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3代目レガシィ年改車のマガジンX記事があった

前回記事で21Z(4代目スバル・レガシィ BL・BP型)のマガジンXの記事を紹介しました。

マガジンXなどの雑誌は当時はほぼ毎月購読していたのですが当然ながら保管場所に困るので
めぼしい数ページくらいを残して表表紙・裏表紙に挟んだ状態にして他は廃棄していました。
それでも20年分、30年分とかになるとそれなりに嵩張るようになりますし
逆に20年、30年も前の記事となると、というか現役でなくなった今のボクにとっても
保存しておきまた読み返したい記事などはかなり限られることになるでしょう。

ということで、これを機に残しておく記事を厳選してクリアファイルに保管して
他はすべて廃棄することにして整理をしてみました。
マガジンX以外にもNAVI、Tipoなど色々な雑誌がありますがそれらはまだ手つかずですけどね。

そんな整理の段階で、以前紹介の66L(3代目レガシィ)の記事と前回の21Zの記事の間にも
66Lのマイナーチェンジ版も珍しくマガジンXで取り上げられていたので
今回はそれらについてもちょっと紹介しつつボクの感想を書いていこうと思います。

まずは、2000年10月号の「ざ総括 商品評価会議」という覆面座談会の記事になります。
ここでは、66L(3代目レガシィ)の2年目のマイナーチェンジ(C型)と
ランカスターに水平対向6気筒追加ということで開発符号は68Jというのが対象です。

ボクが操安乗り心地のレガシィ系のD1担当に異動したのがこの時の1999年4月で
その後わずか1年足らずのこの時にはAWD-CoEという部署に異動してしまったのですが
ちょうどその間に開発の終盤を迎えていたレガシィがこの68Jということになります。

ただ、前任者(=66Lまで携わっていた人)が既におおよその方向性は決めていたので
残りの課題解決をボクがやり切ったというくらいですし、
逆にその後の市場導入などにはボクは携わってはいないので
このマガジンXでの評価がボクの責任というわけでも逆にボクの成果というわけでもないです。

 

まっともかく、面白そうな部分を紹介していきましょう。
                             (以下引用、改行位置変更)
6気筒エンジンをはじめマジメに取り組んだMC
PL 日本車って、マイナーチェンジすると、もともとよくなかったものがもっと悪くなるとい
うパターンが過半なのだが……。
OL いじりこわしてしまうわけ?
PL というより日本のメーカーの場合、あるモデルを開発した人間たち、つまりコンセプトを
考え、カタチを作り、走りを仕上げた中核スタッフは、それを世に出すと次のプロジェクトに
移ってしまう。後は、そのクルマのコンセプトへの理解度や思い入れの浅い別の人間たちが引
き継いで「市場のニーズ」「お客さまの声」などを反映してマイナーチェンジをする。いうな
れば不具合対策に終始するわけだな。
T 走りのまとめにもコンセプトが要るわけで、ある新車をまとめ上げた段階で、あれこれ不
満は残るにせよ、ひとつのバランス・ポイントに到達しているはずだ。それを「あっちをこう
して」「こっちをもうちょっと」と手直しする程度では、むしろバランスを崩すだけなんだが。
PL そういう意味で、今回のレガシィのマイナーチェンジは、富士重工という会社の真面目さ
を感じさせる。しかもさすがに彼らの基幹車種だから、正面から熟成に取り組んだ印象だが。
                                   (引用終わり)

あはは、ボクは中核スタッフではないということですかね(笑)
確かに68Jでは不具合対策に終始したし「あっちをこうして」「こっちをもうちょっと」でしたが
ボクもバランスのあるエンジニアと自負してるのでバランスを崩すことはしなかったはずですが。
もっともバランス系のスポーツとか人間関係のバランスを取ることは苦手ですけどね(笑)

どういうところが真面目と感じさせたのかは以下のようなとこからでしょう。
                             (以下引用、改行位置変更)
MC後のワゴンとB4には本来の持ち味が戻ってきた
PL ではまず、レガシィ・ツーリングワゴンとB4のマイナーチェンジ全般から話を進めよう。
デ 見えるところはほとんど変わっていないけれども……。
T 乗ると別のクルマ、というほどでもないが、2年前のフルモデルチェンジでこの3代目を
出した時、妙に平均点主義に走って、それまでのレガシィの、しっかりした走りの持ち味がか
なり薄れたし、気になる動きが色々と出ていた。それがかなり直ったね。  (引用終わり)

