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涙目インプレッサのマガジンXの記事を紹介

21世紀初頭(2000年~2005年ごろ)のスバル車が辛口雑誌のマガジンXでどう評価されたかを
振り返ってみているわけですが、前回は44S(2代目インプレッサ、GD/GP型)を取り上げましたが
今回はその後のMC(マイナーチェンジ)車のマガジンXの記事を読んでみましょう。

この2代目インプレッサは2000年8月発売(STiは10月発売)でしたが
その2年後の2002年11月に大幅フェイスリフトをしていわゆる丸目→涙目と呼ばれるC型になります。
そこからまた2年半後の2005年6月にも再度大幅フェイスリフトをして
今度はスプレッドウィングスグリルという通称涙目→鷹目と呼ばれるF型になります。
このように顔つきをコロコロと大幅変更していることからもスバルの混迷ぶりを象徴しているでしょう。

もっともこの時代は北米向けのB9トライベッカや軽のR2なども
途中でスプレッドウィングスグリルの顔つきの大幅変更をしていて迷走しているんですが
まぁそもそもトライベッカやR2という車種自体がその頃のスバルの混迷ぶりを象徴してるんですがね。

 

まっ、それはさておき、まずは2代目インプレッサのC型(涙目)の評価記事から見てみましょう。
マガジンXの2003年4月号、「ざ・総括。」で取り上げられていました。
これも当時のスバルの混迷ぶりが見てとれて今となっては面白いので長く引用します。

                             (以下引用、改行位置変更)
PL インプレッサのMC(マイナーチェンジ)だ。この会議では基本的にMCは扱わないのだ
が、我われ自身が興味を持ち、また読者の皆さんの関心も高いクルマについて、MCでも取り
上げてきた。今回はどうだろう。
T2 4WDのスポーツモデルも、走りについては日本最良だった。それが「いったいどうしち
ゃったんだ、これは」というぐらいダメになりましたね。
E1 たしかに。日本のメーカーのMCは、市場からのフィードバック、もっと正確に言えば、
素人がちょっと気づいた不満への対策に終始して、欧米のメーカーのようにモデルイヤーやM
Cで、クルマとして良くなる、ということはまずない。しかし、ここまでいじり壊すのも珍し
いケースだね。
プ まず、なぜ2年でMCしたのかという理由。しかも、ボディの前半分はデザインだけ見れ
ばFMC(フルモデルチェンジ)と言っていい。富士重工の例で言えば、レガシィもインプレ
ッサもモデルライフは6年と日本車にしては長めで、3年目にMCというのが通例だった。
(中略)
プ フロントまわりのデザインが、販売店のお偉いサンたちに評判が悪く、売れない主因にさ
れたらしい。それと、STiが筑波サーキットのラップタイムでランサーエボリューションに
負けた。これがいちばん悔しい。
編 インプレッサの開発主担当者氏が「売られたケンカは買う」と言ったそうです。筑波のラ
ップタイムで負けて、値段でも負けた。ランエボのほうが10万円くらい安かった。
E1 そのケンカ、誰が売ったの?
プ 三菱じゃないよ。スバルのほうが勝手に「売られた」と思った。結局はSTiとランエボ
を対決させる自動車雑誌と自動車ビデオが作ったケンカ。(中略)
E2 ゼロ・コンマ何秒の話でしょ。「何考えてクルマを買ってるの?」と言いたくなりますね。
そんなことのためにクルマづくりを変えろ、と言われたら、私だったら仕事を放り投げちゃう
かも。
T1 GT-Rも、この2車も、みんなそれでダメになってきたんだよ。   (引用終わり)

スバルはこの頃はもう「プレミアムブランドを目指す」と言い出してるんだけど
なのに三菱なんかと筑波のタイムでガキのケンカみたいなことしてるんですから笑ってしまいますね。
もっともBMWやポルシェでもニュルのタイムで争っていたりするわけですけどね(笑)
まぁなんにしてもこの頃はプレミアムのプの字も知らないのに逆に皆が幼稚になってしまったんでしょう。

