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北海道出張から帰ったら、スウェーデンへ。2001年冬のこと。

このスバルカテゴリーの前回までの記事で、2000年11月にベルギー&スウェーデン出張し、
翌2001年1月下旬にはGM-AWD大会に参加のためアメリカ出張し、
その1週間後の2月初旬には国内ですけど北海道美深テストコースでのオペル合同試験に参加し、
さらに、2週間ほど美深テストコースで各種評価試験をし、帰還して1週間も経たないうちに、
今度はまたスウェーデン出張するという、その頃はほんとうに慌ただしい状態となっていました。

貿易会社や商社の人なら年中、世界各国を飛び回っているって人でも珍しくはないでしょうけど、
いくらグローバルに展開している自動車メーカーだとは言え、
担当(係長クラス)の一介の開発エンジニア(この時はAWDという要素開発エンジニア)であるボクが
なんでこんなにあちこち行かされなくちゃいかんのか、と少々やけになってしまうほどでしたよ。

あっ、そうそう、これらの出張はすべてボク自らが望んで手を挙げて行ったのではなく
あくまでも上司からあるいは他部署の人からの依頼で上司を通じて出張を命じられたものです。
というか、これらに限らず、ボクは現役会社員時代に自ら望んで海外出張したことは皆無です。
部下や後輩に出張イッテとお願いしたことは何度かありましたけどね。

 

もちろん、そもそも出張というものが自分が行きたいとか行きたくないで決まるものではなく
会社や上司から命じられて行くものだ、というのが大前提なわけですが、表向きはそうであっても、
中には個人の意向で出張するしないが決まるという部分もなきにしもあらずというところもありましたが。

そして、海外出張あるいは国内出張を含めてもいいですけど、
人によってはとにかくあちこち出張してアクティブに仕事をしたい(してる感じに浸りたい)って人と
それとは真逆でとにかくじっくりと腰を据えて本拠地で根を詰めて仕事したいという人もいるでしょう。

ボクはどちらかと言えば、後者なんですよね。
そもそも仕事内容や組織にしても、コロコロ変わるとかアレコレ雑多にやるというよりも
ひとつのことに集中して深堀してやりたいという考えなんですが。
そちらの方が性に合っているし、結構集中力には自信がありましたから。

ただ、おそらく現役時代のボクは傍から見たら真逆に見られていたのかも知れないですね。
少なくとも、入社以来ほとんどは様々な仕事に雑多に同時並行的に携わるというスタイルになっていて
本人的には不本意ながら、傍から見たらそういう類の人間だと思われてしまっていた可能性大ですね。

でも、決してボクは何でも無難でこなせるような器用な人間ではないんですけどねぇ。
仕事で命じられれば、そのような立場にならざるを得なかったから、そうやっていただし、
当時の腐りきったスバル(富士重工)では、誰かがそういうことをやる必要があると思っていただけです。

 

ちょぃと前置きが長くなってしまいましたが、スウェーデン出張の話です。
2000年秋にベルギーからハシゴしてスウェーデンに出張した時は
スウェーデンにあるハルデックス社の訪問および合同評価というのが目的でしたが、
今回は同じスウェーデンでもハルデックスは関係なく、まったくの別目的で出張でした。

その目的は、ゼクセル・トルセンの各種AWDの雪上&氷上テストコースでの試乗・評価で、
2001年2月27日~3月2日の4日間でスウェーデン・アルジェプログへ出張しました。

日本からの参加メンバーは元AWD-CoE時代の上司関係とも言えるSさんとボクの二人で、
そこに当時欧州駐在だったSさん、どちらもSさんなのでこちらはSMさん、も合流してます。

なお、そのSMさんはかつて6代目サンバー(33E)の操安乗り心地開発(初期段階)の時に
ボクの後輩として活躍してくれた人ですね。
彼ももともとラリーなんかやってた人でしたけど
初めて北海道雪上試験に同行してもらった際には、一般道だろうがテストコースだろうが、
常にアウト-イン-アウトをしちゃうので厳しく指導したのを思い出しましたねぇ。

アウト-イン-アウトなら正攻法じゃないかと思う人もいるかもしれませんが
クローズドコースでのタイムアタックなどで意図的にそのようなライン取りするならともかく
滑ってコースアウトするのが恐いので無意識にインに入りたくなってしまっているので意味が違います。

特に一般道ではいつなんどき対向車が来るかも分からないので早くインに付くのはご法度です。
左側通行の日本では、右コーナーならアウト-アウト-アウト、
左コーナーならイン-イン-インが鉄則です。

そもそも、速く走るために雪氷上を走っているわけではなく、あくまでも評価のためですしね。

 

閑話休題。すぐ脱線してしまい、もうしわけないです。

アルジェプログにはボッシュ・オートモーティブ(およびオペル)のテストコースがあります。
当時はゼクセル・トルセンがボッシュ傘下になっていたので、ここでの評価となったわけです。
ゼクセルが様々なトルセン・センターデフを組み入れたAWD試作車を用意してくれていました。

