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選書「日本列島四万年のディープヒストリー」を読了

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朝日選書(朝日新聞出版)の「日本列島四万年のディープヒストリー 先史考古学からみた現代
森先一貴著を読みました。

本書の裏表紙(カバー)には「内容紹介」として次のように書かれていますから
それをそのまま紹介して、楽をさせていただくことにします(汗)
                             (以下引用)
四万年前の人々の暮らしは現代とはまったくかけ離れたものだと、ほとんどの
人が考える。住居、道具など、事物を比較すれば共通点はないに等しい。
だが、たとえば先史時代の狩猟採集民が陥し穴を利用して効率的に獲物を
取るのと、私たちが仕事を効率的に進めようとする際の戦略とは、意外なほ
ど共通点がある。

他方、ゴミ問題やご近所問題など、現代の私たちが抱える問題の多くは、移
動から定住へと生活が変化したことで生じた。長期に持続してきた社会と環
境との関係を先史時代にさかのぼって見通すことによって、そうした問題の
本質を浮き彫りにすることも可能だ。
生物としてのヒト、社会、文化、環境の関係を先史時代の深層から考察する
ディープヒストリーの観点を参考に、現代社会の諸問題解決のヒントを探る。
                           (引用終わり)

ということですから、著者は先史考古学者でありながらも内容的には主軸は現代にあります。
とはいっても、先史時代の内容から現代を見ているとも言えますし
ゆえに先史時代がどうであったかということもこの本で理解することもできます。

個人的には後者、つまり先史時代の内容を知りたくてこの本を手に取ったわけですが
そうだとしても面白く読むことができましたし、
もちろん現代社会の諸問題を考える視点としても有用である内容でもあります。

 

ただし、注意しなければならないのは、先史時代の内容については
かなりの部分を考古学的調査研究の結果として客観的に認められているものが書かれていて
著者の自論・自説というのはあまり展開されていないのですが、
そこから現代社会をどう捉えるかの部分については完全に著者の思考のものなので
事実でもなんでもないですから鵜呑みにするのではなくあくまでも考え方を参考にすべきですね。

なので、著者の考えをそのままここに紹介するとその考え方・考える過程が見えませんので
次のような問いの部分だけ紹介しておきましょう。
                                     (以下引用)
 SDGsの提唱があってから、自然と共生し豊かで平和な生活を営んだこの先史社会の一側面
を、持続可能性と改めて結びつけて理解しようとする向きがあるようにも感じている。資本主義
の経済発展に方々から限界が指摘される中、また都市への人口集中や地方の疲弊をまのあたりに
し、人間社会の持続可能性について先行きに不安を感じる人が増えているためでもあろう。こう
なると、経済発展のさなかには見下していた先史社会に憧憬の念を抱く人も出てくるから不思議
なものだ。しかし、果たして縄文社会が自然と共生した平等社会だったというのは本当なのか、
考えてみよう。                             (引用終わり)

このような問いかけなどから本書では現代の問題と先史時代の内容とが
行ったり来たりしながら進んでいきます。
先史時代の内容には個別に興味深いことも多々書かれていますし
現代の問題については考えさせられつつも単純な解決策が書かれているわけではないので
なんとなくモヤッとさせられるところではありますが、それも著者の狙いなのでしょう。

ということで、なかなか読みごたえのある一冊でした。

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