも戸谷氏の論文内容を引き合いに出しています)、
「地球外生命」と対比する内容とも言えます。
では、タイトル「生命と非生命のあいだ」とは生命起源とどういう関係があるというのでしょうか。
それに関連することは本書の「序章」でも本書の構成の説明の中でこのように書かれています。
(以下引用)
そして最後に、生命と非生命のあいだをどう埋めればよいかを考えます。両者はデジタル的
に0と1に区分できるのでしょうか。それとも連続的につながっているのでしょうか。連続的
なものには「スペクトラム」という言葉が使われることがありますが、もしかしたら生命にお
いても「生命スペクトラム」という概念が成り立つのでしょうか(第8章)。
本書を読み終えたみなさんが、地球で生命が誕生したことを奇跡と考えるか、それとも必然
と考えるかは、人それぞれでしょう。ただいずれにしても、この問題についてより深く、より
興味を持って考えていただけるための材料を本書が提供できていれば、著者としてこれ以上の
喜びはありません。 (引用終わり)
つまり、非生命だけの世界の原始地球でいきなり生命がポンと生まれたと考えるよりも
生命と非生命のあいだにあるような何だかよく分からないモノが連続的に生まれていって
その中から生命となるものが誕生して進化してきたと考えればいいんじゃないかということですね。
まぁ確かに松坂桃李出演のダイワハウスのCMでの「二者択一じゃなかったんだ」と同じで(違)
生命か非生命かのどちらかしか存在しないと考えるよりその“あいだ”もあると考えるのが自然かも。
でも、それはある意味で「いいとこどり」の考えでもあるので都合よくねぇとも言えるかも。
その“あいだ”のもの具体的にこんなものやあんなものなどがあって、
それらは非生命(0)からこんな課程で作られて、0.3とか0.7とかぐらいになって、
さらにそこから生命(1)が作られるって具体的な道筋が数例でも示されると説得力が上がりますが。
そのあたりについては今後の研究の成果が期待されるということになるのでしょうけどね。
なお、上述のように「地球で生命が誕生した……」と書いてあるように、
生命は地球外からもたらされたというパンスペルニア説については否定的な立場となっています。
もちろん科学者ですから当然ながら、帯にあるように神が生命を創造したなんて話はありません(笑)
ただ、世界中では未だに本気で神が生命を創造したと信じてる人がいるのですから不思議ですし、
一方で神が生命を創造したなんてバカげているとしながら一神教を信じている人が多数いるのも
これまた世の不思議なところなんですけどねぇ。
ちょいと脱線しちゃいましたが、ペンスペルニア説も魅力的な感じもしますけど、
それでもそうするとその地球外の生命はどこでどのように誕生したのかという問題に突き当たり、
結局のところは何も解決してないに等しいことになってしまいますからねぇ。
このあたりについても今後の研究、小惑星探索や火星探索などの成果に期待なんでしょうねぇ。
ボクが生きている間に生命起源の探究になんらかの確証が得られると嬉しいですな。
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