GM-AWD大会の前には、ベルギー&スウェーデン出張
前回記事では、2001年1月にGMがアメリカ・ミシガン州で開催した
「AWD車雪氷上乗り比べ大会」みたいなイベントに
スバルの一員として出張・参加したことを書きました。
その出張とは時間が前後しますが、その前年の2000年11月には
ゼクセル・トルセン@ベルギーとハルデックス@スウェーデンをハシゴするという出張がありました。
その出張でのトピックスはあまりないのですが、本日はさらっとそのことを書いてみましょう。
トルセンは言わずもがなトルク感応式のLSD(機能のあるデファレンシャル)を作っている会社ですが
元は米国のGleason Works社が事業化したのを、日本のヂーゼル機器(後のゼクセル)が買収して、
それが2000年にボッシュ傘下に入っています。
なお、ヂーゼル機器はもともとボッシュのライセンスを受けて燃料噴射を製造した会社ですね。
さらに、なお、トルセンはその後2003年に豊田工機(後のジェイテクト)が買収しています。
この記事にも書いたように、2代目ザフィーラのAWD開発の話があって
そのAWDシステムのひとつとして挙がったのがそのトルセン・センターデフを使ったものでした。
そのために、スバルとしてトルセン・センターデフのAWDを知っておくためにも
ベルギーにあるゼクセル・トルセンに出向いてプレゼンを聴いて
さらに工場見学をして、実車評価をしようということです。
一方、ハルデックスは当時VWやボルボなどのAWDに使われるようになった
電子制御カップリングによるAWDシステムを開発・製造しているスウェーデンの会社です。
スウェーデンといってもかなり南のデンマークに近いところにありますが。
もともとは大型トラック用のブレーキ部品製造などを手がけていたとのことで
当時でも製造の中心はそのブレーキ部品が大半を占めていたようです。
なので、まだまだAWDについては独自のノウハウは築けていない段階と感じましたね。
そして、2代目ザフィーラのAWDはこのハルデックスも候補のひとつとなっていましたので
これについても知っておく必要があるということで、ゼクセル・トルセンと同じように
製品のプレゼン、製造工場見学、そして実車評価などをすることになりました。
たしか、欧州駐在だったトランスミッション設計出身のM氏
AWD-CoE時代の上司でもあり主にパワーユニットの制御系を得意とするS氏
そして操縦安定性というより車体全体の評価実験としてボクの3人がスバルからの参加者でした。
ただ、ゼクセル・トルセンは日本人技術者・営業者も多くてむしろ日本人の方が多かったですかね。
ハルデックスは北欧特有の背の高い外人ばかりでちょいと圧倒されましたけどね。
それを言ったら、S氏はかなり小柄ですから、頭の上から話しかけられてる気分だったかもね(笑)
さて、技術的な話をここでしても面白くはないので……というか
結論的には2代目ザフィーラのAWDシステムの提案はトルセンでもハルデックスでもなく
この記事に書いたように豊田工機のITCCという形になったわけですが、
このハシゴ出張によってトルセンおよびハルデックスの長所も短所もはっきりしてきたわけす。
なので、ボクの感触としても、あるいは参加者3人の感触としても
だいたい同じようなところに収斂しそうだなという感じでしたね。
あとは、オペルそのものがどう考えているのかということと
未だにセンターデフ上等、VTD上等と思い込んでいる一部のスバル内の人が
どういう反応を示すかというのが、問題になるだろうなとは予測されましたけど……
という程度ですので、技術的なこと以外の出張の思い出でも少し書きますかね。
途中で見かけたスバル車なぞ載せてみましょう。
左:コペンハーゲン市内かな、ドミンゴの電気自動車です。いちおう市販車ですよ。
右:欧州では珍しいスバル・ブラットです。ルノーではありませんよ(笑)
たしか、ここは、Ring Knutstorp という公共レースサーキットだったと思います。
そう、ハルデックスは登坂路や砂地などちょっとしたAWD評価路があるくらいだったので
近くのそのサーキットを借り切って、走行評価をさせていただきました。
また、ゼクセル・トルセンはベルギー国内にあるフォードのテストコースも借用して
そこでの走行評価もさせてもらいました。
フォードの開発現場の極秘コースではないようで、実用耐久性や品質チェックなどに使用し、
故にフォードや他の人・車との混走に近いような状態での借用でしたね。
それにしても、他の自動車メーカーや部品メーカーの人に簡単な安全説明だけで
自由に使用させるなんてのはちょっとした驚きでしたね。
これまたフォードのテストコースの話をしだすと
どうしてもスバルのSKCの批判になってしまうので、やめておきましょうかね(汗)
正味3日ほどの弾丸ハシゴ出張だったので、観光なんて暇はほとんどありませんでしたが、
左はベルギー・ブリュッセルのグラン・プラス(広場)。
この8年前のドミンゴの欧州試験の時にここには来ていましたけどね。それが右の写真です。
左はデンマーク・コペンハーゲンの人魚姫の像です。
なんでも「世界三大がっかり名所」のひとつだそうですが、ボクは別にがっかりしませんでしたよ。
でかけりゃ凄いみたいな考えはまったくないですし、人魚がでかかったら怖いだけだしね。
夕陽もあってなかなか情緒ありました。
ちなみに、他の2つのがっかりは、ベルギーの小便小僧とシンガポールのマーライオンだそうです。
小便小僧はこれまたこの8年前に見ていますが(右)、マーライオンはまだ見てないです。
というわけで、前置きしたように本日の記事はあっさりとこれで終わりにさせていただきます。
次回は海外出張ではありませんが、GM-AWD大会の直後、
今度は日本の美深テストコースで行われたオペルとの共同評価のことでも書きましょうかね。
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