新書「同人AV女優」を読了
本書の「まえがき」にでも書いてあるのかなと思いきや、次のような感じでした。
(以下引用)
筆者は本書と同時進行で歌舞伎町の取材(『歌舞伎町と貧困女子』宝島社新書)に入ってい
たこともあり、自らの意志で、“息を吸うように売春”するZ世代(おおむね1990年代後
半~2010年代前半生まれ)の女性たちを目撃している。彼女たちは自分の意志で男性客
を探し、合理的に稼げる方法を常に探していた。選択肢のひとつとして、新しい職業であ
る「同人AV女優」という選択肢も入ってくる。(中略)
いまの日本にいったい何が起こっていて、これからどうなっていくのか、同人AV女優
という職業に従事する女性たちから探っていこうと思う。 (引用終わり)
てな感じで、「同人AV女優」という言葉が既に当然のものとして使われています。
なんとなくピンとこないまま本文を読み進めていくと、
先ずは2022年6月からのいわゆるAV新法の話が出てきます。
それから、「適正AV」なんて言葉も出てきます。
ん? AVに適正とか適正じゃない=不適正なんて区別があるの? なんて思っていると……
(以下引用)
AV新法のこと、新法をめぐって3つの立場があること(賛成派、反対派、現役AV女
優/風俗嬢)、AV業界には3つの領域があること(適正AV、同人AV、違法業者)を伝え
たので、フリー女優・金苗希実の話に戻ろう。 (引用終わり)
フリー女優・金苗希実は仮名なのですが、本書はこのように実在する(と思われる)人への取材で
彼ら・彼女らが語っていることをそのまま文字にしながら書きすすめられているのです。
それはさておき、そして違法業者とは別に適正AVと同人AVというものが存在するのだそうです。
ふーん、なんとなく同人AVってのが見えてきましたが、さらに読み進むと、次のように定義されてます。
(以下引用)
本書のテーマである「同人AV」とは何なのだろうか。
定義すると「適正AV以外のアダルトビデオのこと」だ。具体的には個人や少人数で制
作した映像を「DLゲッチュコム」 「ファンティア」 「FC2」などのプラットフォームで
配信販売する。他にもポルノハブ(Pornhub)、エックスビデオ(XVIDEOS)など海外サー
バの無修正映像の配信、手売りのインディーズDVD、趣味の個人撮影などが同人AVに
該当する。 (引用終わり)
少し禅問答みたいなところもありますが、だいぶ具体的なところが見えてきました。
また、適正AVは今やほとんど“FANZA業界”と化してしまっているのだとか。
つまり、適正AVはほとんどFANZAに牛耳られてしまっており、かつAV新法の制約も強く、
結果的にAV制作は予算的にも厳しく、適正AV女優の活動も収入も大きく制限されたとのことです。
そんなことから同人AVということになるわけです。
以前から同人AVは存在してたんですが、適正AV女優から同人AV女優への流れが進むわけですね。
ということはAV新法そのものが逆効果になってしまってるんじゃないかとも言えるわけですが……
なお、この同人AVの中には合法として修正されたものもあれば、
(日本国内では)非合法の無修正のものも含まれていることになりますし、
同人AV女優の中には修正/無修正を問わず出演したり契約したりしているんだそうです。
かように本書は至って真面目に社会問題としてAVについてAV女優について書かれているわけですが、
まぁ登場してくる(取材されている)女性たちをはじめとしてボクには想像もできないような生き様で、
またAV業界の内情などもボクにはまったく知らなかったことが多く書かれていて、
いろいろと興味深いことが多々ありました。
けど、ここであまり書くのも憚られることでもありますが、ひとつだけ紹介して終わりにしましょう。
(以下引用)
趣味でハメ撮りといっても、素人には難しい。撮影をしながら勃起を維持、人に見せる
レベルのセックスを展開するのは至難の業である。同人AVでハメ撮りに挑戦する素人男
性のほとんどは、途中で中折れとなる。 (引用終わり)
あはは、そうでしょうねぇ。逆に言えばAV男優がいかにすごいかということですかね。
で、同人AVでは撮影目的ではなく、単に女優としたいからというだけの人もいるようです。
となるとほぼ本番ありのデリヘルと同じになってしまいますけど。
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