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LMS委託業務の続きの前に、サス基礎特性計測装置の話

前回記事では2004年ごろに、ベルギーのLMS社に「ハンドリング評価手法」の先行開発を委託し、
まずは操縦安定性の定量評価とCAEとの相関を取ることから始めることになったと書きました。

そこで、ボクら実験部では操縦安定性の定量評価の測定結果とサス基礎特性の測定結果を提出し、
LMS社と設計部内にあった(操安性)CAEグループの両者がCAEとの相関を取って、
それぞれ比較しつつ意見交換をして、精度を高めることをやりましょう。という計画です。

なので、ボクら実験部はいままでやってることをそのままやって提出するだけですし、
特にボク自身にとってみると、定型化している操縦安定性の試験とサス基礎特性計測などは
部下の人に丸投げでやってもらうだけで済むので、まぁ楽ちんでいいやとほくそ笑んでいたわけです。

 

ところで、ここでサス基礎特性というものについてその測定装置とともに説明しておきましょう。
メーカーによっては車両基礎特性とかとも呼ぶらしいのですが、
サスペンションとステアリングのパラメーターを台上試験で計測したものになります。

ステアリング特性、バネ特性、アライメント変化、サス剛性などに分けられるのですが、
ひとつづつもう少し詳しく説明しておきます。

ステアリング特性は台上でステアリングを操舵して、ステアリングギヤ比(変化)、ロックtoロック、
舵角差、フリクション、ステアリング剛性などを計測します。

バネ特性は台上でフルリバウンドからフルバンプまでサスペンションを上下動させて、
サスレート(バネレート)、サスストローク(リバウンド/バンプ)、バネ上fo(固有振動数)、
フリクション、それとロール剛性、スタビ分担率などを計測します。

ロール剛性とスタビ分担率は左右輪を逆相に上下動させますが(実際は荷重移動させる)、
それ以外では左右同相で上下動させて計測します。
また、左右同相で上下動させた時には、同時にアライメント変化(ジオメトリー変化)、
つまりストロークに対してトー角変化やキャンバ角変化がどうなっているかも計測しています。

ただし、アライメント変化として数値を持ってくるのは、ロール剛性と同様に左右逆相した時に、
トー変化やキャンバ変化、さらにトレッド変化などを計測します。
これらはロール角に対する変化で、ロールステア、ロールキャンバ、ロールセンタ高の形で表します。

最後のサス剛性は、タイヤの接地点に前後力、左右(内外)力、回転トルクを加えて、
その時のトー変化、キャンバ変化、接地点変位などを計測します。
そこから、横力ステア、横力キャンバ、横力トレッド(横剛性)、前後力ステア、前後軸剛性、
アライニングトルクステアなどの形で表します。

これらによって、実際の車両が旋回中などにどれだけロールするか、横力がどれだけかかるから、
ロールステアと横力ステアでどれだけトー角が変って、キャンバ角もどれだけ変わって……
タイヤそのものの特性からどれだけタイヤで発生する力が変わるから車両挙動がこうなる。
ってなCAEが出来るようになるということです。

まぁ、CAEだけでなくその手前でなんとなくサスの良し悪しが分かるということなんですけどね。

 

そして、そのサス基礎特性を計測する台上試験装置をサス基礎特性計測装置と呼んでいたのですが、
これは車体を台上にガッチリ固定して4輪というか4つのタイヤの接地している台=テーブルを
上下に動かしたり、左右(内外)や前後に力を加え、
その時の4輪のディスク面の動きを計測するわけです。

以前は群馬のテストコース内のとある実験棟の中にこのサス基礎特性計測装置があったのですが、
それは一度に2輪しか測れないもので、(車両を固定して)前輪だけ測って、
車両の前後を入れ替えて(また車両を固定して)今度は後輪だけ測ってました。
その前は装置と呼べるほどのものはなくて個別に力技で測っていただけみたいですが、
ボクが入社したころにはこの2輪だけのサス基礎特性計測装置になっていたと思います。

その2輪サス基礎特性計測装置は自動車専用の計測機メーカーが造っている出来合いの完成品でなく
主に油圧自動制御機器などを扱う鷺ノ宮製作所にてほぼ1点モノという感じで造られたものでした。
どうして、そんな実績のないメーカーのモノを使ったのかというと、安いからです(笑)

でも、鷺ノ宮製作所はサギじゃないかというくらい自動車についても見識もないし、
当然ながら他の自動車メーカーはほとんど相手にしないのでそのような計測器の実績もないので、
結局はこちらが手取り足取り一から何をどう計測して、各種センサからの信号をどう計算するのか、
すべて指定して、その通りに出来ているのかチェックしないと
まともなモノが出来ないというほどの情けないというかこちらからするとやっかいなメーカーなんでした。

なので、当時、その2輪サス基礎特性計測装置の導入に携わったO原先輩
十二指腸潰瘍を患いながらほぼ先輩ひとりでこれに当たっていたとの噂を聞いているくらいです。
特に2輪だと前後入れ替えなどとともに座標系もガラリと変わるので
計算上の座標軸、プラス/マイナスをすべて間違いなく指定しないとなりませんから
相当に細部にまで神経をいき届かせて、何度もチェックしないと完全ものになりませんからね。

さらに、肝心の油圧制御のハードウェア自体もトラブルが多くてしょっちゅう壊れていて
また鷺ノ宮の対応もまったく迅速さがなく、そのたびに業務計画がズレこんでしまうほどの代物でした。

けれども、その後、操縦安定性の実験部隊がSKCに移ってしばらくしてから
SKC内に4輪のサス基礎特性計測装置を新設することになりました。
この4輪のはF貫さん(同期入社で、現専務)が責任者として導入したものですが、
2輪のと同じく鷺ノ宮製作所のもので、嫌~な感じで案の定それなりにトラブルも多かったです。

それでも、以前の2輪のから20年近くも経っているのでそれなりに技術レベルも上がってるだろうし
2輪のもののノウハウをベースに4輪化しているのだし、4輪の方がむしろシンプルだし、
なので、まぁ少しはマトモになったというのが当時の素直を感想でしたかね。

そして、このLMSへの委託業務は4輪のサス基礎特性計測装置導入の2,3年後のことになるので、
当然ながら4輪のサス基礎特性計測装置での計測ということになります。

 

さて、LMS委託業務の題材、つまりどの車両を使って計測やシミュレーションをするかですが、
当然ながら勝手知ったる(?)スバル車の量産車が良いんではないかということで、
なら最新ということだと、当時だと21Z(4代目レガシィ)にしましょうということになりました。

笑っちゃうのは、この21Z、あんなに大人数で寄ってたかって開発していたのに、
量産仕様や開発最終仕様の操縦安定性の計測結果もサス基礎特性計測結果もなかったんですよね。
結果があればそれを流用してさらに楽しようとは考えていませんでしたけど、
計測結果が開発の狙いだったかどうかを検証しようとは思ってたのにねぇ。

いったいどうゆう開発の仕方をしてたんだよって感じだし、
サス交換ばっかり繰り返してただ試乗していいだの悪いだの(ほとんど好き嫌いの話?)の繰り返し、
そんなの自動車メーカーのエンジニアリングじゃなくて、チューニングショップのやり方だよな(笑)

というわけで、21Zの量産車を手配して、部下の方に操縦安定性の計測とサス基礎計測をしてもらい、
結果をちょいちょいと英語に翻訳してLMS社に提出してハイ完了! 
あとはLMSと設計部署でよろしく!

となるハズでした。が……

 

ということで、続きはまたね(汗)

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