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新書「日本大空襲『実行犯』の告白」を読了

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新潮新書の「日本大空襲『実行犯』の告白 なぜ46万人は殺されたのか」鈴木冬悠人著を読みました。

本書の冒頭、「はじめに」は次の文章から始まります。
                                 (以下引用)
 わずか1年足らずの間に、少なくとも45万8314人の命が奪われた。
 史上最悪とも言える無差別爆撃。その舞台裏が、赤裸々に告白されていた。
「私は、過激なことをするつもりだった。日本人を皆殺しにしなければならなかった」
(カーチス・ルメイ。東京大空襲を実行した第21爆撃軍司令官、アメリカ空軍将校)
                                (引用終わり)

ぞっとする言葉ですね。ユダヤ人殲滅を図ったヒトラーと同列にも聞こえる発言です。

なお、この本の成り立ちについては同じく「はじめに」に次のように書かれています。
                                 (以下引用)
 本書は、2017年8月に放送したNHK・BS1スペシャル「なぜ日本は焼き尽く
されたのか」の取材情報をもとに、番組では伝えきれなかった内容を大幅に加筆したも
のである。                           (引用終わり)

ボクはたぶんその番組を観ています。
けど改めてこの本を読んで愕然とすることも多く勉強になりました。

 

冒頭に名前が挙がった、カーチス・ルメイは日本本土空襲の司令官だったのだが
著者によれば、会社に例えるなら彼は中間管理職にすぎないということで、
社長にあたる最高責任者としてはヘンリー・“ハップ”・アーノルド大将の名が挙がるとのことです。

ネタバレ的になってしまいますが内容をかいつまんで述べてしまうと、そのアーノルドが
当時はまだ陸軍の下部組織であった“陸軍航空隊”を陸海軍から独立し対等の“空軍”とするため
陸海軍よりも戦勝を決定付ける目に見える戦果を得るために無差別空襲に至ったということです。

つまり、米国民の命や権利を守るためではなく、戦争を早く終結させるためでもなく
その第一目的は米軍内部における覇権争いともいうべきものの手段のために
日本人(ほぼ民間人)46万人の尊い命が犠牲にされたということなわけです。

だからと言って、上記の2人をただ糾弾するだけでは済まされないですし
アーノルドの思想のもとには、ウィリアム・“ビリー”・ミッチェルというアメリカ陸軍航空隊将校がいて
ミッチェルの構想をアーノルドが実現するべく戦略を立てルメイが実行したというのが正しくて、
かつそれを支持したのがルーズベルト大統領でありアメリカの世論だったわけです。

 

そのミッチェルが太平洋戦争が始まる10年近くも前に大衆紙に次のような寄稿をしていたそうです。
                                 (以下引用)
「日本を破壊するためには、3万5000フィート(約1万メートル)の高さを飛び、
5000マイル(約8000キロ)の行動範囲を持つ航空機が必要だ。十分な爆弾を積
んで、往復することができるだろう。日本はそれを恐れている。日本の都市は、大部分
が木材と紙で作られ、空爆の標的として世界がかつて見たことのある都市の中で最も素
晴らしい。焼夷弾が直ちに都市を焼き尽くすだろう」        (引用終わり)

この時点で既にB-29の原案とも言える爆撃機が構想されていたことになります。
それにも関わらず、開戦時点ではB-29どころか通常の爆撃機、戦闘機などの米軍の航空兵力は
日本よりも大幅に低かったのだそうです。
たまたま日本の零戦などが優秀だったのではなくアメリカは日本以上に大鑑巨砲主義になっていて
航空兵力軽視をしていたということは今まで知りませんでした。

で、開戦してから急遽航空兵力の大増強とともにB-29の開発に着手したとのことで
そこに費やした開発費は原爆のマンハッタン計画の20億ドルを上回る30億ドルもの大金だったそうです。

なお、このミッチェルという人は真珠湾攻撃の17年も前に次のような予言をしていたそうです。
                                 (以下引用)
「ある晴れた日曜日の朝7時半、日本の航空機が真珠湾の基地を攻撃する。海軍の戦艦
停泊所、弾薬集積場などを爆撃し、太平洋で戦争が始まる」     (引用終わり)

真珠湾攻撃の曜日、時刻、部隊編成、航空母艦の位置まで予測していたとのことで驚きですね。
もちろん、ミッシェルが占い師とか預言者だとかというわけではなく
理論的・分析的に予測すればそこが米軍の弱点であり日本軍の戦術になるということでしょう。

 

怖ろしいということでは、あのディズニーが戦時中の1943年に自ら制作した航空軍宣伝の映画です。
                          (以下引用、改行位置変更)
さらに、恐ろしいことを言ってのける。「飛行機の広大な飛行範囲と破壊力は、地球上
全てを戦場に変える。兵士と一般市民を隔てるものはなくなる」。
 兵士と一般市民を隔てるものはないとは、まるで無差別爆撃を肯定するかのようであ
る。映画が描く世界は、その2年後に実行される東京大空襲を想起させるものだった。
                                (引用終わり)

こうやってディズニーが率先してアメリカの世論を誘導していたわけです。
ディズニー映画を観て、ねずみの国で遊んで……なんてしたくなくなる事実ですねぇ。

 

あと、意外だったのは、B-29は高度1万メートルの超高高度から飛来してくるので
日本軍の戦闘機はその高度まで達せずに迎撃できなかったと理解してましたが
実際には何機も迎撃していたんですね。
既に日本陸軍にも疾風が配備されていて短時間ならそのくらいの高度まで上がれたということですかね。

そして、B-29は当初は高度1万メートルからの軍需工場などへのピンポイント爆撃を試みたけど
気象条件などから命中率は10%以下でかつ迎撃されたりして狙った戦果があげられなかったそうで、
それで当時の司令官ハンセルが解任されて、代わりに司令官になったのがルメイだったとのことです。

で、そのルメイが独自判断で、というよりアーノルドの意向を忖度して(?)
昼間の高度1万メートルからのピンポイント爆撃から方針転換して
夜間の低高度からの焼夷弾による民間人無差別爆撃に打って出たというのです。
もちろん、その前からアーノルドは日本の民家と民間人を焼き尽くすために最適な焼夷弾を
アメリカ国内で日本の街並みを再現した実験場を作って研究して準備していたわけですが……

ここからはもう超高高度からのピンポイント爆撃なんてきれいごとは一切なくなって
焼夷弾が尽きるまで日本各地の都市という都市すべてを対象に無差別爆撃が繰り返されたんですな。
結局、広島、長崎に原爆投下され、日本がポツダム宣言受け入れをアメリカに伝えた後でも
伊勢崎空襲などなおこの無差別爆撃は続けられたんですよね。

でも、この本を読んでその最後まで無差別爆撃を続けた理由がよく分かりましたよ。
空軍の戦果ととに空軍の独立が最終目的であったのだから
原爆にだけ戦果を持って行かれたのでは空軍の存在意義が薄くなってしまうと焦ったからなんですね。
そんな組織の都合だけの理由で民間人が大量虐殺されたのではたまったもんじゃありませんし
そんな理由だったらまだ「憎き日本人め、皆殺しだ」の感情に走った行為だった方が救われるかも。。。

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