« LMS社に「ハンドリング評価手法」を委託 | トップページ | 麺紀行:AKB38で彷徨って「エル・ヒラソル」のパスタランチ »

単行本「MotoGPでメシを喰う」を読了

B230525_8 
三栄の「MotoGPでメシを喰う グランプリパドックの生活史」西村章著を読みました。

著者の本は昨年に「MotoGP最速ライダーの肖像」を読みましたね。
著者は2輪ロードレースを中心としたジャーナリストということなので、
本人自身もグランプリパドックに通い続けるような、
ここでいうMotoGPでメシを喰っているような人なわけですが、

本書ではその他の様々な立場でグランプリパドックで仕事をする人、
ライダーとか表舞台の人というよりほとんどがレースの裏方の方の人に焦点を当てて、
彼ら彼女らにインタビューをしたものをそのまま文字起こししたものとして書かれています。
それでも、レーサーとしてこの世界に入って、別の仕事をしている人も結構いますけど。

本書の「はじめに」でもそのあたりのこと、つまり本書の構成などについて、
次のように詳しく書かれています。
                          (以下引用)
 本書では、そんなパドックの中で長く仕事をする(していた)9名
の日本人に登場を願い、レースの世界と関わりだしたきっかけや、現
在の職に至るまでの経緯、過去に経験した数々のエピソード、今の仕
事に魅力を感じる理由、レースにかける思い、等々をたっぷりと語っ
てもらいました。時間軸は、MotoGPという言葉がまだ存在すら
しなかった1970年代から現代に至るまで、と非常に幅広く、仕事
の内容もガレージでマシンをチューンするメカニックからパーツサプ
ライヤー等のレーシングサービス業務、チームのバックエンドを受け
持つPR業務やコミュニケーション担当等々、と多岐にわたります。
(中略)
 では、ここから先はわたくしが、<グランプリ界のプロフェッショ
ナルたち>9名の疾風怒濤かつ波乱万丈な半生を、水先案内いたします。
                         (引用終わり)

ところで、改行位置変更せずに引用しましたが、おわかりのように1行が短いです。
縦書きですが、なぜかこの「はじめに」と「おわりに」だけは
ページの下3分の1ほどが空白になっていて、1行が短くなっているんですよ。

でも、本文内はそのような間の抜けた空白はなくて1行は長くなっていて、
それで総ページ数360ページを超えるくらいの厚さがあるから
それなりに読み応えはある一冊になっています。

といっても、インタビュー形式の口語体で書かれているのでとても読みやすいですけどね。

 

そして、その登場する9名の方ですけど、ボクはほぼ全員知らない人でしたが、
いちおう、「もくじ」に書いてあるままにここに紹介しておきましょう。
                    (以下引用、ページ数は割愛)
1 石橋を叩いて確認する前に渡っちゃう――熊谷義貞
2 おれの仕事はきれいな視界を保つこと――長谷川朝弘
3 ライダーと制御の間に入るのが自分――島袋雄太
4 チャンスを逃すと二度と来ない――金子直也
5 楽しいことをやる、いつ死ぬかわからないから――新井武志
6 必死でがんばっている人を放っておけない――根岸直広
7 「やんなきゃ」に追われながら走ってきた――佐伯智博
8 何でもお手伝いしてあげたい、という思い――塚本肇美
9 モーターサイクルはアウトローの象徴だった――杉原眞一
                           (引用終わり)

 

というわけで、ひとりひとりのインタビュー内容までここでは紹介するつもりはありませんが、
ひとつだけ、第2章のヘルメットサービスの長谷川朝弘氏の話が面白いので紹介しておきましょう。
                                        (以下引用)
 SHOEIでは広報宣伝課で、元ミスターバイクという経歴もあったので、雑誌回りの広報担当者
として仕事をすることになりました。サラリーマンは初めてだったけど、辛かったですね。先輩に連
れられて朝から外に出て、まず最初にすることは、先輩が青山墓地で寝るんです。それに付き合って、
昼過ぎくらいからぼちぼちと雑誌の編集部に顔を出しに行ってちょこちょこと話をして、早く帰ると
社長がいて怒られるから社長が帰った頃に会社に戻ってタイムカードを押して帰る、という日々でし
たね。
 入社したのは1月だったけど、(中略)
 6月には自転車のヘルメットを作ることになって、アメリカで作ったほうが安いということで「工
場長として行ってきなさい」と言われて行ってみたら、現地では「自転車のヘルメットなんて、そん
な話は何も聞いていない」ということで全然話が通ってなくて、「でもせっかく来たんならしばらく
いなさい」ということで、仕事は毎日倉庫掃除。それで3ヶ月が過ぎて、帰国したら手当とかなんだ
かんだで結構な報酬をいただいた記憶がありますね。               (引用終わり)

ええっ、SHOEIって人の命を預かっているあのヘルメットメーカーのSHOEIですよね。
それが、こんないい加減な会社だったとはちょっと呆れるというより驚きですな。
職種にもよるんだろうけど、昼まで寝てるとか、入社すぐの人を工場長にするとか、
でも実は話が全然通ってないのに、高額出張手当は貰えるだとか……

で、この翌年にSHOEIは会社更生法の適応申請して倒産するんですな(笑)
まぁ、確かにこんないい加減な会社じゃ倒産するのは当然ですけど、
そんないい加減な会社が作るヘルメットなんて絶対に被りたくはないですけどね。

いくら開発陣や品質管理部門は真面目に厳しくやってると言われても信頼できないしね。
もっとも、そもそもSHOEIのヘルメットの形はどうもボクの頭の形にはマッチしないようで、
すこぶる被り心地が悪かった印象しかないので、もう一生被ることはないでしょうけどね(笑)

それにしても、ヘルメットサービスなんて仕事がレースの現場にあって、
そのほとんどがレース中のバイザーの視界確保、
特にウェットレースでの曇り防止に特化してる仕事というのは初めて知りましたよ。

|

« LMS社に「ハンドリング評価手法」を委託 | トップページ | 麺紀行:AKB38で彷徨って「エル・ヒラソル」のパスタランチ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« LMS社に「ハンドリング評価手法」を委託 | トップページ | 麺紀行:AKB38で彷徨って「エル・ヒラソル」のパスタランチ »