はてさて iDeCoの受け取り方はどうしたらお得なのか?
現役サラリーマンで勤務していた時には、企業型確定拠出年金(企業型DC)というのに加入してました。
もっとも、加入していたという意識もあまりなくて、途中からそういう制度になったからと説明され、
退職金の一部を自動的に掛け金として各自が金融商品を選んで運用せよということになったわけです。
正直な話、ボクはあまりよく理解できてなかったのですが、
早期退職時にはこの記事に書いたように、その企業型確定拠出年金を継続できないので
個人型確定拠出年金(iDeCo)へと移管して、その後は掛け金は払わずに定期で塩漬けしてました。
もう、そのことすらほとんど忘れかけけていたのですが、
そのiDeCoは60歳から受け取りが可能になるということで
その案内・受け取り申請などの書類が運営管理機関のM銀行から送付されてきました。
そう、先月にボクも60歳、いわゆる還暦と言われるものになってしまったんですよね(汗)
さて、iDeCoの受け取り、その手続きも何やらややこしそうなことが書いてあるのですが、
それよりも、まずは一時金(全額一括)で受け取るか、年金(分割)で受け取るか、
あるいは一部を一時金・残りを年金(併給)で受け取るかを選択しなければなりません。
うーん、何がいちばん得というか、どう考えて決めれば良いんでしょうかねぇ。
これは少し調べて勉強しないといけませんねぇ。
最初にネットでちょろっと調べてみましたが、どうもチンプンカンプンです。
一時金だと退職所得という扱いになり、退職所得控除など有利な面もあるけど、
計算によっては所得税や住民税を払うことになるようです。
年金だと雑所得扱いになり、毎年の所得税や住民税さらには健康保険税に影響します。
一時金だと退職金と合わせて計算されることになると言われても
ボクの場合はもう約5年前に退職金を貰ってるし、それで所得税も住民税も払ってるけど、
それとの関係はどうなっているのか、よく分かりません。
そこで、運営管理機関のM銀行の問い合わせ窓口に電話で尋ねてみました。
「退職金と一時金受け取りは単純に合算されるわけでなく、改めて計算されます。」
ってな回答をいただいたのですが、情けないことにボクの頭の中はチンプンカンプンです。
「具体的な数値の提示はできませんので、税務署などで訊いてください。」だそうです。
まぁ、税金が幾らになろうが運営管理機関にとっては何の利益にも影響しないので
知ったこっちゃないということでしょうね、そりゃそうだわな。
ということで、伊勢崎税務署に行ってみました。一昨日のことですが。
確定申告なんかでもここの税務署ではなく特設会場や市役所で手続きしていたし
最近はe-Taxなので、実はここの伊勢崎税務署に行くのは初めてです。
というか、今まで他の市町村の税務署にも行ったことはないので、初税務署体験です。
話が逸れますが、伊勢崎税務署の駐輪場。
たまたまかも知れませんが、このゴミの山はなんなのでしょう。
なんだか自転車利用者を蔑んでいるようにも感じられてとても不愉快ですね。
で、税務署ですが、税金の相談は……事前予約が必要とのことでしたorz
けど、その事前予約ってのはネットではなく電話でと、結構アナログです。
では、その場で後日の予約を取りましょうということで、これまたアナログに用紙に記入します。
どうやら、その場で端末見ながら空き状況を確認できるようでもなく、暫く待たされます。
と、なぜか急転直下で、今から相談を受けましょう、ってな展開になりました(笑)
ただし、(おそらく)税理士の方もよく分からないようで、説明が二転三転してました(呆)
その方曰く、iDeCoはまだ制度の歴史が浅くて受け取ってる方もそんなに多くないので
税理士でもよく分からないことが多いんですよ、って言ってましたけど、
その中でもボクみたいに早期退職なんかしてる人は激レアですから、余計に分からんのでしょう。
さて、その前に、iDeCoの受け取り方の一般論としては次のような感じのようです。
1)退職金が多くなくて、退職所得控除額に余裕がある人は一時金で受け取るのが有利。
2)退職金が多くて、退職所得控除を使い切ってる人は年金で受け取るのが有利。
3)上記2)の人は最初にiDeCoを一時金で受け取り、5年以上後に退職金を受け取る裏ワザあり。
この一般論に従うならば、ボクの場合は、早期退職割増金もあってそれなりの退職金を貰いましたから
その時の退職所得控除額は使い切っています。
実際に退職金の中からランちんが買えるくらいの所得税+住民税を払ってますから。
ただ、この時は源泉徴収されているので、払った実感もないし、その計算も確認してないですが。
で、iDeCoを一時金で受け取る時の税金の計算はどうしたら良いのか?
