新書「正義はどこに行くのか」を読了
本書の「序章」には次のようなことが投げかけられています。
(以下引用)
問題は、多様性の時代に正義はどこへ行ったのか、というふうにまとめられるだろう。
それに対する一つの簡単な答えは、多様性こそが正義である、というものだ。だが、本書
でこの後詳しく論ずるが、そのロジックの先にも袋小路が待ちかまえているだろう。つま
り、多様性が正義であるのなら、悪は存在しうるのかという袋小路だ。価値観の多様性を
突き詰めると、正義と悪との区別は見失われてしまうのではないか。現在の「多様性とヒ
ーロー」をめぐる問題の本質はそこにありそうだ。 (引用終わり)
いたって真っ当な理路整然とした論理展開でわかりやすい文章で進んでいきます。
多様性の時代には正義と悪との区別が分からなくなる、じゃぁどうれば……と引き込まれます。
が、しかし、その後の本書における展開は難解を極めます。
はっきりいってボクにはなんだかよー分からんかった。
まぁ分かったとしても結論だけここに書くようなタイパ向けの記事は書きませんけど。
文章もやや難解な書き方に変わっていくのですが、それよりなにより
〇〇の映画のヒーローはああだこうだという話ばかりで、その映画を観てないとまったく理解できない。
いちおう、あらすじみたいなものも書いてあるのだが、それはある意味ではその映画のネタバレ。
スーパーマン、バットマン、スパイダーマン、アイアンマン、Xーメンとか出てきても
あるいは日本ならウルトラマン、仮面ライダーとか出てきても、
それらは知っているっちゃ知っているけど、最新作も含めた全シリーズに精通してるわけでもなく、
なのに初代作から最新作にまでこれこれこのようにヒーローのあり方が変化してるとか
そこにはあれやこれやの時代の変化・環境の変化などにどのように対応しているとか言われても、
それはネタバレ以上にネタバレ。そんな裏側の穿った見方なんか押し付けないでくれといいたいし、
そもそもそんな最新作とかちゃんと観てないのが多いから著者の主張もまったくピンと来ないし、
そもそもそもそも、そんな視点で映画とかアニメを愉しんでませんから。
というわけで、途中からもうほとんど読む気もなくしてパラパラを流し読みして終わりました。
なので、本書のタイトルの「正義はどこに行くのか」の答えがなんなのかも知りません。
まぁ、“正義は”というより「ヒーローはどこに行くのか」の方が適したタイトルだと思いますが。
そして、個人的にはその「ヒーローはどこに行くのか」の答えは簡単です。
「そもそも現実社会に(絶対的な)ヒーローなんていませんよ」。これだけです。
そりゃぁ、ほんの些細なことでの身近なヒーローはいるでしょうし、
それは誰でもそんな場面になればそれなりにヒーローになり得るかもしれないくらいのもので、
完全無欠で絶対的な正義の権化として存在するようなヒーローは現実社会にはいるわけがない。
さらに言えば、現実社会と映画やアニメの世界はまったく違うし、違うから面白いのであって、
なのに現実社会の正義と映画やアニメのヒーローとをごちゃまぜに議論しても意味がないでしょう。
と、この本にはかなりネガティブなことばかり書きましたけど、
逆にそれ故に興味を持って読んでみたくなった人もいるかもしれませんねぇ(笑)
そういう人に対してはボクは別に「どうぞご自由に」としか言いませんけど。
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