アルジェプログは村全体がほぼ自動車メーカー&部品メーカーの冬季テスト用で成立してる感じで
湖があるのが凍ってできた天然の氷上+その上の積雪による圧雪路、小高い丘へのヒルクライム路
というような構成になっている場所です。

ただ、今回ももう技術的なトピックはないので、簡単な思い出などさらっと紹介しておきましょう。

A010301_008 A010301_009  
ちょいと小高い丘に登って、テストコース(の一部)を俯瞰してみたところです。
なお、ボッシュのテストコースですけど、世界各国の自動車メーカーを相手にしているだけあって、
各メーカーの機密車(開発中の発売前の新型車)も平気であちこち走っていることもあり
テストコース内での撮影は憚られます。なので、画像はありません(汗)

逆に、この辺り一帯、アルジェプログ村内では機密車はカモフラなしで堂々と走ってたりします。
もう、ホテルや飲食店など村全体が冬季評価試験で潤っているようなところなので
新車スクープなど怪しいパパラッチが紛れ込もうとしても、すぐに摘発されてしまうみたいですね。
自動車メーカー同士は暗黙の了解というところでしょうし。

この辺の状況は、機密対策ばかりで窒息しそうになる国内でのスバルの状況とは雲泥の差がありました。

 

A010301_004 
こちらは村で唯一のホテル。の裏庭。
ロメオ33はもちろんメーカーの試験車とかではなく、ホテル関係者の足車でしょう。

なお、この辺りでは観光するようなところは一切ないですし、その時間もなかったのですが、
運が良ければオーロラが見られるということで、その時はホテルの館内アナウンスがされるそうです。
微かな期待を抱いていましたけど、この短い滞在期間のなかではオーロラを見ることは叶いませんでした。

オーロラツアーとかじゃないので、悔しいというほどの感情は持ちませんでしたけど
それでももし見ることができたら一生の思い出となっていたでしょうねぇ。

そして、村で唯一のホテルということは、他の自動車メーカーの人もここに泊まっているわけです。
ホテル内のレストランや小さなバーに行けば、当然彼らと遭遇するという環境なわけですね。
もちろん、オーロラ出現となれば誰彼かまわず大盛り上がりとなること必至でしょう。

スバルのように超辺鄙な北海道美深に籠って、他の自動車メーカーのエンジニアと会うこともなく、
というか一般人ともまともに接することがほとんどないような環境で雪氷上試験をし続けるのに対し、
このような環境だと視野を広く持つことができるし、
なにより精神的にも健全だよなぁと思った次第ですね。

その辺りのことは、スバルに限らずトヨタでもホンダでもマツダでも同じことが言えるでしょうけど、
ただスバルの場合は以前はフィンランドでの雪氷上試験などしていたのもこの時代にはなくなってますし、
ほぼ北海道美深だけに篭る状態となってましたからね。
夏季のニュージンランド・テストなどはブレーキ(ABSなど)開発などで使われていましたが……

 

それから、従業員(エンジニア)の精神的サポートという点で一番驚いたのはドイツメーカーでしたね。
具体的にはBMWですけど、おそらくベンツその他も同様だと思われます。

何に驚いたのかと言えば、それは初めてこのアルジェプログにプロペラ機で着陸した時のことですが、
狭い飛行場の隣に「BMW」って大々的に描かれている飛行機が停まっているんですよね。
ゼクセルの人にあれは何かと聞くと、BMW専用機だというのです。

しかも、VIPでも来ているのかと思いきや、
いやエンジニアは土日になるとあれに乗ってドイツの自宅に帰って、月曜にまた戻るそうですよ。
なんでも、労働組合からの条件としてそのようになっているそうです、とのことです。

さすが、プレミアムブランドの自動車メーカーはやることが違いますね。
というか、彼らから見れば、1ヶ月も2ヶ月も北海道の超辺鄙な場所に押しやって
しかも折角行ったんだから休日出勤して働けとか、そこでの出勤に要する時間はやたら掛かり、
昼食は侘しいコンビニ弁当食って、ちょっと残業したら夕食店もみんな閉まってる、
もちろん家族とも恋人とも全然会えない(まっボクはどのみち独り身でしたけど)、
みたいな劣悪な業務環境を強いられるなんてまったく信じられないことなのでしょう。
いやはや、スバルとはこれまた雲泥の差がありますわな。

しかも、2000年代に入っても宿泊は個室ではなく相部屋、大部屋なんてザラでしたし……
こんなんでは、とてもプレミアム・ブランドになる素養はエンジニアには養われませんし
ゆえに開発される車もプレミアム・ブランドにとはほど遠いものしか出来ませんわなぁ(爆)

 

さて、怒涛の出張ラッシュはこれで一息なので、次は何について書きますかね。

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