単行本「すごい左利き」を読了
ダイヤモンド社の「1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き」加藤俊徳著を読みました。
著者の加藤俊徳氏のことは知りませんが、医学博士で「脳の学校」代表だそうです。
って「脳の学校」が何物なのか分かりませんし、さほど興味もないですが、
タイトルにも書いてあるように「1万人の脳を見た名医」ということなのでしょう。
って、直接脳みそを見たわけでもないでしょうし、単にCTだけで見たわけでもないでしょうけどね。
で、その著者自身が左利きなのだそうで、とすれば、自分で自分の左利きを褒めて自慢してる本ですな。
と言う意味では、右利きのボクからするとちょっとやっかみに似た感情も出てしまいますが。
ただし、左利きはDNAレベルで生まれながらにしてすごい天才という話ではなくて
左利きとして育つ過程で脳が活性化されてすごくなるという話となっています。
まぁ昔からなんとなく言われているようなことではあると思いますが。。。
その理由のひとつは、世の中はたいていは右利きの人用に出来ているので
左利きの人は右利きの人よりも人一倍脳を使って苦労するから脳が活性化するということです。
もうひとつの理由は、これもよく言われているような話だと思いますが、次のような話です。
(以下引用)
右脳は、モノの形や色、音などの違いを認識し、五感にも直接関わっています。
一方で左脳は、言語情報を扱い、計算をし、そして論理的、分析的な思考をする
機能を持っています。
つまり、右脳は、視覚や五感をフルに活用した、言語以外のあらゆる情報を無意
識のうちに蓄積している巨大データベースです。
そのため、常に左手から右脳に刺激を送り続けている左利きは、膨大なデータか
らベストな答えを導き出す直感に優れているのです。 (引用終わり)
右脳・左脳の違いと、身体と脳は左右が交差していることなどは良く知られているので
左利きは右脳が活性化し、直感にすぐれ、空間認識や感覚情報に強くなるというわけですね。
面白いのは、利き手が右手/左手と反対でも、右脳/左脳の機能まで反対にはならないことですね。
それと、逆に言えば、左利きは左脳の活性化が右利きより劣るということになるので
論理的・分析的な言語情報や数値計算には弱くなるということで、すごくはないのですが。
そう、実際に著者も子供のころにはそのような点では苦労したと書いています。
ただ、左利きの子供は右でもやってみようとトライすることが多いので
その点では右脳・左脳のバランスもよくなり、また左右を繋ぐ脳梁の発達にもつながるのでしょう。
この右脳・左脳の違いを考えると、ボクなんかは相当に論理的・分析的に偏っているんでしょうが、
実は、ボクは中学2年の時に右ひじを離断性骨軟骨炎(通称・野球肘)で手術して
1年近くは左手で字を書いたり、箸を使ったり、ハンドボールもしたりしてました。
もちろん、利き手の右手のように上手く出来るようにはなりませんでしたが、
この時期にはそれなりに右脳を活性化させて発達させたのかも知れないですな。
それに、他人からどう見られているかはともかく、
ボク本人としては空間認識や直感などもそれほど苦手とは思ってないんですけどね。
それに、小さい頃からプラモデルなど模型作りや機械弄りなどやってましたから
そういう時には利き手の右手が中心であっても左手も含めて両手を上手く使わないといけませんから
そういう意味でも右脳もよく使っただろうし、脳梁も活性化することにつながったかなと思いますが。
ところで、脳の話からAI=人工知能の話が少し出てきます。
(以下引用)
「人間と同じように考えるコンピューター」は、まだどこにもありません。
人間の直感は、AIを超えた超高度な脳を使った人間だけの技術です。
意識的にやってもわからないこと、難しいことは直感を大切にすると正しい選択
ができると私は確信しています。 (引用終わり)
うーん、今のAIはほとんどがディープラーニングによって獲得していくタイプですから
それまでに学んだ膨大なデータから関連付けをして最も関連のあるものを選ぶということで、
その意味ではやっていることは右脳的な直感なんですよね。
だから、今のAIはその結果を論理的に分析することも人間に言語で説明することもできないです。
なので、左利きの直感タイプは早々にAIに淘汰される、なんてことが言いたいわけではないのですが、
脳医学士でもAIについては間違った認識でしかないことに、ちょっと驚いたという次第です。
まぁ、こういうところが左利きの人の特徴なのかもしれませんけど(汗)
もうひとつ、これは脳そのものに対する話なので信頼性は高いでしょうが、こんなことが書かれてます。
(以下引用、改行位置変更)
しかし、子どもには、右手を積極的に使い始めたほうがいいタイミングがあります。
それは、10歳、小学校4年生以降です。
なぜなら、子どもの脳はまず右脳から成長し、あとから言語能力を持つ左脳が発達し
て、両方のバランスが取れる時期がこの頃だからです。(中略)
脳の仕組みからすると、外国語の学習を始める年齢についても同じように考えること
ができます。
母国語の基礎がついた10歳以降に学ばせることで、どちらも深く理解できる真のバイ
リンガルに育つでしょう。 (引用終わり)
似たような話はこちらの「伸びる子どもは〇〇がすごい」でも読みました。
脳医学的にも幼稚園に入る前から英会話学習させるなんて英才教育はやめた方がいいってことですね。
ただ、それでもバリバリのバイリンガルになれる人もいるし
大人になってから真剣に勉強してバイリンガル、トリリンガル……になれる人もいるし、
ボクみたいにからっきしダメだった人間もいるわけですから、一概には言えませんわなぁ(沈)
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コメント
この本の企画・編集した吉田瑞希という人も左利きなんですね。
偶然ですが、本日のネットニュースに書いてありました。
投稿: JET | 2022-08-04 18:31