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新書「本気で考える 火星の住み方」を読了

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ワニブックスPLUS新書の「本気で考える 火星の住み方」齋藤潤著、渡部潤一監修を読みました。

著者の齋藤潤氏はJAXAのはやぶさプロジェクトにも参画していた宇宙研究者とのことですが
調べてみると、この難しい漢字の同姓同名で(たぶん間違えていないはずですが)
内閣府官僚の人やiPS細胞の研究者とかもヒットするのでややこしいです。

それに、著者が一人だけの本なのに、同列くらいに監修者がどーん前面に出ているのも不思議です。
全体の構想・構成などほとんど監修者が主導したのかもしれないですね。
名前に同じ“潤”の字があったりとここもややこしいですが
渡部の漢字が難しくなかったのがせめてもの救いというとろですかね(笑)

 

さて、本書はSF的な火星移住の世界を妄想しているのではなく
「本気で考える」とあるように最新の火星探査・調査結果などに基づき
科学的に火星移住の問題点やその方法論を展開していっているのですが
それを通じて火星についての探査・調査の歴史と最新情報の紹介ともなっているわけです。

ただ、ボクなんかは火星移住どころか、有人火星着陸もそう簡単にはなし得ないと漠然と思っていて
少なくともボクが生きているうちには、そんな夢のような話は実現しないと思ってるんですが、
同級生となる著者は意外にも次のように書いています。
                                 (以下引用)
 とは言っても、これから人類が大型宇宙ステーション、月面基地建設を経ていずれは
火星の居住へと向かうのはほぼ確実でしょう。           (引用終わり)

うーん、ほうとうかなぁ。アポロ11号が月面着陸した後の1970年代ならそう思えたけど……
若い宇宙研究者や技術者、あるいは子どもたちに向けて夢を語ろうとしているのか
それとも世界中の動向から、そう確信しているのかちょっと判断できないですけど、
この本に書いてあることを読めば読むほど火星移住はそうそう簡単な話ではないと思わされますけど。

そもそも火星移住どころか、有人火星着陸どころか、有人で火星の軌道に行くまでだって
2年に1度くらいの地球と火星が最接近する時期(ウィンドゥというらしい)に
タイミングを合わせても9ヶ月程度かかるので、そんな長期間での
宇宙線対策、無重力対策、メンタルヘルス対策など課題が山積みの状態とのことです。
それに、そのウィンドゥの関係上、地球に戻るにしても2年に1度のタイミングしかないのです。

 

まぁ、あまり細かく書く必要もないので火星移住についてはこの程度にしておきましょう。
かわりに、ちょいと面白いというか気になったことなど幾つか紹介しておきます。
先ずは、火星と言えば火星人論争というか、火星人ブームがあったかと思いますが
それに先駆けてというか発端にもなっている「運河論争」があったらしいです。

19世紀後半に望遠鏡で火星表面を見ると(人工的な)運河が見えるというものでしたが
それに関しては次のように書かれています。
                          (以下引用、改行位置変更)
 19世紀後半、1877年にイタリアの天文学者であるジョヴァンニ・スキャバレリが
当時の望遠鏡で火星を観測し、彼は火星の中緯度地方に網目状の線が見えるというスケ
ッチを提示しました(中略)
スキャバレリはこれらの網目状に見える線をカナーリ(溝)と名付けていたのですが、
それが英訳されるときにカナル(運河)という人工物とも解釈できる語句が用いられま
した。(中略)       なまじスキャバレリが名付けたカナーリ(溝)というイ
タリア語の単語がカナル(運河)と英語訳されてしまったばかりに、これらの地形が自
然現象だけでできたのかどうかという論争が英語圏の国(主にアメリカ)で広がってし
まったというのは事実です。(中略) 網目状の「運河」のような地形はないというこ
とが明らかになってきました。これは暗い小さな点のような地形が多くある地域を低い
解像度で観測すると、見る人によってはそれを「線」として認識してしまうという説明
が一番妥当だと考えられています。                (引用終わり)

