新書「国費解剖 知られざる政府予算の病巣」を読了
(以下引用)
残念なことに「国費解剖」が始まってからも、財政規律の崩壊が一段と強まっている。読
者のみなさんにも国費の流れに厳しい目を向けていただきたいと考え、本書ではできるだけ
取材・調査のプロセスを紹介する。隠れた問題発掘に私たちとともに取り組む一助としてい
ただければ幸いである。 (引用終わり)
まぁ、ボクも国費、大元はボクらの税金がどんな風に使われているのかは断片的にしか知らないし、
正直なところあまりどうせよく分からないからといつも意識していないわけですが、
これをきっかけに少しでも意識ができるようになればと思って読んでみることにしました。
本書ではまず序章として「コロナ予算はどこにいった?」としていますが、
新型コロナ関連についてはその他の章でもよく出てきます。
切り口としては第1章では予備費、第2章では基金、第3章では特別会計、第4章では委託事業、
そして第5章では政府検証、第6章では国と地方ということになっています。
それらについてここでは詳しく内容を紹介することはしませんが、
どれもこれもお金の流れが不透明で全体像が分からず検証もできないことになっているようで、
むしろわざとそのような不透明な形になるように予算が組まれているのではないかと
思わざるを得ないようなことになってしまっているのが日本の現状みたいで、暗い気分になります。
お上(政府や官僚)に任せておけば上手くやってくれる、という日本人らしい考えが根底にあり、
そのような現状を肯定というか放置・黙認してしまっているのかもしれないですし、
それがさらに助長して悪化させてしまっているのかもしれないですね。
まぁ、ボクもその日本人のひとりでもあるので反省すべきなのでしょうけど。
さて、国費ウンヌンとは直接関係ないのですが、ちょっと気になったことがあったので紹介します。
(以下引用)
2021年11月、理化学研究所や神戸大の研究チームによるスーパーコンピューター「富
岳」を使った新型コロナウイルス研究が(中略)
この研究は内閣官房が感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指して2020年度第2次
補正予算で立ち上げたコロナ調査研究事業の一環だ。(中略)
ただ、この事業の運営を取り仕切ったのは内閣官房ではない。実際の仕切り役は大手コン
サルティング会社の三菱総合研究所だった。内閣官房がプロジェクトの公募や審査から必要
な資機材の調達、会議の運営まで、ありとあらゆる業務を同社に委託した。 (引用終わり)
この富岳での計算結果については、ボクもこちらの記事に書いたように、
どうしてわざわざ「富岳で……」と強調するのかとか、
計算結果の解釈や報道についての違和感を感じたりしたわけですが、
これを読むとなんとなくその違和感の元というかその一因が思い浮かぶという感じですかね。
もちろん、この件についても本書では別に三菱総合研究所がどうとか内閣官房がどうとかの話ではなく、
委託先選びで競争原理が働くことなく大手コンサルと広告代理店に依存していることが問題とされてます。
それにしても、本書を読むと一般企業では当たり前の予算・決算・収支などが
まったく不透明のまま放置されている実態が分かり、
本当に唖然とするとともに愕然とさせられますな。
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