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新書「MotoGP 最速ライダーの肖像」を読了

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集英社新書の「MotoGP 最速ライダーの肖像」西村章著を読みました。
著者は、1964年生まれなのでボクとほぼ同世代ということですが
雑誌編集部を経て、1990年代から2輪ロードレースの取材をしはじめたとのことです。

そして、本書の巻末には次のように本書のなりたちが書かれています。
                                  (以下引用)
本書は、「web Sportiva」(集英社)で2020年5月から10月にかけて連載
された「MotoGP最速ライダーの軌跡」を元に、大幅に加筆・修正したものである。
                                 (引用終わり)

ということで、12名の2輪ロードレース・ライダーについてそれぞれ書かれています。

いちおう、その12名を列記しておきますと、
 バレンティノ・ロッシ
 ニッキー・ヘイデン
 ケーシー・ストーナー
 ホルヘ・ロレンソ
 マルク・マルケス
 ジョアン・ミル
 ダニ・ペドロサ
 マルコ・シモンチェッリ
 アントニオ・ドヴィツィオーゾ
 加藤大治郎
 玉田 誠
 中野真矢
となっています。

このうち、2020年のMotoGPチャンピオンのジョアン・ミルについては
元の Web Sportiva の連載にはなく、本書で新たに追加されたとのことです。
さすがに、2020年にスズキのジョアン・ミルがチャンピオンになるとは思わなかったんですかね(笑)

 

で、ボクはさほど2輪のロードレースに詳しいわけでもないですし、
そもそも2輪でレーシングスピードで走ることが信じられないし、
自分でもビビリなので気分だけでもそんな走りをしようなどとは微塵も思わないのですが、
それでもMotoGPのTV放送は昔からほとんど観てきましたね。

F1など4輪は無料放送がなくなったこともあるけど、
DRSとか出てきた頃にあまりにも茶番だなと思ってもう興味がなくなってしまったんだけど、
2輪についてはレギュレーションの裏ではいろいろあるとしても観ていてやはり面白いですからね。

一時期のように、日本人ライダーが、特に小排気量クラスでの活躍が見られると嬉しいんですけどね。
それでも、また最近は若い日本人ライダーが何人も出てきているので楽しみではあります。

それに、F1とかだとチーム間やドライバー間のギスギスしたやりとりなどが目に余るし
そこに大金が絡んだ本当に腹黒い世界が広がっていてほとほと嫌気がさしてしまいますが、
MotoGPでももちろんそんな部分もあるんですけど、まだマシという感じも受けますからねぇ。

 

そんな少しはほのぼのとした雰囲気があるMotoGPの世界、しかも15年以上前のことなのに、
バレンティーノ・ロッシの2003年ホンダから2004年ヤマハの移籍に関しては
次のようなピリピリした事態になっていたそうです。

(以下引用)      通常、選手が陣営を移籍する場合は、最終戦終了直後に新チー
ムに合流してポストシーズンテストから参加するのが一般的だ。だが、厳密なことをいえ
ば、選手は年内は移籍元メーカーとの契約が残っている。したがって、その期間に移籍予
定先のチームでテストを行うと、規約に抵触することになる。とはいえ、移籍元チームに
しても、自分たちのところへ移ってくる選手を受け入れるわけだから、新体制下でのポス
トシーズンテストをお目こぼしするのは、ある意味ではお互い様といっていい。
 しかし、2004年のロッシ移籍に際しては、この慣行が通用しなかった。ホンダは2
003年最終戦終了後の年内にロッシがヤマハでテストを行うことを、契約残存を盾に許
容しなかった。(中略)
 メーカーが、契約を盾にライダーの移籍先テスト実施を阻むような行為に出たのは、自
分の記憶にあるかぎりでは、あとにもさきにも、このときのホンダだけだ。(引用終わり)

へぇー、そんなことがあったんですね。
それだけロッシの移籍が大インパクトがあり、それだけライダーとして偉大ということでしょうか。

そのロッシについては、人気の高さもあるけど、アンチの人もいないわけではなく、
その点も含めて著者は次のように書いています。
                           (以下引用、改行位置変更)
 ロッシのこの性格、つまり、ロックスターのように陽気な華やかさと、業の深い人間性
は、じつは彼自身がもっともよく自覚している。その二面性を、太陽と月のモチーフに象
徴させて、125cc時代からヘルメットなどのデザインに使用していることも、古いファ
ンのあいだではよく知られた話だ。そして、その二面性を局面によって使い分けながら徹
底的に勝ちに執着する姿勢が、他に類を見ない彼独特の性質であり、それこそがファンに
とっては大きな魅力にもなっている。                (引用終わり)

ここでの「業の深い人間性」とはもちろん勝利やチャンピオンあるいはその栄光や名声に対して
誰よりも欲深いということを言っているわけで、確かにその通りと感じるところでもあります。
個人的につきあうなら正直ボクはそんな業の深い人間は近づきたくもないわけですが
2輪ライダーとして傍からレース観戦している身からすれば、その業の深さもまた面白さなわけです。

ただ、その業の深さが陰気でジメジメした感じになると見ていて嫌悪感しかなくなるのに対し
ロッシは天性の愛嬌でもってそれを隠してしまうので、見ている側としては楽しめるわけですな。
もちろん、その裏は腹黒さで満ちているのかも知れず、そこでアンチも生まれるんでしょうけどね。

まぁ、ボクにとってMotoGPライダーは神ではないし友でもないので
表面的に見て面白くて感動させてくれればそれでいいだけのことなんです。

 

そして、ロッシとの確執ということでは、何人ものライダーを挙げることができますが、
やはり最近ということではマルク・マルケスの名前が挙がるでしょう。
その決定的な出来事は2018年のアルゼンチンGPの一件だったでしょう。
                                  (以下引用)
 マルケスの側からすれば、充分な安全マージンを取って追い抜いたつもりだったのだろ
う。しかし、いきなり後ろから強引にねじこまれて無理やり追い抜かれる側にとって、そ
れは駆け引きやバトルという水準を超えるものであったようだ。
 しかも、このレースが行われたときは、雨に濡れて路面が乾いていく途中で、ベストの
レーシングラインこそドライ状態だったが、少しラインをはずすとウェットパッチが至る
ところに残っていた。そのような状況下で無茶なオーバーテイクを仕掛けられたのだから、
レース後に何名もの選手がマルケスの傍若無人な走りに苦言を呈したのも当然だろう。(中略)
 そして、それが極みに達したのが、ロッシを転倒させた一件だ。
 ロッシにしてみれば、とんだとばっちりである。なにしろ、6番手を走行中に後ろから
強引にイン側へ突っこんできたマルケスが勝手に挙動を乱し、それを立て直す際に接触さ
れたあげく、自分はコースサイドへ押し出されて転倒してしまったのだ。(引用終わり)

この一件では、マルケスはペナルティを受けているものの、ロッシだけの問題ではなく
「何名もの選手が……苦言を呈した」ほどのことであったのだから
次戦は出場停止などのもっと厳しい裁定をして猛反省を促す必要があったのでしょうね。

だって、マルケスの傍若無人さはその後も何度も発現してしまってますし、
それがマルケス自身にも度重なる怪我という形で返ってきてしまってますから。
怪我から復帰する2023年シーズンはその点でのマルケスの成長が見られるかどうかが楽しみかな。

 

他にも読みどころ満載の一冊でしたけど、全部は紹介できませんのでここまでとさせていただきます。

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