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新書「『動物の権利』運動の正体」を読了

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PHP新書の「『動物の権利』運動の正体」佐々木正明著を読みました。
“動物の権利”ってなんとなく意味は分からないでもないけど
“「動物の権利」運動”と書かれるとそんな具体的な運動や運動団体があるのかと思います。

一方、帯の画像をみると、恐竜の着ぐるみを着た人たちが横断歩道を歩いていて、
なにこれ、と思うと同時に、あっこの着ぐるみ来て徒競走するイベントがあって
「ナニコレ珍百景」でオードリー春日が走ってたなぁ。なんて思い出したりして……(笑)
でも、そのイベントと本書はなんの関係もないようです。

なんだかよーわからんけど、帯に書いてある、ビーガン、反捕鯨、アニマルライツの言葉から
何となく中身も想像はできるので、読んでみることにしました。

 

本書の大部分は和歌山県大地町(たいじちょう)が舞台となっています。
ボクは今まで全く知りませんでしたが、大地町では今でもイルカの追い込み漁が行われているそうです。
もちろん、合法的に決められた漁期に決められた捕獲量を獲り、合法的に市場に提供されるものですが、
中には全国各地の水族館への生きたイルカの供給源にもなっているとのことです。

それらについては、2009年には「The Cove」というドキュメンタリー映画も作られ
それ以来、世界中の動物愛護団体や反捕鯨活動家などが大地町を訪れ、
漁師や住民や自治体とさまざまな軋轢を生じさせてきたというのです。

さらに、イルカ漁とは直接関係ないけど、2021年1月にはその大地町で
定置網に意図せずミンククジラが引っ掛かってしまい、逃がそうとするものの上手く行かずに、
「混獲」として有効活用、つまり殺処分され、解体され、市場に出回わるということになったそうです。

ちなみに、この「混獲」というのも合法的に定められているものであり
クジラの混獲についても特に大地町だけでなく全国各地で日常的に発生しているものだそうです。

それでも、世界中の一部の人がクジラ漁、イルカ漁、そして大地町に対して激しいバッシングを行い、
ついにイギリスのボリス・ジョンソン首相まで公の場で問題提起するまでに発展したのだといいます。

まっ、「混獲」はたまたまイレギュラーなことになっただけのことだし、
Bジョンソンの失言は今に始まったことでもないので無視するだけのことだとは思いますが……
ちなみに、「The Cove」の主演を務めたのは、
「わんぱくフリッパー」なとにも携わった元イルカ調教師のリック・オリバーという人だそうです。
イルカを使ってひと儲けした人が一転して反捕鯨(イルカ漁)だけでなく
水族館でのイルカ展示やイルカショーすらも反対するイルカ解放運動の旗振りするとはねぇ(呆)

 

そして、反捕鯨団体ということでは真っ先に名前が挙がるのがシー・シェパードですが
本書では、次のように書かれています。
                                   (以下引用)
 日本の捕鯨やイルカ漁に関して反対キャンペーンを行っていたシー・シェパードは、漁師
を挑発してわざと怒らせたり、捕鯨船に体当たりする過激な行動をしたりして収めた動画像
をネット上に公開していた。そうして、「われわれは直接行動をしてクジラやイルカを守っ
ている」ことをアピールして、支援者から寄付を募っていた。
 こうしたマッチポンプ式の行動は「金儲けのためのキャンペーン」の悪評がたち、日本国
内では強く批判された。捕鯨やイルカ漁に批判的な姿勢を取る欧米諸国やオセアニア諸国の
状況とは違って、日本での団体に対するネガティブイメージは定着し、結局、日本の支持者
は広がらなかった。団体が目標としていた日本支部の設立も泡と消えた。 (引用終わり)

このようなことから、シー・シェパードなどの過激な活動をする人物は入国規制対象にもなり、
さらに、コロナ禍も相まって外国人活動家は日本・大地町から締め出されることになったそうです。

ところが、今はたった1人(+助手1人)の日本人活動家によって
この大地町の反捕鯨・反イルカ漁の活動が委ねられ、全世界に向けて発信されているとのことです。
それは、環境NGO「LIA」のヤブキレンとミミという人だそうですが、仮称かどうか不明です。

彼らは、シー・シェパードのような過激な実力行使などはせずにあくまでも合法的に活動し
町の住民たちとも普通に挨拶を交わしているのだそうですが、
それでもいざイルカ漁などが行われそうになる気配を察知するや否や
超高額なドローンなどを駆使してそのライブ映像を全世界に発信するということをやっています。

ちなみにそれらの高額撮影機材などは寄付金を集めるのではなく
必要なモノをリストアップすると支援者の誰彼となくアマゾンを通じて届けられるんだそうです(驚)

そして、彼らの配信する映像は確かにリアルに起きている現実をそのまま映しているだけですが
それを見た世界中の人びと(一部の熱狂的な反捕鯨論者)の反応は誹謗中傷含めて過激なものです。
そういう意味では、彼らは合法でも、支援者・視聴者には非合法的で人権を無視するような
煽りというかバズらせようという意図があることは明白ですかね。

なので、いくら彼らが合法的活動をしているといっても、勝手にやってるならいいんじゃない?
という気持ちにはなかなかなれないですね。少なくともボクには賛同する気持ちはありませんね。

だって、例えば、「プラスチック廃棄物は良くない」のは正しい意見だとしても
「プラスチック・レジ袋」を使用することは合法的に認められている行為です。
なのに、勝手に「プラスチック・レジ袋は根絶させるべき」というスローガンを抱え
プラスチック・レジ袋を使う人を撮影して全世界に配信したり
プラスチック・レジ袋を製造する現場に(合法的でも)侵入してそれを全世界に配信してもよいか?
と問われれば、答えはノーでしょう。

