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彩図社「東京電力『黒い賠償』の真実」を読了

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彩図社の「東日本大震災 東京電力『黒い賠償』の真実」高木瑞穂著を読みました。
この本は2019年8月に発行した「黒い賠償」に加筆・修正をしたうえで
2021年4月に文庫化されて発行されたものということのようです。

で、東日本大震災での福島第一原子力発電所事故により東京電力が莫大な賠償金を課せられて
それがボクらの電力料金に追加徴収される形となっていることは知ってましたが
それらの賠償金が支払われないとかの様々な東京電力側の諸問題を暴露している
そんな内容の本なのかなと思って買ってしまいましたが、実際はちょっと違っていました。

本書の「はじめに」では次のように書かれていますので全文掲載しちゃいます。

                                (以下引用)
 二〇一一年三月一一日。
 東日本大震災によって引き起こされた福島第一原発事故によって、周辺住民や事業
者は甚大な経済的打撃を受けた。その救済措置として二〇一一年八月に原子力損害賠
償支援機構法が成立し、東京電力は同年九月から本格的な賠償を始めた。
 あれから一〇年――。
 東京電力によれば、二〇二一年一月二二日までで賠償金の請求は延べ二九五万件を
超え、約九兆七〇〇〇億円が被害者に支払われた。その財源には、国民の税金や電気
代が充てられている。
 本書では、福島原子力補償相談室で約三年間、賠償係として勤務した岩崎氏に取材
を行い、世間から東京電力に厳しい眼差しが向けられる中で起こっていった杜撰な賠
償金支払いの実態やそれに目を付けた詐欺師たちが賠償金詐欺に乗り出していく動き
などを詳細に記した。「正当」な賠償があった一方で、「黒い」賠償もあったのだ。そ
して賠償係だった岩崎氏自身もその渦に飲み込まれ、逮捕されてしまう。
 この流れはコロナウイルスによって十分な精査なしに配られている持続化給付金や
補助金、協力金などにも当てはめることができる。賠償金のメカニズムを知るために
も改めて本書を読んでいただきたい。
                     ノンフィクションライター 高木瑞穂
                               (引用終わり)

つまり、ノンフィクション小説という形になっていて登場人物はすべて仮名となっています。
ノンフィクションなので基本的には事実であるとされていることが書かれているわけですが
情報元はその東京電力・賠償係であってかつ賠償詐欺に加担したとされた岩崎氏の供述と
それらに関する裁判資料がすべてという感じであって
もう少し広範囲な取材に基づくもので黒い賠償の全貌が見えるようなものであって欲しかったかな。

 

この東京電力・賠償係の岩崎氏というのもすべての賠償案件に関わっていたわけでもなく
たまたま関わった案件に賠償詐欺が発覚して首謀者や共犯者とともに
岩崎氏の東京電力内部で協力したとして逮捕されたので取材協力をしてくれたというだけで
おそれらくそれ以外の東京電力社員や賠償請求した側の人たちも取材はできなかったのでしょう。

ですから、あくまでも氷山の一角についてのノンフィクション小説だとも言えますが
それでも震災後から賠償が始まり、その時の組織がどのようであり、
どのような風潮の中でどんな形で賠償が進み、あるいは滞り、
どのような金の流れがあったのかという部分については
ある程度全体像がつかめるような内容になっています。

そして、その中では氷山の一角として逮捕まで至った賠償詐欺もあるわけですが
立件までに至らなかった多くの賠償詐欺案件があり
また詐欺師・詐欺集団によるものでなくとも詐欺まがいやどんぶり勘定の水増し賠償も多々あり、
でもその一方で切り捨てられてしまい賠償もされないような弱い立場の人びとも多くいるわけです。
もちろん、未だに戻れないような人にとっては賠償されたからといってそれで済む問題ではないけど。

それでも、この本を読むと大半は詐欺まがいな案件で全体として莫大な賠償金が使われてる感じで
それは東京電力が負っているというよりは東京電力としては
結局は国=国民の税金と電力料金から出るお金なので何も痛みはないという感覚らしいので
逆に結果的にそれを負担している側であるボクなんかからすれば腹立たしいことこの上ないですな。

ちなみに、その賠償係の岩崎氏は最終的には不起訴になったそうですが
にも関わらず東京電力からは懲戒解雇されてしまってます。
真実は分かりませんがそれはそれでなんだか理不尽な話ですけど……

 

そして、「はじめに」の最後の段落にも書かれていたように
新型コロナ禍での持続化給付金や補助金でも似たような詐欺請求が横行しているんでしょうねぇ。

まぁ、この場合は賠償ではないはずなんですけどね。
政策的な不手際はさておき誰かが悪くて損害を被ったというより
天災と同じですからある面では仕方ないことですから最低限の保障をしましょうということだし
災害に対して補助しましょうということですからね。

それもこれも含めてもう少しお金について明朗で迅速な日本社会になって欲しいものですな。

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