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新書「結局、年金は何歳でもらうのが一番トクなのか」を読了

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青春新書の「結局、年金は何歳でもらうのが一番トクなのか」増田豊著を読みました。

ボクは、この記事この記事でも書いているように、公的年金の受け取りの戦略はすでにあって、
70歳まで繰り下げを基本にして、その時の健康状態と貯金残金を鑑みて調整することにしています。
なので、あまり本を読んで、これから年金受け取り戦略を考えようとは思わないのですが、
著者がどんなことを書いているのかにはちょっぴり興味があるし、
年金制度は複雑なので、ボクの知らないこともいろいろあるだろうから、
一度読んでおいても損はないかなと思い、買って読んでみることにしました。

なお、iDeCoなどについてはほとんど解説されてないのは目次で確認済みでしたので
iDeCoの受け取り戦略には何の役にも立たない本なのは、端から承知の上で読みましたけどね。

 

けれど、本書の「はじめに」では次のように書いてありますので、
ボクとは考え方の基本路線がまったく違っていることが分かりました。
 ※「はじめに」くらい読んでから本を買えって言われると、その通りなんですけどね。
                                   (以下引用)
 つまり、「年金をより多く受け取るためには、どうしたらいいのか」という視点に立って、
その「指標」を示すことが大切なのだと気がついたのです。
 本書では、こうした考えにもとづいて、ひとつの「大きな指標」を示すことを徹底しま
した。(中略)
 本書は、みなさんが「生涯にわたって受け取る年金の総額をもっとも多くするにはどう
したらいいのか」という指標を示すものですが、同時に、皆様のライフプラン見直しの一
助になれば幸いです。                        (引用終わり)

ボクは年金の本質は保険であって、それは主に長生きリスクに対する保険であるとの認識ですから、
このように一生涯で受け取る年金の総額とか、損得勘定で考えるのは違和感しかないですからねぇ。

しかも、その後につづく「序章」ではこのように書いてあるわけですから、何をかいわんやです。
                                   (以下引用)
 年金を何歳から受け取り始めれば、生涯にわたって受け取る年金の総額をもっとも多く
できるのか。その悩ましい問題についての答えは、実際のところ「寿命」という不確実な
要因によって左右されてしまうところが大きいのです。         (引用終わり)

だから、その不確実な要因に左右されないように年金を捉えることが必要なのではないでしょうか。
著者は、その不確実な要因を平均余命でもって、以降、あたかも確実であるかのように計算します。
何歳まで繰り下げ受給して、何歳まで生きれば総額が多くなるとかね。

でも、問題はそれより長生きしてしまったときに年金がその額で足りるかどうかではないですかね。
逆に年金が十分に足りるのであれば、著者が主張するように繰り下げ受給で年金を増やす必要も、
さらには65歳以降もバイトであれ正社員であれお金のために働き続ける必要もないわけです。

もっとも、年金だろうか労働収入だろうがとにかく貯め込むだけ貯め込んで、
遺産を遺したいとか、そもそも貯金が趣味だという人なら、また話は別ですけどねぇ。

 

とはいえ、著者はいろいろなケースや価値観によって変わるといいつつも、
その主な主張は、基本的には70歳まで繰り下げて受給ということのようで、
奇しくもボクの基本戦略と同じことになってしまっていますけどね。

けれど、本書ではまったく触れてませんが、
実際に繰り下げ受給している人ってものすごく少数派なんですよね。
2019年度で繰り下げ受給している人は厚生年金で0.9%、国民年金で1.5%に過ぎません。
ちなみに、繰り上げ受給は厚生年金で0.4%、国民年金になると12.4%に上がります。

国民年金の繰り上げ受給をする人だけがそこそこいるのはボクには不可解でしかありませんが、
なんにせよ繰り下げ受給なんてする人は100人に1人いるかどうかという珍しい人でしかありません。
まぁ、今後は65歳以降も働く人が増えて、それで繰り下げ受給の人も増えるかもしれませんが……

少なくともボクみたいに、早期リタイアして繰り下げ受給を考える人は珍人中の珍人ですかね(笑)

また、ボクには関係ない話ですけど、配偶者がいる場合、特に年の離れた年下の配偶者がいる場合、
加給年金を考えないといけないので、戦略は変わってくるそうです。
ここではそこには触れませんので、関係しそうな人は自分で勉強してくださいね。

 

その加給年金についは、ボクも関係ないので理解もしていませんでしたが、
他にも知らなかったことが幾つか書かれていて勉強になりました。
そのひとつが、次の「5年時効ルール」と「5年前繰り下げみなし増額」です。

これは繰り下げをしている最中で、事情が変わったから一括請求したいという場合の話ですが、
                                   (以下引用)
 ただし、65歳からもらえていたはずの年金もすべてもらえるのかというと、そうとも限
りません。年金の「5年時効ルール」が適用されます。請求手続きをした時点から5年以
上前の年金は、時効により消失してしまい、受け取れなくなってしまうのです。一括請求
(さかのぼり請求)をする際の注意点ですので、きちんと理解しておいてください。
 もうひとつ、この一括請求(さかのぼり請求)には特別なルールがあります。それが「5
年前繰り下げみなし増額」です。(中略)
 これが、今回の法改正で、2023年4月以降に年金の請求を行う人から「(74歳ではな
く)5年前の69歳0ヵ月の時点で請求があったもの」とみなして、65歳から68歳までの増
額分(1・336倍)が上乗せされた年金額を受け取れるようになります  (引用終わり)

ややこしい話ですけど、5年時効ルールはあるけど、70歳以降の繰り下げ受給を考えても、
仮に一括請求するような場合になっても、年金喪失や繰り下げメリットの消失にはならないわけですね。

ただし、これは生きているうちに一括請求する場合の話であって、
死んでから一括請求しようとすると、「5年時効ルール」がそのまま効いてくるそうです。
死んでから年金貰えるの?と思いましたけど、遺族が貰えるんですね。知りませんでした。

遺族年金とかそういう制度ではなく、普通は年金受給者は2ヵ月に一度年金を受給するので、
その間に死んだら1ヵ月分か2ヵ月分は受給できたはずなので、その分が遺族に給付されます。
ところが、繰り下げ受給を目指して65歳以降も年金を受け取っていなかった人が死んでも、
その受け取るはずだった期間の年金=未支給年金を一括請求で遺族が受け取れるんだそうです。
いやー、そのことすら知りませんでした。

なのですが、ここでは「5年時効ルール」が適用されるので、
70歳以降も繰り下げしていると5年より前の分は消えてしまうということになるそうです。
まぁ、ボクなんかは金は天国(地獄)まで持ってけないので死んじゃえば一緒だと思うんですが
遺産を遺したい人にはよく考えないといけないかも知れないですね。

ちなみに、本書にはどこにも書いてありませんでしたけど、ここでいう遺族とは
生計を同じにしている3親等までだそうですから、
ボクはどのみち関係なさそうですけどね。
配偶者がいる場合などには、このことも考慮しないといけないですかね。

 

というわけで、少しは勉強になりましたけど、年金戦略に影響を及ぼす内容ではありませんでした。

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