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新書「自動車の世界史」を読了

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中公新書の「自動車の世界史 T型フォードからEV、自動運転まで」鈴木均著を読みました。
本書の「はじめに」では次のように書かれています。
                                     (以下引用)
 以上のように、本書では自動車を通じて、各国の盛衰と国際関係の歴史をたどる。数多くの
車が登場する自動車史入門として、普段あまり馴染みがないという方にも読みやすくするよう
心がけた。  (中略)                         自動車は当分の
間、国際関係の主役であり続けるだろう。その重要な役割を理解してもらい、同時に、多くの
人の心をつかんで放さない、自動車のロマンあふれる魅力についても知ってもらえたなら幸い
である。                                (引用終わり)

自動車のロマン」なんて言葉も出てきますが、本書は「国際関係の主役」としての自動車の歴史です。
なので、「自動車の世界史」というより「世界史における自動車」といってもいい内容です。
世界の各国の経済、政治情勢などと各国の自動車関連企業の盛衰や特質がまとめられています。

つまり、クルマよりも世界情勢に詳しい人が著している本です。
著者の鈴木均氏は自動車評論家とかジャーナリストとかではなく、その肩書は
合同会社未来モビリT研究を設立.現在,同代表.国際文化会館地経学研究所主任客員研究所,
 21世紀政策研究所欧州研究会委員などを兼務.」となっていて、かなり怪しいです(失礼)

なので、正直なところクルマ好きが、クラシックカーや旧車好きが読んで面白いかというと
ちょっとアレッてなるような内容でもありますが、日本の自動車や自動車メーカーをはじめ
各国の自動車メーカー、あるいは自動車部品メーカーなどがどのような世界情勢の中で発展し、
また衰えていったのかを知るには分かりやすい内容になってます。

また、そのような大きな世界的な流れとは別に自動車周辺の様々な出来事や小ネタなども豊富で
それらと様々なクルマのトピックスと関連付けて読み進めるのもある意味面白いところです。

 

ただね、個人的に非常に不満なのはスバル360をほぼ完全にスルーされていることです。
戦後の日本の自動車について、その記述がはじまるのは主に次のようなところからです。
                                     (以下引用)
 各社が競って大衆車、ファミリーカーを発売したのは、六〇年代に入ってからだった。二
輪・三輪メーカーだったスズキ、マツダ、ホンダが四輪乗用車生産に乗り出していた。東京五
輪が開催された六四年、マツダ・ファミリアが登場し、全日本自動車ショーは改名して東京モ
ーターショーとなり、海外メーカーも傘下するようになった。翌六五年にスズキ・フロンテが
登場し、六六年にはトヨタ・カローラ、日産サニー、スバル1000、翌年にはホンダN36
0(軽乗用車)が発売された。六六年は「マイカー元年」と言われる。    (引用終わり)

本書で最初に“スバル”と出てくるのがこのくだりですから、スバル360は無かったことになってます。
スバル360が発売されたのは1958年で、実質的に日本で初めての大衆車だったわけですし、
スバルというか富士重工だって二輪(ラビット・スクーター)から四輪乗用車生産に乗り出したのだし、
スバル360がなかったらマイカー元年だってもっとずれ込んでいたかもしれないし。

というか、スズキ・フロンテなんて失敗作というほど売れずほとんど爪痕は残せていないし、
それは’65年ではなく’62年発売(スズライトフロンテ)なので間違ってるし、
ホンダN360には「(軽乗用車)」と注記してるのに同じ軽乗用車のスバル360はスルーして
どうでもいいスズキ・フロンテは軽乗用車であることを注記しないとかチグハグですし。。。

 

とかなりプンプンな内容なのですが、メーカーとしての富士重工については少しだけ書いてあります。
                                     (以下引用)
 ここで富士重工業(二〇一七年、社名をスバルに変更)の歩みを紹介しておきたい。スバルの
前身は、戦前に東洋一の航空機メーカーだった中島飛行機であり、(中略)
 先述したスバル・レオーネの登場は七一年であり、当初は前輪駆動車だった。発売同年に東
北電力の要請で注文生産されたのが、レオーネのエステートバンに四輪駆動を装備した、四駆
版レオーネである。この経験をもとに翌七二年、同車は世界初のセダンタイプの四駆乗用車と
して登場した。以降、すぐに他社が追随した。
(中略)           後に(速い)ツーリングワゴンの流行を牽引するスバル・レガ
シィへと引き継がれた。                         (引用終わり)