どうやら、iDeCo分と退職金を合算して、でもそれぞれの勤続年数に応じて控除額が変わり、
※iDeCoの場合は勤続年数の代わりに賭け金を拠出していた年数を使います。
そこから退職所得(課税対象額)が計算されて、
さらにその退職所得に応じて段階的に税率とさらなる控除額も変わるという複雑な計算になるようです。
ただ、ボクの場合は、企業型確定拠出年金はその制度が出来た時に会社が
入社時まで遡って掛け金を拠出した形となっていたようですし、
退職後は掛け金は払っていませんでしたから、掛け金拠出期間=勤続年数となります。
だから、退職所得控除額は不変ということになります。
もし、退職後もiDeCoに賭け金を払っていたら……退職所得控除額は増えて有利になったのかも。
そして、既に貰った退職金+iDeCo一時金で貰える予定の額を足したものから
退職所得控除額を引いて、その半分(半分しか課税されないので)の額が退職所得となります。
具体的には、勤続20年を超えている人の場合は次の式になります。
退職所得控除額=800万円+70万円×(勤続年数-20)
退職所得=(収入金額-退職所得控除額)/2
※この計算式で退職所得がマイナスになる場合は、退職所得はゼロ円で税金はかかりません。
所得税はこの退職所得の段階に応じて、5%,10%,20%……と税率が変わってきます。
ボクの場合はこの退職所得が330万円~695万円未満の段階にあったので、
税率は20%ですが、ややこしいことにさらに427,500円の控除があります。
そして、さらに2.1%の復興特別所得税が課されることに今はなっています。
つまり、次のような式で所得税が計算されるわけです。
所得税=(退職所得×20%-42.75万円)×1.021
住民税は、10%(市税6%、県税4%)の税率で一律なので計算は単純で次式になります。
住民税=退職所得×10%
そして、仮に今回iDeCoを一時金で受け取ることになると、
ボクの場合は退職所得控除が不変なので、iDeCoで受け取る分の半分だけ退職所得が増えます。
それによって、退職所得が695万円以上になると、所得税の税率と控除額が変わってしまうのですが
そこまでではないので、ざっくり計算すると退職所得が増える分に対して
所得税は約20%、住民税は10%、両方合わせれば30%強も税金を払う必要があります。
もっと単純に言えば、iDeCo受け取りの15%強ほど税金を払うことになるわけです。
仮に、iDeCo分が500万円あるとすると(実際にはそんなにもないですが)
500万円の15%の75万円強が税金で消えることになります。
うーん、そりゃぁなんだかかなり損するような気がしますな。
まぁ、もともとあまりiDeCoの分は頭になかった(ライフプラン計算に考慮してなかった)ので
税金をたくさん払ってでも貰えるものなら嬉しいとも言えますが
それでもやっぱりなんだか税金を払いすぎているような気になりますな。
それでは、年金形式で受け取りをするとどうなるのでしょうか?