エンジンの話のところは飛ばして操縦安定性・乗り心地は次の部分になります。
                             (以下引用、改行位置変更)
評価できる人材の存在がよくわかる脚まわりの動き
PL 脚の動きも、かなりリファインされて、欠点がおおよそ解消されたかな。
E3 まずさっき話した、中高速域のリアの細かい横揺れ、直進の落ち着きの悪さがほぼ消えた。
T あれはレイアウトそのものが抱えている問題だから、まだ顔を出すことはあるがね。(中略)
マ 脚を柔らかくしてはいないのに、乗り心地がかなりよくなった感じなんですが。
T とくにGT-B、B4など、ビルシュタインのダンパーを組んであるグレードが、だろう。
前型は高圧ガス封入モノチューブダンパー、それも倒立装着に特有のいやらしさが強く出てい
た。(中略)
路面の凹凸を踏んだ時とか、舵を切ってロールが始まる瞬間、ダンパーが突っ張って、しかも
ガスの圧力が高いものだから、その反力による細かいハネが出る。それがかなり消えたな。(中略)
プ でも、これだけ直してこれた、というのが、スバルの面白いところだ。ドライビングが巧
くて評価もきちんとできる実験ドライバーが何人か、限られた数だけ間違いなくいる。企画・
設計部門が右往左往したとしても、皆が「やっぱりこれじゃまずい」と思えば、そのドライバ
ーたちとしっかり話して仕上げれば、ちゃんとレガシィの味が戻ってくるんだろうな。
E1 トヨタのような大所帯で、自分たちの評価方法が山のようにあり、その平均点を出せばよ
しとするところでは、絶対にできない(笑)。
マ そういう意味で、富士重工は日本のメーカーとしては、希有の存在だ、と(笑)。
PL まぁ、それを続けてゆくことができるかどうか。非常に難しい道だが。 (引用終わり)

ビルシュタインのくだりはその通りであんなものは已めちまえばいいんですけど
2代目レガシィで開発プロジェクトリーダーが鳴り物入りでやり出して役員にもなったので
3代目レガシィでも止めるに止められないということになってしまったんですけどねぇ。

というのも、もともと競技用や補修用で少量生産していたビルシュタインを採用して
思いの外そのグレードが売れちゃったのでビルシュタインに工場新設して大量生産させたんですよ。
だから、もう止めますといったらビルシュタインに投資分を補償しろと揉めちゃいますから。
実際に2代目レガシィ末期で売れなくなってきた時には余ったビルシュタインを
インプレッサに使えないかとかフォレスターに使えないかというバカげた話になりましたし……

もともとビルシュタインは倒立タイプでストラットの横剛性が高いのがメリットで
だからこそ4輪ストラット・サスの2代目レガシィではそのメリットを活かせたのだが
リアサスがマルチリンクになった3代目レガシィではデメリットしかなかったですからね。
なので、ボクはビルシュタイン廃止論を報告書にまとめて提出してましたし。
そんなことするから余計に上から嫌われるわけですが……(笑)

それはともかく、上述のようにボク自身は大したことはしてなかったですけどいちおう携わった車が
狙い通り改善されているところをきちんと評価されていてひと安心というところですかね。

もっとも、3代目レガシィの前型をすぐに買ったお客さんからすると
年改で直すんじゃなくて最初からまともな車として発売しろよな、ということになるでしょうが
そういう意味ではあのリアサスの開発・熟成期間が短か過ぎたとも言えますし
先行開発でしっかりしたものを作るよりも出来あがったものを弄るという部分に注力してしまうという
そんな開発体質に根本的な問題があるということも言えるんですけどね。

そして、「希有な存在」と言われるのは悪い気はしませんが
それを続けていくのは非常に難しい道」というのは身につまされる指摘ですなぁ。

 

