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GMとの最初の仕事はアズテックAWDへの助言でした

このスバル・カテゴリーの一連の記事の中でも最近は現役中のことを思い出しながら書いてきていますが
とはいえこの「4WDの分類」の記事から前回の「左右デフLSD」の記事まで8回ほどに渡っては
特にスバルに限った話ではなく4WDなどの基礎的な話を長々と書いてしまいました。

まぁその基礎のところをしっかり理解しておいてもらわないと
これからの2000年初頭のころのボクが携わってきた4WD関連のことも
きちんと伝わらないというか誤解されかねないと思ったのでこれらの基礎の話をしてきたわけです。

それに、4WD関連については巷だけではなく自動車評論家といわれる人たちでも
あるいは嘆かわしいことですが自動車メーカーの技術者でさえも
基礎が分かってなくていい加減な巷の言説を信じている人も多いので
きちんと整理しておかなければいけないかなという思いもあったわけです。

 

では、ここからは基礎や一般論ではなく、2000年初頭にボクがスバルで携わってきた
具体的な話をしていくことにしましょう。
まっ、記憶が曖昧になってきている部分や
雑多な業務を並行してやってたので混乱してる部分も多々あるかもしれませんけどね。

先ずはGMからAWD-CoEとしてのスバルに対して依頼がきたのは
ポンティアック・アズテック(AZTEK)のAWDシステムへの助言です。
アズテックはこの時の記事にも書きましたが史上最も醜い車とも言われている車ですね(笑)

アズテックの後継車としてスバルとの共同開発で仮称SGXというのが企画されてましたが
それとは違って、当時にもうすぐ新発売しようというアズテックのAWDシステムについて
「こんなので売り出すんだけど何か問題あるでしょうか?」という程度の助言が求められたわけです。

それ自体はボクがAWD-CoEの部署にいたころからありましたが
その時はまだ簡単な図面や原理的な説明だけのものでしたし
かといってもう開発は終盤なので今さら全面的に変更できないので
ただまぁなんて大仰で大変なモノを開発してんだなぁと呆れていただけでしたね。

そのAWDシステムはツイン・ジェロマティック(Twin Geromatic)と呼んでたもので
ビスカスカップリングもどきの差回転感応トルクカップリングを2個並列に使った
要するに昔のスバル・レックスのツインビスコと同じような構成になっているもので
FFベースでプロペラシャフトで後輪のファイナルギアまでアウトプットし
ただリアデフ(差動機構)はなくて後右輪と後左輪にそれぞれカップリングを付けたものです。

これだとリアデフが要らなくなるのとリアデフLSDと同様の効果も得られるのがメリットです。
実はボクは学生時代にツインビスコのアイデアを思いついていたのですが
その後1987年にレックス・ツインビスコが発売された時になって
あっやっぱり誰でも似たようなこと考えていて既に開発を進めてたんですねと思った記憶があります。
それを今さら(といってもツインビスコから10数年後のころのことですが)GMがやるとはねぇ。

もっとも、そのAWDシステムはGMが独自開発したのではなくシュタイアー・プフ社に丸投げしたら
バカ高い原価とクソ重たいシステムを提案されてボッタクリみたいな開発費を取られたみたいですが。
シュタイアー・プフからしたら何も知らないGMはいいカモだったんでしょう。
それに不信感を抱いたのでスバルにすがりついてきたとも言えるでしょうけど(笑)

 

で、レックスのツインビスコは高いビスカスを2個も使うという点では無駄に高価でしたが
実際に走らせてみると軽乗用車でここまでのトラクション性能は要らないだろうというほど
これまた無駄に高性能な4WDでしたけどね。
赤城小沼の氷上ドライブなんか(当時はスパイクタイヤでしたけど)無茶苦茶愉しかったですよ。

ただ、この手の4WDって弱点もあって(だから普及しなかったわけですが)
その最たるものがファイナルドライブ(最終減速機)の後に差回転感応カップリングを使うために
ファイナルギア比の分だけトルクが大きくなり回転数が小さくなるということです。
つまり、差回転に応じてトルク伝達するカップリングなのに
小さな差回転で大きなトルクを伝達する必要がある使い方となるため無理が生じるわけです。

なのでたかだか車両重量600kgほどで30ps程度のレックスならなんとかなっても
1.8トンで185hpほどのアズテックとなるとどうしようもなくなくなり
だから余計にどでかいカップリングにしてそれを支えるサブフレームなども巨大になり
全体にとんでもなく重くて高いものが出来あがってしまったというわけです。

それでもハンプ現象が起きるビスカスではなくトルクリミッター付のカップリングにして
過大なトルクは逃がして駆動系強度を確保するということはしてましたけどね。

 

そして、ボクがAWD-CoEからSKC勤務でSJ14操安乗り心地のD4担当となってから
GMよりこの4WDシステムの詳細な特性などが明らかにされたので
そのデータを用いて車両特性のシミュレーションなどをしてました。

それによると、当時の資料を読み返してみると、
トルクリミッターのせいで高μ路でのトラクション(悪路走破性と考えるべき)はやや低く
また旋回パワーオン直後のフロントドリフトアウトが強くその後のスピン傾向も強くて安定性に欠ける。
なんてボロクソに書いてありましたね。

そしてその後、GM主催のAWD車雪氷上乗り比べ大会@ミシガンみたいなのにボクも参加していて
(そのときのアメリカ出張の話はまた別途することにします)
その時にもプロトタイプのアズテックが試乗車に加えられていました。
で、乗ったらやはり同じような特性だったので、シミュレーションとしては的を得ていたわけです。

ただ、もう4WDそのものは直す時間もないのでCVTの変速制御など電子制御の定数設定で
欠点が目立たないようにGMにアドバイスしてその時は終わりとなってしまいました。
それでも、量産化されたアズテックに乗ったらまずまずまともになっていたのはさすがでしたね。

 

と、最初のGMとの仕事は大したことはやりませんでしたけど
それでもGMからしたら少しはスバルもまともなことを言うなとは思わせたかもしれないですな(笑)
次回はオペル・ザフィーラのAWD化の話でもしましょうかね。

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