この場合は前述のように雑所得となりますが、公的年金等控除の対象になるようです。
65歳未満では年金が130万円までなら60万円は控除されます。
65歳以上では年金が330万円までなら110万円は控除されます。
ただし、年金以外の所得が1000万円以下の場合ですけど、働いてないし、不労所得もないですからね。
つまり、前述のように仮にiDeCoで500万円ある場合だと、細かい計算はさておいて、
例えば10年間の年金形式で受け取るなら年50万円づつ受け取ることになり、
これなら65歳未満までは60万円までの控除内なので所得税はゼロになります。
また、ボクは基本的に公的年金は70歳まで繰り下げ受給とするつもりですから
そうすれば65歳以降も控除内で所得税はゼロとなります。
ただし、国民健康保険などにも影響があるし、年金受け取りには手数料もかかるので、
まったくゼロで済むというわけでもなさそうですが、
それはケースバイケースで変わってくるので事前に計算するのは困難とのことのようです。
まぁ、でも、1年で5万円とかが10年に渡って取られ続けるというのは考えにくいので
少なくとも一時金で何十万円もの税金を払うよりかはあきらかに節税になるんじゃないかな。
というわけで、なんとなくですが10年の年金形式で受け取ろうかなとなびいてきました。
ところで、上述の3)のiDeCoを先に一時金で受け取り、5年以上後に退職金を貰うと得とは
いったいどういうことなのでしょうか?
ボクはもう退職金を貰っちゃったし、iDeCoは60歳以降でないと受け取れないので、
こんな裏ワザは知っていてもどのみち使えなかったわけですが、いちおう確認しておきましょう。
どうやら、退職所得の計算では、
前年以前4年以内に受け取った他の退職金を計算したときの勤続年数は除いて計算する、となってます。
ややこしい表現ですが、5年以上前の退職所得の計算とは別個に計算できますよということです。
なので、60歳でiDeCoを一時金で受け取り、おそらく退職所得控除内で税金はゼロになり、
65歳で退職金を受け取れば、また新たに退職所得控除が計算されるので
税金がゼロになるか少なく済むということになるというわけです。
しかし、この5年ルールが使えるのはiDeCo→退職金の順の場合のみなんです。
ボクが知りたいのは逆の退職金→iDeCoの場合はどうなのよ、というところなんです。
ただ、これについても次のような決まりがあるそうです。
前年以前19年以内に受け取った他の退職金を計算したときの勤続年数は除いて計算する、です。
つまり、20年経てば別個に計算できますよということになります。
実は、この20年というのは、今年2020年4月からの改正で決まったもので、
それ以前は15年だったようです。ってことも知りませんでした。
というか、iDeCoの受け取りは60歳からですが、最長・最遅では75歳となっていて、
これも今年4月からの改正で決まったもので、以前は70歳までだったのだそうです。
どういうことかというと、年金の繰り下げ受給は今まで70歳までとなっていたのが
今年の4月からは75歳まで繰り下げ受給が可能になりました(これは知ってました)。
それにつられる形で、iDeCoの受け取りが70歳まで→75歳までとなって、
さらにそれにつられて、退職所得の計算の間隔が15年→20年になったということなのです。
この15年、20年が何の意味があるかというと、まだ60歳定年で退職金とかの企業も多く、
その人たちが75歳までに退職所得の控除をリセットされると税収が減るとかの理由ですかね。
しかーし、なんとボクは55歳で早期退職して、55歳で退職金を貰ってるんですね。
ということは75歳になってギリギリでiDeCoを一時金で貰っても
以前の退職所得控除の話はリセットされてますから、iDeCo分は確実に税金ゼロとなります。
75歳までの生活資金が不足しないのであれば、これが一番確実に税金が安くなりますね。
当然ながら最初から狙って55歳で早期退職したわけでもなんでもないですが
その方法で行くのだとしたら、結果的にはギリギリでラッキーなタイミングだったと言えますかね。
まっ、実際に、75歳から一時金で貰うか、60歳から70歳まで10年を年金で貰うか、
この二択となりましたが、もう少し情報取集して検討してみたいと思います。
あと20年も先の話となると完全に忘れてしまいそうですし、
制度自体も改変・改悪されるおそれもありますしね。
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