平凡社「アイヌの昔話」を読了
前回の「アイヌの物語世界」に続いて同じ平凡社ライブラリーという文庫本よりやや大きいサイズの
「アイヌの昔話 ひとつぶのサッチポロ」萱野茂著を読みました。
この本は平凡社名作文庫の「ひとつぶのサッチポロ――アイヌの昔話」として
1979年に刊行されたものを平凡社ライブラリーとして新たに発刊したものとのことです。
しかも、新たにといっても初版が1993年ですからなんにしても古い内容です。
とは言え、アイヌに伝わる昔話の本なので新しいも古いもないんですけどね。
著者の萱野氏はもう15年ほど前に亡くなられているのですが
アイヌ語を母国語として育ち、二風谷アイヌ資料館を創設し館長を務め、
アイヌ初の国会議員にもなったそうですから結構有名な人のようです。
ただ、ボクは以前にも萱野氏の著した本を読んでいました。
こちらの朝日文庫の「アイヌの碑(いしぶみ)」という本で
こちらも1990年初版発行という古い本になります。
たぶん、中古本を買ったのだと思いますがもう記憶が曖昧ですね。
さて、「アイヌの昔話」の本の方ですが、アイヌの昔話の中から20話が和訳されて紹介されてます。
そして、20話の最後の「罰当たりシリマオッテ」についてだけは
「パㇻコアッ シリマオッテ」としてアイヌ語でも書かれています。
アイヌ語で書かれているといってもアイヌ語は文字を持たない言語ですから
アイヌ語の発音を日本語のカナで表記しているわけですが。
それで、副題になっている「ひとつぶのサッチポロ」というのも
その20話の中のひとつとなっていて
最初でも最後でもなくかつ何か特別な話という位置づけでもないような感じです。
なお、サッチポロというのは「サッポロ」と似た感じもしますが全然関係なくて
干した筋子のことなのだそうです。
もう少し正確にはイクラを味付けして鮭の胃袋に詰めて燻製したもののようですが。
ところで、ここに紹介されているアイヌの昔話=ウゥェペケㇾは
最後は「だからいまいるアイヌよ、……」という形で教訓を語るスタイルで終わります。
日本の童話や昔話のように人によって解釈が変わることがないので良いですね。
ただ、中にはエッそんなことが教訓?てな昔話もあってちょっと笑えます。
そんな昔話の筆頭が上述の「ひとつぶのサッチポロ」なんです。
ストーリーを書くとネタバレになりますからその最後のところだけを紹介しましょう。
(以下引用)
「だからいまいるアイヌよ、干した筋子を食べるときは、ひとつぶずつ食べなさい。そ
うして、相手が人か化け物かわからないときは、サッチポロを食べさせてみると、その食
べかたでわかるものだよ」
と、ひとりのおばあさんが語りましたと。 (引用終わり)
イクラ丼をかきこむのもダメなのかなぁ。しゃもじならイイよね。
あぁー北海道のイクラ丼食べたくなってきちゃったよ(笑)
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