新書「常勝タイガースへの道」掛布雅之著を読了
阪神タイガースについては今年の春でさえ「阪神タイガースはなんで優勝できへんのや?」
ってな本が出るくらいネガティブ思考なのか自虐的なのか分からないような本が多いし、
著者の掛布さんでさえも「阪神・四番の条件」の本でも「タイガースはなぜ優勝できないのか」などと
ネガティブ指向なサブタイトルを付けていたのに、
今年優勝したら、ころっと変わって“常勝タイガース”なんて来ちゃったもんだから、もう笑っちゃいます。
もっともこのタイトルだけでは“常勝タイガース”になってるのか、これから目指すのかは分かりませんけど。
過去にも1985年の優勝時や2003年の優勝時にも「黄金期到来」なんて騒がれましたけど、
現実には1985年以後は暗黒時代と呼ばれるほどだし、2003年後も2005年に優勝しただけでした。
なお、本書は11月9日発行となっていますけど、当たり前のことですが
今月5日夜にオリックスを制して阪神タイガースが日本一になったことは全く触れられていません。
それどころかクライマックスシリーズにも触れられていないので、
基本的には今年のセ・リーグ優勝が決まった時点までのことで書かれています。
掛布さんとしては、というより発行所としては日本シリーズ後にするかどうか悩んだかも知れませんね。
まぁ日本シリーズ後にその内容も織り込んで年末や年明けに発行すると盛り上がりに欠けるでしょうが、
それよりもやはり日本一になれなかった場合に“常勝”とは言い難いという
ネガティブな思考がどこかによぎっていたのかも知れませんね。さすがの掛布さんでも(笑)
そんなこともあるのか、本書の「おわりに」では次のように締めくくられています。
(以下引用)
本書では、往年の名打者から1985年の阪神打線、そして2023年の打線、岡田監
督の采配の著してきて、そのなかで阪神の伝統とは何かについて考えてきた。(中略)
2023年のペナントレースを制した阪神タイガースは、CS(クライマックス・シリ
ーズ)を勝ち上がることができれば、日本シリーズを戦うことになる。
どのような結果であれ、常勝・阪神タイガースへの道は開けた。今後は常勝チームとし
て、ひた走っていくと、私は信じている。 (引用終わり)
この書き方からすると、掛布さんは今年から“常勝タイガース”がスタートして続くと信じてるようです。
ボクはその言葉を信じてぬか喜びに終わるのが恐いし、
阪神タイガース・ファンのサガとしてまだまだ懐疑的ですけどね(汗)
まぁ、どの程度のスパンで黄金期と呼ぶのかにも寄りますが、
岡田監督があと何年指揮を執るのか、現有戦力があと何年チームに留まるのかなど鑑みても
来年はいい勝負できるだろうし、2,3年は上位にいられるかもとは期待できますけど。
それよりも常勝ということを言うなら、チームの裏方、スカウトや育成方針とか運営組織やその風土、
そういったことも非常に重要になってくると思うのですが、さすがにそこまでは触れられてませんね。
また、上述の引用部分にも「往年の名打者から」とあるように
本書はただ“常勝タイガース”だけに焦点を当てている内容ではありません。
未来のことは分かりませんが、現在のタイガースの分析だけでなく過去の話も盛りだくさんで、
それらもなかなか興味深いものばかりですが、1点だけ紹介させてもらいましょう。
江川卓との電撃トレードとなった小林繁さんが阪神入団直後のことです。
(以下引用)
小林さんは、阪神ナインを前にした第一声で「阪神には歴史はあるが伝統はない。巨人
にはその伝統があるんだ」と発した。 (中略) 巨人に伝統があ
るのは、勝利を積み重ねた結果、培われたものだろう。
だから小林さんは、これから新しい阪神としての伝統というものをつくっていくために
「勝つ野球」をやる必要があると言っていたのだ。 (引用終わり)
いろいろな考え方はあるでしょうけど、確かに勝たないとなかなか伝統は作れないのでしょう。
断片的な伝説は阪神タイガースにもいろいろと生まれてますけどね。
だから、掛布さんも阪神タイガースに“伝統”を作らないといけない、そして
そのためにも“常勝タイガース”にならなければいけない、と言っているわけです。
ダメ虎なのを自虐的に喜んでいる部分もなくはないボクみたいなファンは失格なんですな(笑)
ただ、もちろん、個人的にも“常勝タイガース”を進むのは大賛成・大歓迎なのはまちがいないのですが、
かといって、巨人のようになりふり構わず金に任せた補強ばかりか、江川問題などを引き起こしたり、
倫理的にダークorグレーな選手を起用するようなチーム、それらをメディアの力で抑え込みむような
そんな球団、そんな伝統的な性質の球団にはなって欲しくはないですけどね。絶対に。
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