新書「最高の死に方」近藤誠著を読了
近藤誠の著した本は「健康診断は受けてはいけない」とか「がん治療の95%は間違い」を読んでいて
今の健康・医療常識を180゜ひっくり返すような内容ですけど
医師の立場からそれらについて真摯な姿勢で丁寧に事実関係を説明してくれていますし
かつそれによっていかに医療・製薬業界がまる儲けしているかなどの裏事情まで暴露している方なので
とても説得力がありボクも納得できる内容のものとなっています。
ですから、この本もある程度は前書などと重複する部分はあるでしょうけど
期待して読んでみることにしました。
それに、人は誰でも必ず死ぬものですから、死にたくないと思うより最高の死に方をしたいですしね。
この本の冒頭「新書化にあたってのまえがき」には次のように書いてあります。
(以下引用)
だとすると、現代人に必要なのは、死にゆく場合にどうなっていくのか、という
知識であるように思われます。――ぼくはそのような問題意識から、以前に『最高
の死に方と最悪の死に方』(宝島社)を上梓し、「安楽死」「尊厳死」「自然死」「病院死」
「苦痛死」「治療死」などについて具体例にもとづき解説しました。
それから数年経って、人々がさらに年齢を重ね、新型コロナへの恐怖心も生じた
今こそ、その本の内容は広く知られるべきだ、との指摘がありました。それで読者
が手に取りやすいよう、新書化したのが本書です。 (引用終わり)
そう、この本は単行本から新書化したものということです。
単行本から文庫化するのはよくあることですが、新書化したというのは珍しいのかな。
もっとも、その単行本は2018年9月刊行で、そこから増補・改訂しているので
中身についてはそんなに古いというわけでもなく最新情報となっているようです。
さて、日本では安楽死は法律的には認められていないのですが
実質的に安楽死まがいのことが行われているというのは知りませんでした。
それはたまに倫理的な使命感からなのか安楽死をさせて殺人事件として検挙された事件とかではなく
患者の意志とは関係なく医療現場で日常的に行われている「鎮静」というものだそうです。
(以下引用)
鎮静(セデーション)と聞いて、ピンとくる読者は少ないでしょう。
鎮静とは、末期がんの患者に「耐え難い苦痛」があって、それを和らげる方法が
ほかにないとき、「麻酔導入剤」を点滴して意識レベルを落とし、つまり眠らせて、
苦痛を感じないようにする処置です。
臨床現場で実施されているのは「持続的な深い鎮静」。ずっと点滴が続くので会
話はできなくなり、亡くなるまで目覚めることがありません。そして寿命は、鎮静
をしないときより早くに尽きます。 (引用終わり)
これだけ聞くと、なにやら柔らかな安楽死じゃないのかと思ってしまいましたが
どうやらほとんどは患者本人や家族の意志に基づいて鎮静をされているのではなく
病院側にとって生かしておくと厄介とか生かしておく価値(医療収入)がない患者に対して
勝手に鎮静をしているというのだから、真実ならばおぞましいことです。
著者はがんでは一般的に苦しまない、手術したり抗がん剤治療するすら苦しんで死ぬと言っており
そして、病院では早期発見でがん患者を増やして、その治療費で丸儲けしていると指摘して
それ故に基本的には患者には死んで欲しくはないので延命治療してさらに儲けるのだと。
だから寝たきりの患者は実は手がかからずに高額報酬が得られるので上客なんだそうです。
ただ、一方で有料老人ホームなどでは高額な入居一時金目当てのために
入居者はどんどん死んでいって欲しいので手間のかかる厄介な入居者は
鎮静の対象になりやすいとも書かれていて、さらにおぞましいことです。
まっ、ボクはそんな高額な有料老人ホームにお世話になれる身ではないので関係ないですが……
最終的に著者にとって最高の死に方をするには次のようなことが大切とのことです。
(以下引用)
――最大のポイントは「高齢になったら、脳卒中などで倒れても救急車を呼ばな
い」こと。生き延びても寝たきりになるのが関の山だから。
(中略) ぼくにいわせれば「孤独死」できる人が、本当にうらやましい。
ただ、できる限りの準備として、「リビングウィル」つまり「事前の意思表明書」
を書いて、家族に渡してある。
(長い中略)ぼくは、がん検診は受けず、がんで死ねないかと願っている。(中略)
――ぼくはクスリで脳卒中や心筋梗塞になるのは嫌だから、高血圧とか糖尿病と
かの生活習慣病の検査も絶対受けない。病気……っていうより「数値の異常」をみ
つけだしてクスリを飲むと、何もしない人たちより死亡率が46%も上がるという試
験結果もあるし。 (引用終わり)
ここでいう「高齢になったら」を健康年齢を過ぎたらと解釈するにしても
その人にとっては何歳からというのはなかなか難しい判断になるでしょうけど
まぁ独り暮らしのボクにとっては「孤独死」するのは難しいことではないですし
がん検診も生活習慣病検査も受ける気はさらさらないのでそこそこラクに死ねるのかも知れないですね。
なお、ここで「がんで死にたい」と言っているのはいっさい治療しないというのが条件です。
まぁがんの部位によってはQOL(生活の質)を上げるために最低限の手術はありかもしれませんが。
なんにしても、医療機関や製薬会社などがぼろ儲けするための搾取の対象者にはなりたくないし
薬漬けや色んなチューブとか繋がれて寝たきりで生きたくも逝きたくもないし
健康保険費用や介護保険費用の浪費をして若い世代に迷惑かけたくもないですしね。
ただ、著者も一番難しいといっているのは、ボケです。
こればっかりはボケちゃってるので自分の意志ではどうにもならなくなってるでしょうから。
それに一番他人に迷惑かけそうですし。
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