« 「アサヒ飲料工場フェスタ」@カルピスみらいのミュージアム | トップページ | 信号無視をするか、右側逆走をするか。どちらもダメなんですけどね »

ブルーバックス「楽器の科学」を読了

B230825_1
講談社BLUE BACKS の「楽器の科学 美しい音色を生み出す『構造』と『しくみ』
フランソワ・デュボワ(Frqncois Du Bois)著、木村彩訳を読みました。

ブルーバックスなので、以前に読んだ「無限とはなんだろう」をはじめとして
だ「円周率π……や「世界は『ℯ 』……」などと同様に左開きの横書きのスタイルとなっています。
けれど、数式はほとんど出てきませんので、別に横書きにする必然性も感じられないのですけどね。

著者はマリンバのソリストおよび作曲家として世界的に活躍されている方だそうですが、
楽器の製作に携わっているわけでも楽器の研究を生業としているのでもないので、
まぁ、さもありなんですかね。

 

そんなわけで、科学とはまったく関係ないですが、本書の「はじめに」ではこんなことが書かれています。
                                   (以下引用、改行位置変更)
 楽器は、私の母語であるフランス語と英語では共通して、「instrument」という単語で表されます。
ラテン語で「手段/道具」という原義から派生した言葉です。
 楽器は確かに、音楽を演奏するために不可欠な「手段」であり「道具」であるわけですが、私は、来日
して初めて知った近代以降の日本語の「楽器」という言葉のもつニュアンスのほうが、よりしっくりくる
ように感じています。すなわち、「楽しむ」あいは「楽しませる」ための「器=道具」です。
                                         (引用終わり)

確かにインスツルメントだと単に「機器」って感じで機能的だが無機質なイメージが強くなりますが、
「楽器」と言われるとしっくりくるのは日本人だからでは済まされない何かがあるのかもねぇ。
でも、「楽器」は楽しむ機器から来ているより、「音楽」を略して「楽」なんじゃねぇとも思えますが。
ただ、それならどうして「音楽」を略して「音」でなく「楽」なんだろうとも……

いやー、ちゃんと調べてみたら目から鱗でした。
「楽(樂)」という文字そのものがどんぐりを付けた楽器を表した象形文字であり、
そこから「楽しい」という訓読みに用いられるようになったとのことです。へぇーですね。

なので、「音楽」を「楽」で略して音楽を鳴らす器で「楽器」でもないけど、
本書に書かれた「楽しむ」ための器だから「楽器」だというのもこれまた違っていて、
本来は「楽」そのものが楽器を示し、音楽や楽器が楽しいから「楽しい」と書くようになったわけです。

 

さて、本書では先ほどのように数式などはほとんど出てきませんが、
それでもボクは楽器について詳しく知っているわけでもなんでもないので、
本書を読んで「へぇー」と驚くことが多々ありました。
例えば、次のようにバイオリンの構造についての話です。
                                   (以下引用、改行位置変更)
「バイオリンを構成する部品のなかで、最も大切なものは何か?」と聞かれたら、みなさんはどう答える
でしょうか?
 弦? ボディ? 弓?
 もちろんそのどれもが重要ですが、「最も大切」という条件に合致するのは「魂柱(こんちゅう)」とい
えるかもしれません。                               (引用終わり)

はい、魂柱、何それでしたよ。
だって、バイオリンってこの手で触ったことないし、触っても魂柱は見えないしね。
でも、ここで魂柱の説明はしませんし、他にも f 字孔とかブリッジとかバスバーとかいろいろあって、
どんな構造でどんな役に立っているのかなど知らないことだらけでしたね(恥)                              

 

また、本書では楽器だけでなくコンサートホールなどの音響についても触れられていて興味深かったです。
そして、楽器についてもコンサートホールについても基本的な部分では科学的な取り組みがされてますが
結局はなかなか計算通り(シミュレーション通り)にはいかずに試行錯誤の世界が多いこともわかります。

そして、本書の最終章では「世界的ソリスト10人が教えるプロの楽器論」と題して
それぞれが考える良い楽器とは、楽器との関係性は、そして印象深いコンサートホールを語っていて、
その最後に本書の著者であるフランソワ氏も登場するのですが、こんなことを書いてます。
                                   (以下引用、改行位置変更)
 ステージやレコーディングでこの楽器と再会するたび、「手なずける」感覚を取り戻すためにいくらか
時間を要するほどです。それがうまくいかないときは、楽器の横に座って「どうやって弾いてほしいの?」
と、語りかけます。音板をていねいになでて、あらためてお互いをよりよく知ろうと試みます。
                                         (引用終わり)

もう完全に精神論になってしまい、“科学”はどこかにふっ飛んでいってしまってますね(笑)
まぁ、楽器に限らずクルマとかバイクだってこういう精神論になりがちですから
分からないわけでもないんですけどね。

|

« 「アサヒ飲料工場フェスタ」@カルピスみらいのミュージアム | トップページ | 信号無視をするか、右側逆走をするか。どちらもダメなんですけどね »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「アサヒ飲料工場フェスタ」@カルピスみらいのミュージアム | トップページ | 信号無視をするか、右側逆走をするか。どちらもダメなんですけどね »