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2代目インプレッサについてのマガジンXの記事も紹介

21世紀初頭(2000年~2005年頃)までのスバル・レガシィとフォレスターについての
自動車雑誌・マガジンXの記事を紹介してきましたので、インプレッサについても紹介しましょう。

ちなみに、どうして21世紀初頭を一括りにしているのかというと
ボクがSKC勤務で操安乗り心地の実験業務をしていたのに
量産車開発とは無縁だった期間でもあるわけですが、
それよりもGMと提携していた期間でもあり竹中恭二社長の時代でもあるからです。

社長だけに責任があるわけではないのですがこのGM時代のスバルは
その前までの日産時代以上に低迷というより混迷を極めていて激動の時代だと思っているので
その頃のことをスバル車の出来から振り返ってみましょうかねという意味合いなわけです。

その意味ではやはりレガシィ(66L年改21Z)がその混迷ぶりの際たる車種だったとも言えますが
2代目インプレッサ(GD/GG系)についてもスルーするわけにはいかないでしょうから
先日整理したマガジンXの過去記事から2代目インプレッサについての内容を紹介していきましょう。

なお、2代目インプレッサの開発符号は44Sで、この記事で書いたよう
ボクはその初期段階の操安乗り心地開発として目標性能立案や初期のサスレイアウト検討などしました。
それがそのまま量産まで活かされた部分は僅かでしょうけど少なからず責任はあるんでしょうね。

 

まずはマガジンXの2000年11月号「ざ総括 商品評価会議」の記事からの紹介です。
ここでは、2000年8月発売のスポーツワゴンと(セダン)WRXが対象となってます。
この2ヶ月後にWRX STi、スポーツワゴンSTiが発売されますがそれは別途後述します。

ボクが提案した目標性能ではWRXは「軽い運動の爽快感・昂揚感.健康的.」との位置づけですが
果たしてそのように仕上がっていてそのような評価をされたのでしょうか?

                               (以下引用、改行位置変更)
T いや、走りの側からすると、リア・サスペンションのジオメトリーが変ったのが大きい。旧型
の問題点は、とくにハイパワー仕様でリアの踏ん張りが足りなかったこと。ブッ飛ばすとけっこう
難しい、ある意味では危ないクルマになっていた。
マ WRXは事故率が高い、というのが保険会社のデータにもありましたね。ランサー・エボリュ
ーションも同じように速すぎて難しいんだと思うけど、販売はインプレッサのほうが多いから、飛
ばして事故る例も多くなる。
T それでリアのロワー・パラレルリンクの内側ピボットを上げた。そのために4WDのデフマウ
ントを上げ、フロアと燃料タンクも持ち上げている。
E1 ロール時に外側輪が立った状態で踏ん張る領域を増やしたわけだな。    (引用終わり)

79V(初代フォレスター)でボクがやった手法と同じようなことをやったということですね。
というか、初期段階の開発をやっていたボクがその知見から同じことを提案したわけですし
かと言ってそのためにフロアや燃料タンクなどすべてお金かけて新製したわけではないんですけどね。

というのも、衝突安全確保のためにフロントに衝突サブフレームを追加しただけでなく
フロア全体を持ち上げた(着座位置も上がるし重心高も上がる)ので
79Vの嵩上げ廃止とまったく同じようなことが出来たというだけなんですよ。
まぁでも狙いは肯定されているし評価も良いのでそこはひと安心ですな。

そして、「WRXの事故率が高い」というのはこの記事を書く前から知られた事実でして
44S開発に当たってもボクは問題視して対応策をあれこれ考えたわけですけど
上司から「そんなの関係ねぇ。下手なのに買うやつがバカ」みたいなこと返されて愕然としましたね。

確かに、クルマには凶器になりかねない狂喜の側面も無きにしも非ずですし
自動車メーカーとして綺麗事だけでは済まない部分もあるにはありますが、
車種数が少ないスバルに1車種でもそんな車があるとブランドの毀損につながりかねないのにねぇ。
その意味では燃費の悪さやブシュー・ボロボロ~の排気音なんかも同類ですけど……

