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新書「同調圧力の正体」を読了

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PHP新書の「同調圧力の正体」太田肇著を読みました。

“同調圧力”という言葉にも興味を惹きましたが、それよりも帯に書いてある
「現代版『「空気」の研究』と言えるのではないか」成毛眞氏推薦! の部分に惹かれて買いました。
「空気」の研究』とは山本七平著の有名な本のことですし
成毛眞の著した本も幾つか読んでますから気になった次第なわけです。

なお、太田肇著の本も過去に「『ネコ型』人間の時代」と「がんばると迷惑な人」を読んでましたね。
ただ、それがすぐに紐づけされて連想できたかというとそうでもなくて
どうも著者の名前が記憶に残りにくいのかもしれませんが……いやボクの記憶力がないだけです。

 

先日、ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎氏も日本を離れアメリカ国籍を取得している理由として
日本社会の“同調圧力”(「私は他の人と調和的に生活することができないから 」)だそうですね。
だからこの本を読んだわけでもなく、その前にもう読み終わっていたわけですけどね。

そして、この本での「同調圧力」については主に日本におけるという切り口が主体となっていますが
もちろん日本だけでなく他の国や世界中でも同調圧力はあるわけでそれらも含めた内容になってます。
なので、日本は島国だからとか農耕民族がルーツだからとかいうような話で終わってはいません。
むしろ次のように序論の部分に書かれています。
                                 (以下引用)
 もはや「日本人だから」「日本の文化だから」というだけで片づけるわけにはいかな
い。事実、いろいろなデータが示すように日本人が本来集団主義的だとは決めつけられ
ないし、周囲に同調しやすいともいいきれない。だとしたら、現実に同調圧力を強く感
じ、それがさまざまな問題を引き起こしているのは、やはり社会的環境に問題があるか
らだと考えられる。                       (引用終わり)

日本人が本来集団主義的でなく同調しやすいわけでもないというデータが見たかった気もしますが
それらについてはスルーされてしまっているのは少し残念な気がしましたが
まぁ実は日本人が集団主義的だというのは幻想であり案外個人主義的であるとかの話は
以前に読んだこちらの本でも扱われていたので特に驚きはしませんでしたけど。

 

本書では集団は自然発生的な家族やムラのような基礎集団=共同体と
特定の目的をもった企業や学校などのような目的集団=組織に分けることができるとしたうえで
日本では一般論として「組織が共同体化する」といえるのではないかと指摘しています。

そして、日本の組織で同調圧力が生まれて共同体化しやすい要因として
「閉鎖性」「同質性」「未分化」という3つを挙げています。
最後の「未分化」というのは、自分は自分、他人は他人という発想ができないということです。

このあたりの論理展開の中で面白い記述があったので少し紹介しましょう。
                                 (以下引用)
 外部の人が聞いたら何の話かわからないが、みんなジャイアンツファンで、前日にテ
レビでナイターをみていたことが暗黙の前提になっているので話が通じる。当然ながら
野球好きでジャイアンツファンの男性以外は話の輪に入っていけず、ちょっとした疎外
感を味わう。                          (引用終わり)

あぁこれ、社会人になって早々にそれまでほとんど会話もしたことない人からやられましたな(笑)
たぶん悪気はなく新入社員のボクに気軽に声掛けてくれたんでしょうけど
いきなりジャイアンツファン前提で会話されてもこっちはアンチですからねぇ。
まっ、当時は後楽園のリリーフカーは富士重工製(スバル車ではないよ)だったし
ちょっと前まで原辰則をCMに使っていたからジャイアンツ贔屓が前提だったのかもしれませんが……

                                 (以下引用)
 もちろん日本でも、組織の中に異分子がまったくいないわけではない。しかし異分子
がごく少数の場合、同調圧力に抗うことは困難であり、通常は多数派に押し切られてし
まう。                             (引用終わり)

ボクがサラリーマン時代ではその異分子という扱いを受けたことは多々ありますし
実際にごく少数というかほぼ孤軍奮闘の異分子だっから抗うことは叶いませんでしたが
それは多数派に押し切られるというより排除されて無視されることがほとんどでしたかね(汗)

それにしても、組織が小さくなるほど「閉鎖性」「同質性」「未分化」が強まり同調圧力が働くというのは
実感として非常によく分かりますね。
STi応援として東京事業所(三鷹)に転勤した時も群馬より同調圧力が強いと感じましたし
それ以上にSKCに転勤した時はもっと閉鎖的で強い同調圧力を感じましたからねぇ。

 

ただ、こうした同調圧力というかそれによって共同体化した組織の問題が明るみでるようになり
つまり、企業や役所での組織的な不正だったりイジメ、パワハラ、セクハラなどが問題となり
これらの同調圧力が原因視されるようにはなってきたと言います。

しかし、これらのいわゆるタテ方向の同調圧力から自粛警察やらSNS炎上などにみるような
大衆型同調圧力、つまりヨコ方向の同調圧力へと変化してきたというのです。
これはなかなか面白い視点であり面白い指摘だなとボクは感じました。

(以下引用)                               タテ
方向の同調圧力が低下するのと反比例して上昇してきたのが、ヨコ方向の同調圧力であ
る。タテの序列が崩れ密室の壁に風穴が開きつつあるかと思えば、形を変えた別の閉鎖
的な社会が生まれ、ヨコ方向から圧力をかけてきたのだ。そもそも背後に共同体主義が
あるかぎり、タテの圧力に代わってヨコの圧力が強まるのは当然といえる。(引用終わり)

早期リタイアしてタテの同調圧力から無縁になったボクなのに(タテの圧力は会社だけに限らないが)
今度はヨコの同調圧力が強まったというのでは無職でも生きづらい世の中になっちまったのか。
まぁ直接的にヨコの同調圧力を受けたと感じたことはまだほとんどないですけどね。

それよりもここでのキーワードは“共同体主義”ということで
これはもうイデオロギーの問題とまで言っているわけです。“主義”ですからね。
そして本書ではその共同体主義を解体して同調圧力にどう対処するかまで書かれていますが
まぁそこまで全部書くとネタバレ的になってしまうので止めておきましょう。

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