全体で1ページほどを使って書かれているものの、ここでもスバル360は完全にスルーです。
レオーネ4WDについても端折ってるからか微妙に変なことが書かれているし、
すぐに他社が追随した」ってスプリンター・カリブだって10年以上後なんだけど。

また、ツーリングワゴンについて「(速い)」って注記してるのもなんかピントがズレてる感じ。
スバルとしては“ツーリング”でもGT=“グランドツーリング”にしても
長距離・長時間を安全に快適に、そして結果的に快速に走れるという意味で使ってきてるので、
単に速い=パワーがある(ターボ付)というレベルの話じゃないんですけどね。

他の箇所でもスバルは少しだけですがアチコチに顔を出しますが、次の話は知りませんでした。

(以下引用)                     カーナビは通産省の指導の下、七九
年に設立された自動車走行電子技術会(二〇〇三年より日本自動車研究所)の下で共同研究が
進んだが、起源は七三年にスバルと共にはじめた研究と言われている。    (引用終わり)

もっとも起源がそこにあっても実用化・製品化、さらにそこからの発展では完全に後発組でしたかね。
それよりも、スバルとしては自動ブレーキというかアイサイトが自動運転につながる技術の発展に
大きな影響をもたらしたと考えられるわけですが、これについても1ページ以下の紹介だけです。

と今回は敢えて少ししか書かれていないスバルについての部分だけを取り上げてみましたが、
他の日本メーカーや各国のメーカーやその事情など全体を網羅的に書かれています。
もちろん、モータースポーツなどについても触れられていますが、
でもまぁスバルの箇所だけに限らずちょいちょい首をひねるような内容も散見されますかねぇ。

 

スバル以外の話というか、もっと全体的な、つまり世界史として見て不満が残るのは、
VWのディーゼルゲートの話も一切出てこないのも少しどうなのかなという点ですかね。

今話題のダイハツをはじめ三菱、日野とかの不正についてはもちろん言及されていませんが、
まぁそれは日本国内では大問題でも世界的にはそれほどでもないし、
それで世界中の自動車産業の行方ががらりと変わったわけではないですが、VWの話は違います。

ディーゼルは環境に良いなんてウソがバレてじゃぁEVに行きます、ですからね。
なので、このVWのディーゼルゲートをスルーしてEVを語るなかれという気持ちです。

それにディーゼル→EVだけの話にとどまらずに、またVWだけの問題にとどまらずに、
国を挙げての経済政策やエネルギー資源問題も根底にあったわけですし、
それが世界情勢というか紛争の火種にもなっていることを鑑みれば、
やはりディーゼルゲートをスルーしていることは大きな欠損になっていると感じますかね。

あっ、そう言えば、今年の夏に厚木のパチンコ店駐車場で153台が燃えた火災の火元は
どうやらVWゴルフTDIだったらしいですね。
リコールも出ているそうですが、これもどうなるんでしょうねぇ(怖)

 

さて、そして、最後に「あとがき」ではこんなことが書いてあります。
                                     (以下引用)
 趣味である自動車やオートバイを仕事のネタにすることには迷いがあり、いまも葛藤がある、
というのが正直な現状である。個人の好き嫌いを仕事で出してはならないし、逆に仕事で客観
性ばかり追求すると、自分個人の好みが何だったのか、わからなくなることがある。
                                    (引用終わり)

えっ、著者は自動車やオートバイが趣味だったの? と意外に思った次第です。
まぁ趣味といってもどの程度のものなのかは人それぞれではありますが。

それはそれですが、この趣味を仕事のネタにすることへの迷いというのは分からないではないですね。
ボクなんかも幼少期からのクルマ好き、さらにはスバル好きで、
富士重工に入社してスバルの開発に携わったわけですから、その葛藤というのは分かります。

ただ、好きなことを仕事にすることの葛藤というか大変さや辛さは最初から覚悟の上でしたし、
自分個人の好みが何だったのか、わからなくなること」はほとんどなかったですけどね。

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