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新書「空間は実在するか」を読了

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インターナショナル新書の「空間は実在するか」橋本淳一郎著を読みました。
何やら難しそうなタイトルの本ですが、確かにそれなりに難しい内容でもありました。
帯に書いてある「時間の不思議の先に空間の不思議が拡がる!」と聞いてもピンと来ません。

ただ、その下に書いてある
西田幾多郎は空間即ち時間と言った。
 橋元淳一郎は物質が空間を作り、生命が時間を生み出すと言う。

という部分は、西田幾多郎も橋元淳一郎も知らないけど著者の考え方の主体となっている部分です。

ちなみに、大推薦!の福岡伸一氏とはこの本などボクも読んでいる生物学者です。
この本の中でも動的平衡の考え方は出てきます。
著者は進学予備校講師でSF作家とのことですが、相対性理論、量子論で宇宙から素粒子から始まり
哲学的な思考から生物学まで出てきて、時間と空間を論じていて、難解だけど非常に面白かったです。

 

先ず本書は「はじめに 空間論事始め」の冒頭から以下のように始まります。
                                  (以下引用)
 時間と空間は我々の世界の基本的な枠組みである。
 アリストテレスの自然学から現代物理学まで、時間と空間はこの宇宙の森羅万象を存在
たらしめている「器」と考えられてきた。
 しかし、そのことが、時間と空間が他の何よりも確実な存在、すなわち実在であるとい
うことにはならない。それどころか、時間と空間はイリュージョン(幻影)であるという
ことを、読者諸氏は本書の第3章まで読んでいただければ、知ることになるだろう。
                                 (引用終わり)

ここでその第3章の内容を紹介してしまうとネタバレになってしまいますから……
というか難しい内容を簡潔に紹介なんて出来ませんから興味のある人は本を買って読んでください(笑)

ところが、「おわりに 時間と空間を超えて」の冒頭には次のように書かれています。
                                  (以下引用)
 「まえがき」で、本書は自由な発想による、ミンコフスキー空間に依拠する空間論である
と銘打った。しかし、本書を読み終えられて、これは空間論というより時間論ではないの
か、と思われた読者もおられるのではないだろうか。(中略)
 それには理由がある。
 空間を語るより、時間を語る方が易しいのである。(中略)
 また、空間と時間は密接に結びついている。それゆえ、時間を語るとき、我々は知らず
知らずのうちに空間についても語っているのである。         (引用終わり)

ということなので、ボクも本書を読み終わって、これって時間論じゃないと思ったひとりですが
それが間違った理解でもなかったということでホッとした次第でもあります。

ところで、上記に出てきた「ミンコフスキー空間」という言葉ですが、これはボクも初耳でした。
                                  (以下引用)
 相対性理論によれば、我々はミンコフスキー空間と呼ばれる時空に住んでいる。ふつう
我々が空間だと思っているのは、中学校の数学で学ぶユークリッド空間である。ミンコフ
スキー空間はユークリッド空間とちょっと違う。いや、かなり違う。
(中略)            本書は時間と空間を統一したミンコフスキー空間に関
する思考実験なのである。                     (引用終わり)

と言われても全然理解できないのですが……
                                  (以下引用)
 実数軸と虚数軸でできた奇妙な時空、これを数学ではミンコフスキー空間と呼ぶ。
(中略) ミンコフスキー空間はアインシュタインが相対論というものを発見したときに
初めて創られたものである。                    (引用終わり)

なるほど、アインシュタインの相対論を数学的に記述するために創られた(考えられた)のが
ミンコフスキー空間であり、実数軸と虚数軸でできた時空というわけですか。
虚数・複素数なら高校数学で出てくるし工学でも便利で有益な考え方ですから
なんだか急に分かりやすくなってきた感じもします。

で、相対論もこの実数軸(空間)と虚数軸(時間)として図を描くと簡単に理解できるというのです。
もっとも、実際には空間は3次元なのでそれを簡略化して1次元の実数軸として図に描くのですけどね。
これまた、図が無いのにそのことを説明するのも難しいので割愛させていただきますけど
光速に近い速度で動いているモノは時間の経過が遅くなるという相対論の話は
図では実数軸と虚数軸を直角三角形の斜辺で表されるのでピタゴラスの定理から計算できるのですが
三角形の高さに当たる時間は虚数軸なので2乗するとマイナスになってしまうのがミソですね。

今まで相対論についてこのように説明されているものに出逢ったことがなかったので
非常に新鮮でかつ分かりやすくて感動してしまいましたよ。

 

それから、高校でもエントロピー増大の法則は学んだと思うのですが
これは同時に時間の不可逆性を言っているわけです。
でも、相対論や量子論では時間は完全に可逆的で、過去も未来もないわけです。
今までそれに何の疑問も持たなくてそういうものだと思い込んでいたけど考えれば不思議です。

なので、著者は「生命は負のエントロピーを食べる」ものであり
それ故に帯にあるように「生命が時間を生み出す」ということにつながってくるというわけです。
と、ちょっとネタバレ的なことも書いてしまったかなorz

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