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「いちばんやさしい地政学の本」を読了

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彩図社の文庫「図解 いちばんやさしい地政学の本」沢辺有司著を読みました。

帯にウクライナうんぬんと書かれてあり、前回紹介「異端の人間学」とは違い今年4月発行なので
まさにロシアのウクライナ侵攻を受けて書かれたタイムリーな本かと思い買って来ましたが
実際には「おわりに」によると2017年に刊行されたものに加筆・再編集をして
今年に文庫版として発行されたということのようです。
まぁでもちゃんと今年のウクライナ侵攻にも触れられていますから最新情報まで網羅されていますけど。

で、その地政学とはなんぞや、なんとなくは耳にして理解しているつもりではありますが
「はじめに」では次のように地政学の説明がしてあります。

(以下引用)「地政学」とは、地図をもとにその国の政治や軍事を考えていく学問です。
軍事理論でもあるため、戦後の日本では封印されていました。
 地理というのは、時代が変わっても変わりません。ですから、変わらない地理をも
とにすることで、それぞれの国や地域がとる戦略というのは自ずと決まってくる、と
考えられます。となると、いくら世界情勢が混沌としてきても、その国がとるべき一
貫した正しい戦略があるはずだ、となります。地政学ではこう考えるわけです。
                               (引用終わり)

なので、
(以下引用)                              「ウ
クライナのような、大国と大国のあいだにはさまれたバッファゾーン(緩衝地帯)は
いつの時代でも紛争が起きやすい」と解釈されます。ウクライナという地域は、歴史
とは無関係に、地政学的に見てどうしても紛争が起きやすい場所にあるのです。
                               (引用終わり)

とロシアによるウクライナ侵攻は必然というか当然みたいにも聞こえて身も蓋もありませんが
だからこそロシア、ウクライナだけでなく全世界がどう対処すべきかも地政学から見えてくるわけです。

また、上記には「歴史とは無関係に」と書かれてはいますが
本書では地政学に基づいてどんな歴史が展開していったのかを振り返って書かれていますので
単に地政学だけの話にはとどまっておらず、むしろ地政学を通じて世界史を理解することができます。
その意味でもとても分かりやすく優しく理解することができる内容です。

むしろ、地政学を学んでから世界史と地理を学んだ方が理解しやすいかもしれないですし
学生の頃に地政学に出逢っていたら少しは世界史や地理にも興味を持っていたかもしれないですな。

 

そして、いきなり“バッファゾーン”という言葉が出てきましたが
先ず地政学としてはシー・パワーとランド・パワーの概念が重要になるそうです。
                        (以下引用、改行位置変更)
 このように地理的条件を出発点とする地政学には、2つの基本的な概念がありま
す。それが、「シー・パワー(海洋国家)」と「ランド・パワー(大陸国家)」です。
 海に強いシー・パワーには、島国のイギリスや日本があります。アメリカも大西
洋と太平洋にはさまれているので大きな島国と見ることができて、シー・パワーの
国に分類されます。陸に強いランド・パワーには、ロシアやドイツ、フランス、中
国があります。                       (引用終わり)

そして、世界の海洋を支配するものが世界を制するという「ワールド・シー理論」と
ユーラシア大陸中心部(現ロシア)を制するものが世界を制するという「ハート・ランド理論」という
それぞれシー・パワーとランド・パワーとの見方があるということになります。

なので、ロシアはハート・ランドを抑えているのでランド・パワーとして防御は鉄壁だが
不凍港がないのでシー・パワーへの攻撃には難があるから南下する。
で、バッファゾーンのウクライナに侵攻する、ということになるというわけです。
だからといって武力侵攻が許されるわけではありませんが……

 

本書では、何もロシアやウクライナだけに焦点を当てているわけではなく
世界中の地政学について書かれていますから、
アメリカ、チャイナ、ヨーロッパ、中近東、アジアなど多岐に渡って解説されています。
そして、最後には日本について書かれていますし
太平洋戦争の失敗についても地政学的見地から解説されています。

簡単に言えば、日本はシー・パワーの島国なので同じようなイギリスの戦略に学ぶべきとのことです。
そのイギリスの基本戦略は「バランス・オブ・パワー(勢力均衡)」であり
日本も基本的にその戦略をとり、同じシー・パワーのアメリカ、イギリス、オーストラリア、
さらには台湾も含めてシー・パワー陣営を形成すべきということだそうです。

                         (以下引用、改行位置変更)
 じつは日本も大陸に対してこれに似た戦略をとってきました。日本にとっての脅威
は、つねに大陸の中華帝国でしたが、中国にはあたらずさわらずで距離をとり、大陸
内に覇権を求めたりはしませんでした。例外は豊臣秀吉で、バッファゾーンの朝鮮半
島に出兵しました。ですがこれは失敗しました。(中略)
そして、日清・日露戦争ではランド・パワーの中国とロシアを退け、朝鮮半島を支配
します。
 日本が大陸不介入の原則をやぶっていくのは、このあたりからです。(中略)
 シー・パワーの国家が大陸国家の聖域(ハート・ランド)に引き込まれると、なか
なか勝つのは難しいのです。(中略)
 そして、第2次世界大戦の日本の最大の失敗は、シー・パワー大国のアメリカとイ
ギリスを敵にまわしてしまったことです。            (引用終わり)

なるほどねぇ。
アメリカやイギリスを好き嫌いではなく単に同じシー・パワーとして陣営に入って
これまたチャイナやロシアが嫌いとかイデオロギーがうんぬんではなく
単にランド・パワーの大国として距離をおき警戒すべきということなわけですな。

さらには、朝鮮半島はバッファゾーンなんだから北朝鮮や韓国が好き嫌いではなく
バッファゾーンとして存在してもらわなければならないし
その意味では台湾もバッファゾーンでありかつシー・パワーでもあるのだから
好き嫌いに関係なくバランス・オブ・パワーの重要な存在ということになるわけです。

もちろん、これらはあくまでも地政学からみるとということなわけで
地政学だけで世界情勢が100%決まるというわけでもないでしょうけどね。

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コメント

JETさんの記事を読む前に、たまたま本屋で見つけて同じ本を購入しました。
まだ読みかけですが、タイムリーだと思って今日の自分のblog記事にしてしまいました。最後まで読むと、以前の本の改訂版と分かったんですね。よくこれだけの本を短期間に纏めたものだと驚いたのですが、改訂版なら納得です。

投稿: ぶらっと | 2022-04-17 23:41

>ぶらっとさん

あらっほぼ同時期に同じ本を読んでいたんですね。
まぁある程度タイムリーな内容なのでそうなるのは不思議でもないですけど。

日本についての部分はちょっとネタバレ的な紹介となってしまったので
申しわけありませんでしたかね。

投稿: JET | 2022-04-18 04:58

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