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単行本「日本の特殊部隊をつくったふたりの“異端”自衛官」を読了

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ワニ・プラスの「日本の特殊部隊をつくったふたりの“異端”自衛官――人は何のために戦うのか!――
荒谷卓、伊藤祐靖著を読みました。

最近はいろいろと事件・事故・不祥事などもあり、一方でメディア取材も多くなり、
プラス・マイナスイメージ双方での自衛隊の話題は多くなってきているなと感じますが、
こちらはその自衛隊の中でも特殊部隊の話となっています。

海外の特殊部隊とかは映画などの題材になったりして、信憑性は別としてもイメージは持てますが、
日本の特殊部隊となるとあまり公表されている情報はなく、ベールに包まれている感じです。
なので、どんなもんだろうかという興味から読んでみることにしました。

著者の荒谷氏、伊藤氏ともに元自衛隊の特殊部隊に在籍した人です。
在籍したというより自ら特殊部隊の創設をした人といった方がいいでしょう。
もう少し詳しく言えば、荒谷氏は陸上自衛隊の元特殊作戦群群長、
伊藤氏は元海上自衛隊特別警備隊先任小隊長です。

荒谷氏はボクより3歳上、伊藤氏はボクより2歳下なので、まぁ同世代ですが、
さすがに生きていた世界がまるっきり違うので、同世代感はまったく感じませんでした。

本書はそんな二人が対談したのを文字起こししたものとなっています。

 

そして、二人とも元自衛官であるので当然ながら国防に関することなど守秘義務がありますので、
特殊部隊についても事細かに解説されているわけではありません。
なので、日本の特殊部隊そのものについて詳しく知ろうというのならば
この本よりも推測などを交えた第3者が取材して得た情報などを頼りにした方がいいかもですね。

ということで、むしろ特殊部隊を創設した経緯やその人となり、考え方などに焦点が当たっています。
いくつか興味深い内容を断片的に紹介しておきましょう。
                               (以下引用)
伊藤 私は海上自衛隊の特殊部隊である特別警備隊に足かけ八年所属していまし
たが、私が考える特殊部隊の最大の特徴とは、孤立を前提としていることです。
軍事作戦は後方支援、通信、食事の用意、弾の準備など、様々な役割を持った組
織が同時に動いて初めて任務を遂行できます。
 ところが特殊部隊では、孤立無援になっても作戦を遂行することを求められま
す。通常ほかの部隊の支援を受けられることでも、自分たちでなんとかしないと
いけない。そのため特殊部隊では、どんな状況でも任務を遂行できる幅広い能力
を備える必要がありました。(中略)
荒谷 孤立が前提というのは、陸上自衛隊の特殊部隊である特殊作戦群も同様で
す。とくに特殊作戦群の場合は、最初から単独で行動することを前提としていま
した。                           (引用終わり)

自衛隊というといわゆるごりごりの体育会系で個人より組織というイメージですが、
こと特殊部隊に限ってはそもそもが孤立、つまり個人でしかないということなのでしょう。
だから、個人が幅広い能力を備えなければならず、かつ個人で考える力が重要とのこと。

ですから、特殊部隊になる人はやはり“特殊”な人みたいです。
                        (以下引用、改行位置変更)
荒谷 (前略)
 自衛隊には命令をきちんと実行できる人はたくさんいても、何をどこまでやる
のかを自分でジャッジできる人は少ない。組織に噛みついてでも自分が正しいと
思うことをはっきり言う自衛官は、「面倒くさいやつ」と嫌われます。
 しかしじつはこういうタイプが特殊部隊に向いているのです。従順で素直な人
より、ひん曲がっていたり、物事をいつも斜めから見たりする人ですね。
伊藤 そうですよね、うちも自衛隊の基準ではなかなか評価されないタイプが集
まりました。なかでも一期生、二期生は、組織のはみ出し者ばかりでした。
                              (引用終わり)

あはは、ボクも元会社では「面倒くさいやつ」と言われたし、
物事をいつも斜めから見たり」「組織のはみ出し者」とか見られていた時期もあったので、
その点では特殊部隊向きだったのかもしれませんね。
まぁ武闘派でもなんでもないので武力・体力という点ではまったくもって不向きですが。
それでも、テストコース運転ライセンスは「特殊」でしたけど。関係ないか(笑)

まぁでも特殊部隊を作った人がそう言っているので、
その本人たちはさらに輪をかけての曲者、はみ出し者だったのは間違いないのでしょう。
そんな二人ですから、自衛隊入隊の経緯もかなりぶっ飛んでいます。
                               (以下引用)
伊藤 (前略)       そんなとき、ふと母方の祖母に言われた言葉を思い
出しました。
「あんたは可哀想だね。あんたみたいな身体だけが丈夫な悪い子は、昔はみんな
予科練に行ったもんだよ。(中略)
 予科練は優秀な人ばかりと思われているけど、あんたと一緒でみんなそこらへ
んの愚連隊みたいなのが行ったんだよ。だからみんな予科練じゃなくてヨタ練と
呼んでた。
 いまはあれがないからね。そりゃバイクに乗りたくなるだろうね」(中略)
荒谷 (前略)
 あるときその先生に「ちょっとついてこい」と言われ、島田和繁先生のところ
へ行きました。音を立てずに玄関を開けろと言われ、その通りにすると、島田先
生にいきなり刀をぐっと首元に突き付けられ、「貴様、何奴」と言われたんです。
(中略)
 恐る恐る島田先生の家に入り緊張して正座していたら「お前は軍人の顔をして
いる。自衛隊に行け」と言われました。初っ端に首元に刀ですから、もう「ハ
イ!」と言うしかないですよ(笑)               (引用終わり)

予科練が本当にヨタ練だったのかは分かりませんが、戦況悪化後はそうなったのかも。
なんにせよ、こんなことを孫にいう祖母も祖母ですが、そのくらい「悪い子」だったんでしょう。

さらに信じがたいのは荒谷氏の話です。刀って真剣?模造刀でも小便ちびりそうですが(笑)
いくら40年ほど前の話といっても、ボクの子供時代を思い返しても想像すらできない話ですね。

 

と、まだまだ面白い、というよりぶっ飛んだ話は続いていきますし、
そんな二人なのでその思想というか死生観なども常人(?)のボクには想像すらできないものがあります。
それについてはボクにとっても他の常人にとってもなかなか理解も賛同もできないものもあるでしょう。
なので、それらについてここで紹介して意見することはやめておきましょう。
興味のある人は本書をお読みくださいね。

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