なお、外観デザインについてはボクは門外漢ですけど、この車では少し触れておくべきでしょう。
                               (以下引用、改行位置変更)
OL ……それで、このスットンキョーな顔つきは、どうしたんでしょうか。
E3 申しわけないけど笑っちゃった。
OL でもじつは私、実物を見たらそんなにヘンだとは思わなくって、けっこう可愛いじゃないか、
と。                                   (引用終わり)

「スットンキョー」というのは言い得て妙ですね。
まぁボクもどうしてこんな顔つきになったのかは噂話で聞いた程度しか知りませんが
WRX STiのイメージではなくあくまでも普通のCセグ大衆車として見れば可愛かったですけどね(笑)

 

それでは、操縦安定性・乗り心地はどうかというと、次のように書かれています。
                              (以下引用、改行位置変更)
ロードノイズは大きいが素直で素性のいい1.5ℓ
PL そして、走るとどうかね。
OL ハンドルの手応えとか、スーッとイメージどおりにねらったところに行く動きとか、ほかの
日本車にはない感じですね。クルマらしい、っていうのかな。とくに1.5ℓがなんでもなくフツ
ーで気持ちよかった。
T そのとおり(笑)。                         (引用終わり)

手放し絶賛というほどでもないですけどいつも辛口のマガジンXの評価としてはかなり良いですね。
開発の佳境時点ではまだまだ「プレミアムブランドを目指す」はなかっただろうし
それよりも良い意味でのほっとかれた車種&グレードで寄って集って弄りまわしてないので
素直な性格な走りの車に仕上げることが出来たというのが実態なんでしょうかね。

では、ターボ付きのSTiじゃない普通のWRXはどうですかね。
                              (以下引用、改行位置変更)
めざす“仕上がり”の方向に賛同できる数少ない国産(中略)
T 旧型は固く、突き上げがきつく、コーナリングの中でトルクがグワッと来ると動きがヨレた。
それはずいぶんとよくなったね。多少無理な運転をしても、後ろがしっかり踏ん張って安定して
曲がる。リア・サスを直した効果は大きい。(中略)
PL ということは、全天候型スポーツで、しかも適度にコンパクト、というインプレッサの面白
さに関しては、STiバージョンが出るまで評価はお預け。でも日常の足で素直に走るクルマと
してはI's、日本車には少ないしっかりした走りと適度なスポーツ性のバランスは2ℓNA、と
いうことだな。
T 何よりも「クルマの走りとは何か」を知り、能力の高い実験部門の人間が少数できちんとク
ルマの走りの方向を考え、仕上げている。日本では非常にめずらしいケースだよ。
                                    (引用終わり)
こちらもなかなかの高評価で締めくくられてます。エンジン、ATは手厳しい評価ですけどね。
意外にもボクが最初に提案した狙い(目標性能)に近い形で走りはまとめられていたということで
ひと安心というか、まぁ普通にちゃんと開発すれば普通に素直な車が出来るということなんでしょう。
もちろん、ボクあとを引き継いで最後まで仕上げてくれた同僚にも感謝ですけどね。

 

さて、それでは2ヶ月遅れで追加投入されたWRX STiとスポーツワゴンSTiはどうでしょうか?
なお、これらはグレード名にSTiと入っていますけどそれは名前だけの単なるグレード名であって
実際の開発にも製造にもSTi(スバル・テクニカ・インターナショナル)は関与してませんね。
企画段階で少しは要望を出しているのかも知れませんけど……

こちらは2001年2月号のマガジンXの「商品評価会議 ざ・総括。」の記事から引用して
その内容を紹介しつつ私見を加えていきましょう。
                             (以下引用、改行位置変更)
T2 最初に発言していいですか?
PL どうぞ(笑)。
T2 これ、世界一の4WD全天候リアル・スポーツですっ!しかも、いま買えるスポーツカー
の中で最もコストパフォーマンスが高い!
E1 同感!
PL ハナから絶賛だな。じゃあ、その理由を読者のみなさんに説明してください。
T1 ただし条件がある。セダンのSTiにかぎる。ワゴンは絶賛じゃなく称賛かな(笑)。
                                   (引用終わり)