さて、3代目レガシィのマガジンXの記事はこれで終わりかと思いきや……
実は3年目年改、つまりD型(A,B,C,D……)の69Hについても少しだけ記事がありました。
マガジンXでこうもマイナーチェンジ車を扱うのは珍しい気もしますが
いちおうこのD型が3代目レガシィではBMC(ビッグマイナーチェンジ、大幅年改)に当たり
外観意匠なども変更してるしランカスターだけでなくセダン、ツーリングワゴンにも
水平対向6気筒を搭載してきたので、むしろ上述のC型を取り上げたのが不思議なんですけどね。

マガジンX、2002年7月号の「ざ・総括。」の中で
「もういちど見直したい注目のマイナーチェンジ&追加モデル」というスピンオフ的な企画で
幾つかの車といっしょにレガシィRS300/GT300が対象とされている記事の部分です。

なお、この69Hはボクはいっさい開発に携わっておりませんのでありからず。。。
といいたいところですけど目標性能案の作成まではやってました。
まぁおそらくそれらはその後に無視されたとは思いますが……
                             (以下引用、改行位置変更)
熟成が進んだ足回りだが気になるフロントヘビー
PL フットワークのほうはどうかな。(中略)
E2 前後とも、サスペンション取付部の車体骨格に補強を加えています。あれがかなり効いた
みたい。(中略)
T1 6気筒を積んで、やっぱり頭の重さはちょっと気になるね。とくに揺れ方、前が動かず、
後の細かい上下動がちょっと多い。                   (引用終わり)

車体骨格の補強の考え方は間違ってはいないものの上述のC型の評価で出てきたような
バランスを崩してしまった例かなというのがボクがちょいと乗った印象でしたね。

特にリアのリアアーム前端リンク取付部の補強はこの記事でも書いたようにこのサスの場合
そこのブッシュを大きく撓ませることによってようやく成立するような難しい設計のもので
そこにはブッシュで吸収しきれない分のいかほどかはボディの撓みで補っている部分もあるのに
そこを補強というか正しくは補剛(強度ではなく剛性ですからね)してしまっては
このサスの悪癖がまた目立ってしまうことになりかねないからです。

案の定、高速・高Gでガツンと負荷を与えた時などの踏ん張りは良くなっていたけど
普通の領域でスーと曲がりたい時に妙にリアが突っ張ってしまい
ハンドルをこじるようにして曲がっているイメージが強くなってしまった印象でした。
そう、バランスを崩してしまったかなというところです。

おそらくこのことと全体的にダンパーの(たぶんピストン速度の遅い領域の)減衰を上げたことで
T1(ベテランテストドライバー)氏の6気筒の頭の重さという印象になったのではないかと思います。
上述のC型の記事ではランカスターだけとは言え6気筒の頭(フロント)の重さは指摘してないしね。

それから、足回りだけでなくスバルの車造りという観点で以下のように締めくくられています。
                             (以下引用、改行位置変更)
PL スバルの場合は「水平対向エンジンと4WD」なんて表面的なモノではなく、その持ち味
をきちんと仕上げた「走り」というクルマの本質の部分を、買った人々の中に浸透させること
ができている、という日本のメーカーには稀な資質こそ、最大の財産なのだが……。
プ 今の経営者も、また営業部門も、それがわかってない。ただ自動車業界の流行りを追って、
共通化だの、コストダウンだの、販価の切り下げだの、そんな表面的な方策を追っかけている
だけだ。
E1 次の世代でも、スバルから「信じるに足る」クルマが出てくるか、いささか不安にならざ
るをえないな。                            (引用終わり)

確かに経営者も営業部門もわかってないけど、開発部門自身もわかってなかっただろうね。
水平対向とAWDには開発部門も表面的には拘っていたし……
ただ、共通化もコストダウンも販価切り下げもそれはそれで大切なことであって
むしろそれはモノづくりなら基礎の基礎であってその前提でいかにまともなモノを造るかですけどね。

いずれにしても、C型の時とこのD型の時とではまとめ部分はほぼ共通してます。
希有な資質だけどどこまで続くかな、不安だなということですね。
なんとなくこの次の21Zの出来を見透かしていたような書き方ですから
ここまでのスバルのクルマの出来からか会社の体制からかあるいはどこかの噂話からなのか
出どころは不明ながらもなんらかの先行き不安や不穏な気配を感じ取っていたのかもしれないですねぇ。

で、実際に(マガジンX的には)そのようになってしまったわけですからね。

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