新書「日本語の大疑問」国立国語研究所編を読了
幻冬舎新書の「日本語の大疑問 眠れなくなるほど面白いことばの世界」国立国語研究所編を読みました。
前回紹介した本「おいしい味の表現術」では食レポなど味の表現術について考えさせられたわけですが
そもそもボクなんかは食レポより先にブログなんて書いていながら
まともな日本語をちゃんと使えているわけでもないでしょうから
その戒めに少しは役に立つかなと思ってこの本を買って読んでみました。
といっても、正しい日本語を身に着けるための参考書とか学習テキストではありませんから
結局は面白半分・興味本位で読んだだけですけどね(汗)
本書の「おわりに」では次のように本書について説明されています。
(以下引用)
本書は国立国語研究所(略称 国語研)に寄せられた日本語に関する疑問・質問に国語
研の関係者が答えたものです。 (引用終わり)
ですから、簡潔な質問に続いて国語研の人が数ページで回答・解説している形式となってます。
で、その国語研ってのは何?ということになるのですが、これも「おわりに」で説明されています。
(以下引用)
国語研は1948年に国立の研究所として設立されました。当初の目的は「国語及び国
民の言語生活の全般にわたり、科学的総合的な調査研究を行う大規模な研究機関の設立」
でした。 (中略) したがって、現在は国民の言語生活を豊かにするた
めの基礎資料を調査・収集するというより、言語に関わる基礎的な科学研究、および、そ
の成果に基づいた応用研究を行うのが主な業務となっています。 (引用終わり)
へぇー、こんな国立の研究所が戦後すぐからあったんですね。知りませんでした(恥)
ただ、国語研は「正しい日本語」や「あるべき日本語」を上から目線で裁定してるわけではなく
あくまで科学研究しているだけということのようです。
まぁ言語は生きているというか時代とともに変わっていくものなので正しいもなにもないんでしょう。
個人的には「言語」に“科学的”というと違和感を抱いてしまいますが
言語表現そのものを科学として分析・規定しているのではなく
あくまでも研究の手法において科学的に進めているということなのでしょう。
では、幾つか散発的に紹介しておきましょう。
(以下引用)
「まる子や、わしはこう思うんじゃ」のような話し方は「おじいちゃん」をイメージさせ
るのではないでしょうか。
実際にそういうタイプの人々がそのように話すわけでもないのに、キャラクターがそう
いう話し方をするとなぜか「そういうタイプの人」のイメージを呼び起こす
(中略) 歳をとっていて知恵や経験があり、落ち着いた格調高い話し方をする人
物のイメージを、上方方言を話す上方出身の人物というキャラクターによって表現しよう
としたのが、「おじいちゃんらしい」人物の役割語のはじまりと考えられています。
(引用終わり)
冒頭のおじいちゃんは「ちびまる子ちゃん」のおじいちゃん・さくら友蔵のことですね。
ただ、友蔵じいちゃんには「落ち着いた格調高い」印象はないですけどね(笑)
それに現代では関西弁にも関西人にも特にそのような特別な印象はないかと思いますが……
もちろん関西人を見下しているわけでも落ち着きがないといいたいわけでもないですが。
上方の人がそのようなイメージだったのは江戸時代後期ともここには書かれていますが
200年以上前のイメージから未だにこのような用法が使われていることに驚かされますねぇ。
次は、百貨店での店内放送などで使われる隠語の話です。
(以下引用)
隠語とは、2人以上が何かを隠す意図で、人工的に作った言葉のことを言います。百貨
店には、お客に聞かれるのが好ましくないやりとりを別の表現に言い換えて社員のみに伝
える隠語が多く存在します。(中略)現に、西武百貨店では、火事などの緊急事態の発生を
社員に伝える「ニシタケマモル」という個人名を模した隠語があるそうです。(引用終わり)
これまた、ヘェーです。知りませんでした。
それも数個ではなく何百個の隠語があるそうで、覚えるだけでも大変ですな。
中には重要な隠語もあるんでしょうけど百貨店の接客同様に過剰な配慮もあるんじゃねぇとも思いますね。
まぁとんでもなクレームをいうモンスター客がいるからそういう隠語も増えるのかもしれませんけど。
次は本書の帯にも書いてある犬・戌の問題です。
(以下引用)
十二支は月日などの順序を表す記号のように用いられていたものであり、動物とは関わ
りがありませんでした。私たちが知っている十二支の動物名は、もともとあった十二支に
後から割り当てられたものなのです。 (引用終わり)
というのはなんなくボクは知っていたのですが、そもそも干支を「えと」と読むのからして変です。
(以下引用)
中国ではこの「十干十二支」と、万物は「木・火・土・金・水」の5つの元素から成る
という「五行説」、陰と陽の2つの気が調和することで自然界の秩序が保たれるという
「陰陽説」とを結びつけて考えるようになります。日本でもこの考え方に基づいて、5つ
の元素それぞれに「陽=兄」「陰=弟」を付けて、十干を「甲=木の兄(きのえ)、乙=木
の弟(きのと)、丙=火の兄(ひのえ)、丁=火の弟(ひのと)……」と呼ぶようになりま
した。「干支」を「えと」というのもこの「兄・弟」という言い方から来ています。
(引用終わり)
「ひのえ」とか聞いた事はありますがそれが何なのかまったく考えてもみませんでしたね。
干支=十干十二支と兄弟がつながっていてそれで干支をえとと読むとは……
まぁでも実生活ではあまり関係ないことですけどね。
最後に、ラーメンの数え方についてですが、ちょっとアレって思ってしまいました。
(以下引用)
数そのものを表わす言葉に添えて、ものやことがらを数えるようにする言葉を助数詞と
いいます。小学校や中学校の入学試験に、豆腐やラーメンの一人分を「丁」で数える、と
いった日常の生活常識の範囲以上に、大人でも知らないような助数詞の問いが出題された
こともあるそうです。 (引用終わり)
ええっ、ラーメンは普通に1杯、2杯、、、で数えてますけど間違いなんですか?
確かに「出前一丁」は“丁”ですけどねぇ。
店員さんが「ヘイ、ラーメン一丁!」って返してくるのもコントやドラマ以外ではほぼないし。
ネット上ではラーメンは1杯、2杯で間違えではないようですし
景気付けたいときなどに一丁、二丁というという説明になってますが
この国語研の説明には特にそのようなことは書かれてないので俗説なんでしょうかねぇ。
確かにネットでも一人前=一丁を使うともありますが……
豆腐なら半丁も使うけど、ラーメン半丁は聞かないしミニラーメンっていうしねぇ。
まぁよく分からんし違和感もあるのでこれからもボクは1杯、2杯で行きますかね。
もっとも、ボクは小学校も中学校も入学試験なんて無縁で公立学校に入りましたから
こんな理不尽な入学試験があったとしても、どうでもいいんですけどねぇ(笑)
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