おっのっけから絶賛ですね。これまた辛口マガジンXとしては珍しい。
前回のワゴンのNAの1.5ℓ、グレード名はI’sもかなり良い評価でしたけどこれはさらに上かな。

どんなところが良いのかということとともにドライビングの基本みたいな話も出てきて面白いので
かなり長めの引用となりますがご容赦ください。
                             (以下引用、改行位置変更)
T2 (中略)リアの踏ん張りが旧型とは比較にならないほどしっかりしたから、旋回の中から
ターボパワーを一気にかけてゆくような状況でも破綻がない。
E2 飛ばし屋系自動車雑誌では「アンダーが強めだ」という感想文が多いようですが(笑)。
T2 まずコーナーへのアプローチで「フロントタイヤが外へ流れた」という人は、オーバース
ピード。舵を切り込むアクションが速すぎる可能性もある。進入速度と操舵量が正しければき
ちんと向きが変わり、タイヤ幅の3分の1以下の精度でイメージしたラインに乗ってゆく。無
理・無茶をすれば、まずフロントタイヤのグリップがサチュレートする。非常に正しいバラン
スなんです。
T1 コーナーの中で曲がりながら強引にパワーオンして駆動力を高めると、旋回円が膨らむ。
これもそうあるべき自然な動きだ。だからそれに合わせてステアリングを戻してゆけば、姿勢
の乱れもなくきれいに脱出できる。そこでもリアがもっと滑るといい、とか、アクセルをちょ
っと抜いたら姿勢がバッと変わったほうがいい、というなら、カン違いもはなはだしい。パー
シャルをきれいにコントロールして旋回し、アクセルを深く踏み込むのは、旋回から脱出して
旋回の円を広げ、直進に向かってゆく時、というのが基本中の基本じゃないか。
E2 リアの踏ん張りがしっかりしているからこそ、高い運動能力が実現できたわけですし、駆
動力をガバッとかけてリアが沈むと、タイヤが外に蹴り出す動きをする。(中略)
PL まぁ、自分勝手な運転をクルマに押しつけ、その結果、間違った動きを作ってしまったの
をあれこれ言う輩の話は、気にしないことだな。
T1 間違った運転をすると、間違った結果が出る。これがほんとのスポーツの道具なんだ。で
も、そういうクルマはほんとに少なくなった。              (引用終わり)

技術的な観点で言えば、「リアが沈むと、タイヤが外に蹴り出す動きをする」と書いてありかつ
本文とは別の注釈ではロアアームの下反角を増やしたウンヌンと解説されているので、
79V(初代フォレスター)以来ボクがやってきたロールセンター上げの真の意図が
ここにきてやっと理解されたのかという感じですかね(笑)
今までマガジンXでは単に(対地)キャンバ角にしか目が行ってませんでしたから。

それ以外ではほとんどがドライビング論という感じですけど
ここに書かれていることは正にその通りということで全面的に肯定ですね。
特に、最後の「間違った運転をすると、間違った結果が出る」というのは当たり前だが大切です。
もっとも間違った運転すると途端にとっちらかってコントロールできなくなるのはダメですけどね。

ボクが44Sの開発初期に提案したWRX STiの狙い(目標性能案)は
上質で粋なバランス感覚に優れた大人の味」ということでしたから
上質さや粋かどうかは触れられてないけどまぁ大人のスポーツドライビングにはなってるのでしょう。
というわけでこれまたひと安心というところですかね。

 

そんなわけで、2000年に発売された44Sはかなり良い出来のクルマとの評価でしたが
その後の年改でどうなっていったのでしょうか?
それはまた次回の記事ということにしましょう。

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