新書「地球外生命」を読了
中公新書の「地球外生命 アストロバイオロジーで探る生命の起源と未来」小林憲正著を読みました。
前回読んだ「本気で考える火星の住み方」に続いて宇宙に関するような内容の本で
実際に、今最も地球外生命の探索としてホットな場所が火星でありますから
かなりの部分で繋がりがありますし、重複している部分もあったりしましたが
それ故により理解が深まったような気もしています。
なお、サブタイトルにもある“アストロバイオロジー”ってのが最初はピンと来ませんでしたが
単に地球外生命がいるかいないかの話ではなく、生命の起源についても探究しているし
さらには生命の未来についても考えを巡らしているのが本書となっています。
基本的には科学的事実に基づいて書かれていますけど、生命の未来については夢想に近いですかね。
そして、その“アストロバイオロジー”については、次のように結構さらりと説明されているだけです。
(以下引用) NASAは宇宙における生命を研究する学問領域を新たに提
案し、アストロバイオロジーと名付けました。アストロバイオロジーは「地球および地球外に
おける生命の起源・進化・分布と未来(destiny)」と定義されました。 (引用終わり)
なんだかざっくりしていてよく分かりませんが、大昔は地動説で地球しか知らなかったわけですから
当然ながら生命は地球のどこかでだけ生まれてきているとしか考えてなかったけれども
宇宙の成り立ちや歴史が分かるようになると、生命は地球以外でも存在し得るのではないかとか
地球外で生まれた生命が地球に来た(パンスペルミア説)なども出てきたので
それらを総合的に議論する学問ということなのでしょう。
ただし、本書の「あとがき」には次のように書かれています。
(以下引用)
地球外生命やアストロバイオロジーに関する本は、近年、かなりの数が出版されていますが、
較べてみると、それぞれ見方や書かれている内容が異なっていることに気づかれるでしょう。
アストロバイオロジーは新しい分野で、「本当のこと」がまだわかっていない分野ですので、
著者により主張が異なるのはいたしかたないことです。 (引用終わり)
ということですから、地球外生命がどこにいるとか、我々はどこから生まれたのかなど
断定的・決定的なことは書かれていません。
ただ、最新(本書は2021年12月発刊)の研究や提案されている仮説を紹介して
最後に著者の考えを少し述べるという形で本書は書かれています。
というわけなので、ここでも断定的な話は紹介できませんし、著者の考えだけ紹介するこもしません。
近い将来、火星探査や木星の衛星や小惑星などから生命の痕跡が見つかるなど
そのアストロハイオロジーにも大進展があるかもしれませんが
少なくとも太陽系以外での生命の発見となるとボクが生きている間はないでしょうねぇ(笑)
まっ、明日にも突然、地球外知的生命=宇宙人が侵略に来るかもしれませんし
そこまでSF的でなくともなんらかの宇宙交信が成立するかもしれませんけどねぇ。
ちなみに、個人的には、そうアストロバイオロジーとはまったく無縁な素人の妄想ですけど
銀河系内でも地球以外に知的生命体はどこかにいるはずなんだろうけど
人類が生存している間に彼らと出遭うことはほぼ絶望的であるとボクは考えてます。
ましてや、ほぼ人類と似たような宇宙人に出遭うことはないでしょう。
その辺りの可能性については、本書でもドレイクの方程式と呼ばれるものから色々考察されています。
どのくらいの恒星があって、どのくらいが惑星を持って、そのどれくらいがハビタブル(生存可能)か
惑星誕生からどのくらいで生命が誕生するか、それがどのくらいで知的生命となるのかなどなど
様々なものを仮定していくと、銀河系に知的生命がいる惑星の数を推定できるという式です。
それらの仮定もかなり幅広いので、なかなか定まった数字は得られないわけですが
中でも一番やっかいかも知れないのが、知的生命の知的活動としての存続期間です。
我々は地球上の人類しか知らないわけですが、それでも電波を知り宇宙を知りだしたのは
ここ最近の数百年程度のことでしかないし、これから人類がどれだけ存続し得るのかは分かりません。
悲観論者だと地球温暖化とやらを持ち出さなくとも
あと数百年も地球は持たない(人類が絶滅しても生命は続くけど)と言う人もいるでしょうし
明日にでも火山大噴火や巨大太陽フレアや様々な災害で人類絶滅に向かってしまうかもしれません。
これまた個人的には人類が宇宙移住も含めてもあと何億年も絶滅しないとかの楽観論ではないけど
別になんらかの原因で人類が絶滅してしまっても地球の生命が全部絶滅するわけではないし
なんらかの原因で地球がなくなってしまってもそれはただそれだけのことでしかないという
楽観論でも悲観論でもなく虚無主義(ニヒリズム)という立場なんですけどねぇ(笑)
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