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単行本「そら、そうよ」岡田彰布著を読了

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宝島社の「そら、そうよ 勝つ理由、負ける理由」岡田彰布著を読みました。
前回の「阪神タイガースぶっちゃけ話」に続いてプロ野球がらみ、阪神タイガースがらみの本で、
タイガースファンでない方やアンチ・タイガースファンの方からそっぽを向かれそうではありますが。

なお、岡田氏の著した本では2023年シーズン日本一の後に発行された
「幸せな虎、そらそうよ」というのがありボクはそれも早速買ったのですが、
本書は2014年3月第1刷発行、2023年8月第2刷発行のものとなっています。

つまりは、10年近く前に書かれた本をいまさら買ってきて読んだということになりますし、
阪神タイガースファンを名乗るには少し恥ずべきことかも知れませんが、
まぁ2014年ごろとなるとちょっとタイミング的に旬ではなかったからか
(北関東の)書店でもあまり見かけなかったからということにしておきましょう(汗)

本書の「はじめに」では次のように書かれています。
                                   (以下引用)
 私はセ・リーグの野球も、パ・リーグの野球も体験した。
 そのどちらも選手、一軍監督、さらに指導者として二軍にもかかわった。
 そうして両リーグで、勝つチームと負けるチームを経験してきた。
 なぜチームは勝ち、どうしてチームは負けるのか――。
 その1つひとつには、すべて原因と理由がある。
 本書では、私が選手、指導者として過ごしてきたプロ野球生活30余年のなかで経験した
ことをもとに、それを綴っていこう。                 (引用終わり)

確かに選手として阪神で85年に優勝、95年にオリックスでも優勝を経験しているけど、
その間は阪神の暗黒時代も経験しているし、オリックスへの移籍や引退など含めても
岡田選手としては栄光も挫折も味わっているのでしょうし、

監督・指導者としても(本書執筆時点では)阪神ではリーグ優勝はしても日本一は逃してるし、
2008年には歴史的V逸をして阪神監督を辞しているわけだし、
その後のオリックス監督ではまったくといっていいほど成績を残せず、挫折を味わっており、

だからこそ勝つチームと負けるチームの違いを身を持って実感しているのでしょう。

 

けれども、本書では単に選手目線でどうプレーするかや、監督目線でどんな采配をするか、
そのようなことについて詳しく書かれているわけではなく、
球団幹部などフロントや裏方、FA/トレード/ドラフト/外国人選手獲得、育成など
かなり広範囲に渡る内容となっています。

その中でもフロントの問題についてかなり強調されているようで、次のように書いています。
                                   (以下引用)
 私がチームを率いた時代の阪神は、勝つとはどういうことか、勝つためにはどうするの
かに、現場とフロントの意識が統一された組織であり、オリックスはそうでなかったのだ。
 そのことが、結果にはっきりと表れた。               (引用終わり)

まっ、岡田氏としてはオリックス監督時代に勝てなかったのはフロントが悪かったから
といいたいのでしょうし、実際にそうだったのでしょうが、
本書では結構な割合で当時のオリックスのフロントなどへの恨みつらみが述べられています(笑)

負ける理由とはその時代のオリックスのことがほとんどなわけですが、
それでも阪神の暗黒時代の話や、歴史的V逸のことも振り返って書いてあります。

その暗黒時代については最終章で次のように原因分析されています。
                                   (以下引用)
 阪神が85年をピークに“暗黒時代”に突入したいちばんの原因は、バースや掛布さんの
件など、立て続けに発生した球団内の問題だ。それに尽きる。とにかく、問題が多すぎた。
選手にも非はあっただろうが、それを上手く処理できなかったフロントにも責任がある。
問題が発生したときに、フロントが騒動を最小限で食い止めていれば、あそこまで一気に
坂道を転げ落ちることも、なかったのではないだろうか。        (引用終わり)

そして、本書が著された2014年当時の阪神もこの暗黒時代と似たような状況になりつつあり、
次のように警鐘を鳴らしています。
                                   (以下引用)
 若い選手が育っていない。指導者の人材不足。過去の歴史と照らし合わせてみると、今
の阪神は危ない時期に差し掛かっている。
 これからの阪神が、あの時代に戻る可能性は充分にあり得る。     (引用終わり)

とまぁ、確かにひと時はそのような状況に陥ったわけですが、
それからドラフト戦略を立て直し、若手を育成し、たぶん指導者層も充実させたのでしょう、
それが徐々にチームの力を立て直し、フロントと上手く回るようになって、

そしてそこに岡田監督が就任して2023年の快進撃につながったというわけなのですね。
なので、いやらしい言い方をすれば、
勝つ理由が整ったチームの時に監督をして勝ったのが岡田監督であって
負ける理由に溢れるチームの監督をしてフロントまで含めてガラリとチームを刷新して
勝つ監督ではないということですかね。

まっ、そんな監督はそうそういないんでしょうけど。

 

で、いろいろと面白い話も多いのですが、あまりそれらをここで紹介するのはよしましょう。
ただ、藤川球児に関する話は次に紹介予定の本にも繋がる内容なのでそれだけはここで紹介します。
                                   (以下引用)
 藤川はずっと先発をやっていたが、私が二軍監督のときに、
「お前は、先発では無理や」
 と言っていた。一軍に上がっても、監督が野村さんのときも、星野さんのときも、先発
で使われたが結果は残せないでいた。藤川は二軍で先発をさせても5~6回、球数が80球
くらいになったら、いつも打たれる。私は、
「今日は、先発の最終テストや。完投して投げ切れたら先発に使うけど、アカンかったら、
次からはお前は中継ぎで、短いイニングしか投げさせられへん」
 (中略)            私はあそこで、藤川に先発をあきらめさせた。(中略)
 藤川は、04年に私以外の人間が一軍監督だったら、03年の時点で戦力外になっていただ
ろう。解雇リストに名前があったのを見て驚いた私が、それを撤回させたのだ。
                                  (引用終わり)

ということはボクはこの本を読む前から知ってましたけど。
といっても、つい最近になって知ったことですけど(汗)
まぁ、野球選手の人生なんてどこでどう転ぶか、良い方に転ぶか悪い方になのか分からないですな。
スポーツ選手に限らず、人の人生なんてどうなるか分からないって言えばそうなんですけどね。

 

なお、岡田氏というと選手時代からそして監督となっても独特の喋り方で
「おーん」とか「アレ」や「ソレ」やで主語がなかったり語尾も不明瞭で
そのまま聞いてると何喋ってるのかよーわからんことも多々ありますし、

ましてや本書のタイトルの「そら、そうよ」と言われてもなんのこっちゃとなるわけですが、
いちおう本書の文はちゃんと分かりやすく理路整然となっているので困ることはありませんでした。
もっとも、それも裏方さんが一生懸命頑張ったからの結果なのかも分かりませんけどね(笑)

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