錯覚から発して誤訳が重なって、火星人がいると本気で信じられてしまったのですから
今となってはいい笑い話ってことですかね。
って、未だに火星人がいると本気で信じてる人も中にはいるかもしれませんが……
特にアメリカ人の中にはねぇ。そういう国民性なんでしょうから(笑)

 

次はボクの嫌いなイーロン・マスク氏の話です。

(以下引用)   アメリカで電気自動車大手のテスラを経営する実業家のイーロン・
マスク氏が設立したスペースXという企業が大きく躍進しています。同社はイーロン・
マスク氏が将来は火星にまで宇宙船を飛ばすという構想を抱いて設立した企業で、民間
企業として初の宇宙旅行を成功させたことでも知られています。   (引用終わり)

こちらの「ブレインテックの衝撃」でも出てきたイーロン・マスク氏は
人の命なんてなんとも思ってないような輩ですから
上述の宇宙線被ばくも、無重力で足腰立たなくたっても、メンタルずたずたでも構わないんでしょう。

それから、これまたボクの嫌いなジェフ・ベゾス氏の話も出てきます。

(以下引用)               アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が作
った宇宙企業ブルー・オリジンがロケット開発や宇宙船の開発を行ってきて、そしてベ
ゾス自身が自分も宇宙へ行くと宣言しています。(中略)
 もっともベゾス氏についてはアメリカ国内では相当のアンチ活動が起こっているのも
事実です。アマゾンは従業員の労働環境などでかなりの批判を受けている企業ですから
ある意味仕方がないところかもしれません。「ベゾスは宇宙へ行ったら帰ってくるな」
というツイッターのハッシュタグがあるようです。         (引用終わり)

わはは。ただ、それならイーロン・マスク氏にもアンチ活動があるはずなんですけどねぇ。
表向きは環境に優しい電気自動車を率先している、なんて偽善者ぶってかわしているってことかな。

 

まぁ、ボクなんかが大富豪の個人に対してとやかく言っても仕方ないので
この辺にしておくとして、アメリカの宇宙観についても面白いことが書かれていました。
                                 (以下引用)
 アメリカは共和党が政権を取ると「月開発で基地を作りそこを拠点として火星に行こ
う」といい始め、民主党政権になると火星に直接行こうとか小惑星を探査しようと言い
始めたりするという、大雑把にいうとこんな傾向があります。    (引用終わり)

おそらくその裏に利権が絡んでいるんでしょうけど、そこまでは書いてくれてないので
どうして共和党と民主党でこういう違いが出てくるのか分かりませんが、興味深いですねぇ。
そして、そのアメリカについては次のような国内法があるそうです。
                                 (以下引用)
 特にアメリカが制定した国内法のロジックは将来大きな影響を与える可能性がありま
す。アメリカ国内法の理屈はこの法案にサインした大統領、オバマ氏の言葉でいえば「公
海上で釣りをしたら釣り上げた魚はその人の所有物になる」です。
 つまり宇宙でもなんでも国境のないところで物質的な資源を得たら獲得したその個人
なり法人なりに政府が採掘権限を与えておけばいいわけです(そうしないと国が税金を
取れませんから)。                       (引用終わり)

いちおう宇宙条約では、国家による領有権は認められないことになってるそうですが
こんな屁理屈みたいな国内法を作っちゃえば、勝手に個人のモノ
さらには個人が所属する国のモノということにしちゃえるんですから
本当に月や火星に重要資源があったら、早い者勝ちってことになっちゃって揉めるでしょうなぁ。

 

まぁ、でもやっぱりボクが生きている間は、火星移住なんて縁のない話だとは思いますけどね。
大金持ちの道楽での火星旅行とかはどうぞ勝手に行ってくださいというところですし(笑)

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