同様に、いくらオープンに行われているとは言え、大地町のイルカ漁をドローンなどで撮影し、
明らかに反捕鯨や反イルカ漁でバズって誹謗中傷の嵐を巻き起こすような行為は
道徳的には、あるいは哲学的には正しい行いとは言いがたいですね。

個人レベルで「イルカさん可哀そう!」とかつぶやいているなら、どうぞ勝手にという感じですが。。。
ただし、本書の著者である佐々木正明氏はジャーナリストとして事実のみを記していて
特にこれらについての著者本人の意見は述べておりませんし、中立の立場となっていますけどね。

 

このような反捕鯨・動物保護の活動の変遷は、単にコロナ禍などの外的要因だけにあるのではなく、
世界的な2つのトレンドが根本にあると著者は指摘しています。
                                    (以下引用)
 キーワードは「ビーガン(vegan:完全菜食)」と「動物の権利」である。本著が解き明か
そうとする主要なテーマもここにある。そして、この2つの21世紀のトレンドが、2020
年代に入った日本の反捕鯨、反イルカ漁キャンペーンに大きな影響を与えていた。(引用終わり)

「動物の権利」については、中世の欧州でもあったようなバカげた「動物裁判」みたいなものが
また欧米で訴訟という形で行われているという呆れた話なども紹介されています。
もっとも、今のところ例え人間が代理するとしても動物に提訴する資格はないという判決らしいですが。

まぁ、欧米人は本当にバカ(一部の人でしょうし、日本人にも……)がいるものだと呆れるわけですが
激しい人種差別、男女差別、貴族/奴隷など人間を人間として扱ってこなかった欧米人にとって
その反動が人間の平等・自由を飛び越えて動物全体にも及んでしまうのかも知れないですな。
というようなことも、本書では解説されていきます。

一方の「ビーガン」についても、これらの活動家の多くが自称ビーガンであることから深堀されてます。
ただねぇ、これまた個人の信条(というより単なる心情だろ)でビーガンでいるのは個人の勝手ですが
個人的にはまったく賛同できないですね。
そもそも、動物はダメで植物はOKってのが理解できない。
植物だって生物ですし、動物の植物と完全に線引きできない生物も多く存在しますし。
                                   (以下引用)
 ビーガンであるレンは魚介類を殺す漁業だけでなく、牛や豚、鶏などを殺して食にする畜
産業も否定している。イルカショーを止め、水族館も閉鎖しなくてはならないと訴える。な
ぜクジラやイルカを殺してはならないのかと素朴な疑問をぶつけたとき、レンはよどみなく
こう答えた。
「海の生き物はたとえ日本近海にいたとしても、日本のものではない。地球の細胞の1つな
んです。当然、人間も地球の細胞の1つであり、バランスを崩してはいけない。野生動物を
殺すことは地球への攻撃そのものだと考えています」          (引用終わり)

バカにするわけではないですけど、こう“よどみなく”答えたというのならあまりにも底が浅い。
そもそも、“細胞”なんていうならそれこそ動物も植物もないはず。
そして、野生動物を殺すなというのなら、その野生動物が野生動物を捕食することは良いのか?

さらには、殺虫剤とかはどうなんだ。人を死に至らしめる可能性のある虫も殺さない?
農業だって今や大量な農薬などで殺虫なしでは成立しなくなっています。
それらで育てた植物はOKなわけですか? などなど
あきらかに矛盾しており論理的に破綻していると思いますが……

 

そう、これらの反捕鯨・反イルカ漁にしてもビーガンにしても
論理的に熟考されたものでも、科学的に説明されるものでも、
あるいは哲学的に思慮されたものでもなく、
単なる感傷的・感情的な気持ちでしかなというのです。

(以下引用)        反捕鯨、反イルカ漁運動は「科学的議論より感情論」「理屈
ではなくイメージ先行」と言われる。(中略)
 その場合、イルカを目の前で抵抗する力がない「可愛らしい無垢な赤ちゃん」に置き換え
れば、反対派のメッセージを理解しやすいかもしれない。対極の立場にいる反対派は、漁師
たちが自らの都合で狩りをする「粗暴な大人たち」に見え、「可愛いらしい無垢な赤ちゃ
ん」のイルカを守りたい一心なのだ。反捕鯨、反イルカ漁運動に女性が多いのも、母性本能
が刺激を受けるからではないかという仮説を考えている。        (引用終わり)

本能そのものは大切なことではありますが、人間は本能だけで生きているわけではないので
本能で感じたことを吟味し、咀嚼し、科学的に哲学的に議論していくことが必要なんですが、
彼らはそういうプロセスを経ようとはしていないようです。

彼らは、現代においてもあるいは過去のものも含めて、それらの科学的や哲学的な書物などにも
ほとんど一切目を通していないというんですよね。
他人を批判するのなら、まずは自己批判も含めて様々な意見を取り入れるべきなのですが、
昨今のSNSで偏った自分の好きな・心地よい意見だけしか目にしないんでしょうね。

彼らのその狭い世界だけではもっともらしいことを言って称賛されるけれども
他の視点をもっている人からの反論には矛盾だらけ、でもそれらの意見には耳を閉ざすんでしょうね。

 

まっなんにせよ、ボクは滅多に鯨肉は食べませんし、別に食べなくてもいいし、
家畜の肉だって毎日のようにガッツいて食べてるわけでもないですけど
それでもボクが生きているうちには肉食禁止にはならないでしょうし、なったらなったでもいいですし、
これまた生きている間に水族館や動物園が禁止になることはないでしょうが、
これもそうなったらそうなったで別にかまわないですけどね。

ただ、そうなったときに本当に人間は理想郷に至るかというと、やはりそれはディストピアでしょうね。

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