新書「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」を読了
ここでも何度か書いたと思いますが、ボクはいちおう阪神タイガースファンです。
まぁあまり熱狂的なファンではありませんけど、もう50年来のファンです。
で、確かにほとんどタイガースは優勝できていません。
今年はアレか? と思わせながらもここに来てなにやら怪しくなってきてますし。で、
光文社新書の「阪神タイガースはなんで優勝でけへんのや?」喜瀬雅則著を読みました。
著者は神戸市生まれで、もちろん子どものころからの阪神タイガースファンだそうですが、
サンケースポーツで阪神の他、オリックス、近鉄、ダイエー、中日などの番記者をしていたそうで、
本書では阪神タイガースファンとしての熱弁という色合いは控えめで
記者として比較的淡々と書いてあるという印象を持ちました。
ただし、データ分析や野球理論などによって阪神タイガースが優勝できない理由をあぶりだした
というような内容ではなく、いろいろな取材などを通じてこんなことですかねという内容です。
なので、当然ですが、これを阪神球団首脳部が読んで、「そうか、じゃぁ対策しよう」とならないし、
それで阪神タイガースが優勝できるようになるともならないでしょうね。
本書の「序章」では次のように書いてあります。
(以下引用)
列挙した「阪神のアカンところ」は、もはや拭い去れない定説のようになっている。
こうした話を掘り下げ、突っ込み、厳しく分析したような書籍やレポートを探してみたの
だが、どれも隔靴掻痒の感が否めない。
じゃ、お前はそれを取材して、書いてきたのか?
そう問われると、俯かざるを得ない。この部分での自己批判と反省は大いにある。
ただ、繰り返しにはなるが、どことなく「阪神ってこういうもんやろ?」というところで
すべての話が、とどまっているような気がするのだ。
この、どこかふんわりとした“謎”に切り込んでいこうというのが、本書における最大の
チャレンジでもある。 (引用終わり)
なんですけど、正直な感想としては本書を読んでもふんわりしたままな感じですかね(汗)
確かに色々な人に取材をして当時の事実関係を確認していて、それは事実なんでしょうが、
だからといって客観的に他球団と比較して具体的に何がどうちがうかはよく分からないし、
それが優勝につながっているのかどうかも想像の域を出ていないと感じたからです。
でも、そういうふんわりしたことそのものや、当時の関係者の言葉や事実を知って、
あぁそんなことがあったのね、なんて思うのも本書の楽しみ方かなと思いますね。
関西の熱狂的阪神ファンならそんな事実(というか事件)も知っているのかもしれませんが、
愛知県、群馬県で生きてきたまぁなんとなくの阪神ファンのボクにとっては
かなり新鮮な話題も多かったですからね。
ちなみに、先に引用した部分の冒頭の「列挙した『阪神ファンのアカンところ』」は次の6つです。
(以下引用)
いわく、マスコミが、毎日毎日、あることないこと書くからや。
いわく、ファンが、ぎゃーぎゃー言い過ぎるからやろ。
いわく、タニマチが、夜の街に選手を連れ回すからや。
いわく、OBたちが、ごちゃごちゃと現場に口を出し過ぎやん。
いわく、スカウトが、ええ選手を獲ってけえへんからやろ。
いわく、2軍で、若い選手をちゃんと育てへんからやん。 (引用終わり)
うーん、どれもかなり当てはまっているなぁと思いますよね。
これらについても、特にスカウトの問題、2軍以下の育成の問題などについては
本書でもそれなりに深堀りされていて、どうしてそのような問題が出てしまうのか、
球団首脳部の考え方や立場、そして資金や立地条件の課題、制度的な課題などまで言及されてます。
それについては、それなりに具体的な分析がされていると言えなくはないですね。
ただ、阪神のアカンところというよりも阪神ファンのアカンところでもあるんですが、
ここに列挙されていないもうひとつの大きな要因があるんじゃないとボクは思うんですよね。
それに関連することも「序章」の最後に書いてあります。
(以下引用)
そうやって、どうぞ、あちこち突っ込みながら読み進めてください。それこそ、阪神タイ
ガースの「楽しみ方」でもありますから。
一つだけ、ここで強調しておきます。
この本を貫き通しているのは“阪神愛”です。 (引用終わり)
そういうことなんですよ。突っ込みが楽しみ方になっちゃうんです。
そりゃぁ、阪神ファンなら誰でも優勝して欲しいとは思ってますよ。
でも、負けたって、それで突っこんで、それが楽しみになるわけですよ。
だから、阪神ファン優勝せずともファンでいられるし、
チームも選手もやはりどこかでなんらかの甘えが生じてしまうんでしょうね。
“阪神愛”ってのはそういうことなんですよね。
さぁて、今年こそ阪神タイガースは「アレ」できるでしょうかねぇ(笑)
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