では、具体的にどういうところが弄り壊されたのか、次を読んでみましょう。
                             (以下引用、改行位置変更)
しっとりした挙動は乱暴な動きに改悪された
PL では、走らせた分析を聞こう。
E1 ついにスバルにとって最も大切な財産である、実験部門まで信用しなくなったのか、と言
わざるを得ないね。彼らが「高運動性4WDは、こうあるべきだ」と仕上げた走りを、たかが
筑波のラップタイムごときで全面否定して、乱暴なだけのクルマに変えてしまったわけだから。
T2 STi系はとにかく硬い。路面のちょっとした凹凸を踏んで飛び跳ねる。上下に揺すられ
続ける。しかもそういう動きが全部、クルマの挙動に出る。横揺れしたり、横っ飛びしたり、
舵がキュキュッと振られたり……。でもエンジンは速い。踏めばいままで以上に強引に加速す
る。どのくらいのペースでコーナーに入って行ったらいいんだか、普通の人ではちょっとわか
らない。強引にコーナーに飛び込んでハンドルを切ると、キュイッとノーズが横に持って行か
れる。過敏。でもタイヤのグリップに乗っかって強引に曲がる。
T1 STiスペックCは、筑波のラップタイムを削ることを最優先した。でもWRX全体が走
りの傾向はそっちに引っ張られた。(中略)インプレッサの持っていたクルマの“走り”の資
がズタズタにされたな。
E1 スバルの製品開発担当者が、営業部門が、そして経営陣が、自分たちが優れているものは
何か、ユーザーに信頼されるブランドイメージをじわじわと築いてきたものは何か、まったく
わかっていない。これはレガシィやフォレスターにも現れていることだが、今回はとくにひど
い。
プ ま、自分で走ってクルマの良さがわかる、という人は、スバルといえども開発担当者の中
に何人もいるわけじゃない、ということがあからさまになったわけだよ。(中略)
T1 スペックCは、前のRAタイプCでやった改悪、転舵時の対地キャンバーを立てるために
キャスターを無理やり増やしたを継承しているから、よけいに舵のギクシャク感が強くなる。
T2 タイヤを踏ん張らせつつ旋回している中からアクセルを踏んでいく、という状況では、駆
動トルクの前後配分も、センターLSDの電子制御も、明らかにドライのサーキット路面に偏
った設定。そういうところで強引に曲がるだけなら、後輪が滑ってよく曲がりますよ。でもウ
エットとか、ましてやスノーやアイスという4WDだからこそスポーツできる状況では、リア
の駆動力が強すぎるし、LSDも拘束するタイミングが合わない。駆動力でリアが流れようと
する。もっと早く直結4WDになれば姿勢変化は安定するのに。途中で拘束するから向きの変
わり方が安定しない。
T1 ニュルブルクリンクで、レースのつもりでタイムを切り詰めようと、縁石をカットして走
ると跳ねる。そうやって1輪が宙に浮いた状態でも空転させないようにして、強引に加速した
い。そのために前輪LSDが必要になる。おそらくニュルなどでサーキットアタックをさせた
テストドライバーが、そういう走りをしているんだよ。          (引用終わり)

いやー酷い謂われようですな。しかし、どれも核心を突いているからねぇ。
なお、この車の開発をしていた頃はボクはSKC勤務で操安乗り心地の実験をしてましたが
その年改車にはまったく関与していません。
4WDの話も出てきていますがAWD-CoE時代含めてAWDの先行開発という部分でも
この年改車には本当に1ミリ足りとも関与してませんでした。
たぶん、関与することになったら大ゲンカして会社辞めてたかもしれませんが……(笑)

それにしてもマガジンXの酷評はさらに続きます。          
                             (以下引用、改行位置変更)
このままの方向性ではスバルらしさは消滅する
PL それにしても惜しい。このモデルの最初に出たSTiとその競技車両ベース仕様のタイプ
RAは、世界最良の『全天候スポーツカー』だったのに。
T1 そのとおり。(中略)
T2 それも、このMCで、雨の中すらドライビングスポーツとしては味わえなくなりましたね。
E2 サーキットアタック専用仕様をつくるのはしかたないと思うんですよ。でも一般路用のS
Tiは違うモノであるべきだった。ましてふつうのWRXまで、サーキットに引きずられちゃ
いけない。
T1 (中略)競技ベース車両、サーキットアタック専用仕様は、誰が見ても「あれじゃ乗れな
い…」ぐらい極端なものにしておき、一般のユーザーがそのイメージを投影して買う仕様は、
表面的なスペックは同じにするけど、走りはしっかりまとめておくというのが正道だろうね。
(中略)
E1 これでSTiの知的レベルはランエボと並んだ。「低レベルである」という意味で、だよ。
T1 いや、敵にはそこそこ普通に走るGT-Aがある。逆転だよ(笑)。
編 徳大寺有恒さんが『良いスポーツカーだったのに、ただのアンちゃん仕様に成り下がった
!』と烈火のごとく怒ったそうです。
T1 もっともな意見だな(笑)。
PL 今回は諸君の落胆が大きいな。
編 次のFMCに期待、ですか?
E1 いや、もう元に戻らんだろう。(中略)
デ いま大株主のGMが、それを期待しているから、ですか?
PL 違うだろうね。GMに「キミたちのアイデンティティは?」と尋ねられて「ハイッ、4W
Dです」と答えちゃうくらい、自分たちの製品を理解していないだけだよ。  (引用終わり)

サーキットアタック専用仕様をつくるのはしかたない」というのはボクでさえその妥協はあったけど
44Sの初期の狙い(目標性能)で提案というか釘を刺したように
『WRXはモータースポーツのスポーツだ!』では脆弱な体質となってしまうと危惧するのである.
 スポーツ競技に勝つためだけにドーピ
ングして,心も体もボロボロになってしまっては哀しい.
と書いたようになってしまったということなんですね。 残念至極ですな。


それにしても、「もう元に戻らんだろう」とはなんとも辛辣ですねぇ。
しかも、そり理由としてちょっと前まではGMの所為(せい)にする風潮が強かったマガジンXですけど
ここに来て実態を掴んできてスバル側の幼稚さが原因というのが分かってきたような書き方ですね。

 

さてさて、それではその後はどうなったのでしょうか。
なんとF型=鷹目のインプレッサWRX STiもマガジンXで取り上げていましたので紹介しましょう。
あっ、結構長文、というか引用過多なだけですが、まぁ読むのも大変でしょうから
それはまた次回の記事にしますかね。

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