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文庫本「文豪たちが書いた『犬』の名作短編集」を読了

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彩図社の「文豪たちが書いた『犬』の名作短編集」彩図社文芸部編纂を読みました。

本書は2018年6月発行となっていますけど、いつ買ったのかもう忘れました。
買ってからしばらく積読になっていて、2,3年前に一度読み始めたのですが、
すぐに頓挫してまたとばらく積読になっていたのを意を決して読み終えたという形になりました。
まぁ、意を決するほどの大した話ではないんですけどね(笑)

ボクはいわゆる文豪と呼ばれる方々が著した本を好んで読みませんし、
文豪と呼ばれる方々の定義はよく分かりませんが、ほとんどは現代というより古い人たちでしょうし、
だから使われている単語や文体や漢字・仮名遣いが馴染みがないので、すらすらと読めないんですよね。
まっ、ボクには学がないからだと言われたらその通りなんですけどね(汗)

また、ワンコが登場する短編ということで、勝手にほっこりできる内容と決めつけてましたけど、
読んでみるとそういうのもなくはないけどどちらかと言えば少なくて
ちょっとエグかったり怖かったり哀しかったりのもあって、
「犬」と犬好き・オレンジ好きのボクにとっては少しあれっとなってしまった部分も多分にありました。

 

本書の冒頭、「序」としては次のように始まっています。
                                    (以下引用)
 本書は、文豪たちが書いた犬にまつわる短編小説・エッセイを収録したアンソロジーである。
 14人の文豪たちから作品を集めたが、犬に対する視線はさまざまだ。
 愛する犬の死を悲しむ作品、犬を憎悪しながらもいやいや飼うことになった主人公の作品、
飼主に捨てられたが従順に待つ心の美しい犬の作品、仲間を見捨てたことに罪悪感を抱く犬
の作品……                              (引用終わり)

アンソロジーって何? とまた学の無さを露呈してしまいました。
アンソロジー=異なる作者による作品を集めたもの。だそうです。

で、その14人の文豪は誰なのかということですが、列記しておきましょう。
夏目漱石、川端康成、林芙美子、太宰治、宮本百合子、夢野久作、佐藤春夫、
久生十蘭、豊島与志雄、正岡子規、田山花袋、芥川龍之介、小山清、小山未明。

なかには全く聞いたこともない人も居ますけど、だいたいはボクでも名前くらい知ってる方々ですね。
そして、1人で2作品も選出されているのもあるので、作品としては16作品が収められています。

 

というわけで、それぞれの作品を紹介してもネタバレになるというか、
面白くもないでしょうからやめておきましょう。

ただひとつ、犬とはなんの関係もないのですけど、
早期リタイア者には少し面白い場面が出て来たのでその部分だけ紹介しておきましょうかね。
小山清が著した「犬の生活」というものです。
                                   (以下引用)
「……私のもとには殆ど訪問客はない。私もまた人をたずねない。私は生まれつき引っ込
み思案な性分なので、独りでいる方が勝手なのである。たまに人とお喋りをすると、こな
れの悪い食物を食った後のように、しばらくは気色が悪い。『退屈して困る』ということ
をよく聞くが、私の日常などは凡そ退屈なものであるが、けれども私はそれだからといっ
て、べつに困りはしない。私にとっては、退屈は困るというようなものではない。私にとっ
ては『退屈』は気心の合った友達のようなもので、私は誰と共にいるよりも、『退屈』と
共にいて、無聊を託っている方がいい。いわば私は退屈を楽しんでいるのである。思うに、
徒然というものも、幸福感の一種なのかも知れない。」         (引用終わり)

うんうん、分かるわ~、その気持ち。

ボクもまったく同じではないですけど、「退屈して困る」ことは全然ないし、
かといって傍から見てキラキラしたリタイア生活を謳歌しているわけでもなく、
この退屈を楽しむ、いや徒然を愉しむって感覚は大いに共感できるところだし、
それがまた幸せなわけなんですよね。

まっ、そのように感じられるかどうかはおそらく人それぞれなんでしょうけどね。

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