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2代目フォレスター年改車のマガジンX記事も

前回までの記事で21世紀初頭(2000年から2005年頃まで)のスバル・レガシィ
68J=3代目のマイナーチェンジC型、69H=D型および21Z=4代目フルモデルチェンジについて
雑誌マガジンXの覆面座談会の記事を引用しつつその頃のレガシィを振り返ってみましたが、
ではレガシィ以外のスバル車はどのように評価されていたかということで
今回は2代目フォレスター(88A)のビッグマイナーチェンジD型についてです。
※開発符号は分かりません、まったく携わってないので。
 88A、89W(X,Y,Zは不使用)、81V(0は不使用)、ときて82Uか82Tかな?
 UはVと紛らわしいから不使用だったかな。ここでは82Tとそういうことにしますかね

2代目フォレスターの初期型(A型)については既にこの時にこのブログで取り上げていますからね。
今回記事でもその時と同様に初代フォレスターをかなり持ち上げてくれてるので少々こそばゆいのですが
それだけでなくスバル車全般やクルマの開発のやり方など面白いことも話題にしているので
ちょっと長めの引用となりますが、まっお付き合いいただければと思います。

なお、今回のはマガジンXの2005年6月号の「ざ・総括。」ではあるんですが
語る人はT1=ベテラン実験ドライバーとエ=エンジニアリング・コンサルタントの2人のみで
さすがにマイナーチェンジ車らしい手抜きというかあっさりした構成となっています。

では、さっそく引用していきましょう。
                               (以下引用、改行位置変更)

ニュル詣での功罪 (前略)
エ 彼らは全開性能じゃなくて一般道の乗り味を大事にするでしょ。試作車で一般道を走り込む。
だからスクープされちゃうけど(笑)。
T1 もちろんニュルブルクリンクも走るんだけど、下りのS字コーナーで縁石から縁石へ飛ぶよ
うな走りはしない。やってみても、それをセッティングに反映させたりしない。発散系の動きのチ
ェックぐらいにとどめる。ところが、ニュルにやってくる日本のメーカーはスゴい。カミカゼなん
だよ(笑)。
エ そうやって走らないと、ドイツまで出掛けてテストする価値を認めてもらえないと思っている
からでしょ(笑)。あとはニュルのタイムを発表するから、スペック・マニアを喜ばせるためには
縁石から縁石へと飛んでみせる。
T1 ラリーカーのチューニングじゃないんだからさ。いいかげんにやめればいいと思うんだけど、
いつも頭の中は全開(笑)。                        (引用終わり)

フォレスターの評価なのにいきなり冒頭からニュルブルクリンクの話が始まってしまっています。
82Tはニュルブルクリンク詣でをして開発したわけではないでしょうから???ですけど
おそらくスバルの開発本部で一部でニュル・プロジェクトみたいなのがあるのを噂で聞いていて
そのことについて揶揄しているのかと思いますけど、どうなんでしょうかねぇ。

82Tの操安乗り心地の評価は以下から始まっていきますが
なんだかほとんどが79V=初代フォレスターの話に終始してしまってる感じです。
                               (以下引用、改行位置変更)
T1 手段としてはね。今回MCしたフォレスターは、リバウンドスプリングを使ってストローク
制限してる。ロールをあるところで機械的に止めている。コーナーを曲がるたびにふらーと揺れる
よりは、適当なところでストロークを制限するほうがシャキッとする。一般的にはそういう走り味
のほうが好まれるよね。
エ 初代フォレスターが登場したとき、アンタは全天候戦闘機だ!って言ったよね、たしか。
T1 ストロークの長いサスペンションを自由に使って路面とコンタクトしてくれるし、エンジン
はトップエンドのパワーはないけど低速トルクは厚い。280psなんていらないことを実証して
くれた。しかし、ヘタすると峠道ではインプレッサより速いしラフロードも走れた。
エ ロールは大きめだったよ。インプレッサのプラットフォームで車高を上げたから、サスペンシ
ョン・ストロークは増えたけどね。
T1 あれは路面なりにロールさせる足だったよね。ダンパーもちゃんと初期に減衰の出るタイプ
が付いていた。
エ オレの腕では、高速高G領域であのロールが出ると、ちょっと怖いんだよ。一般的にもそうい
う声が多かったんじゃない? だからMCでは足を固めた。
T1 まぁ、どこまでのロールが怖いかは個人差だけど、素直なアシストでロードインフォメーシ
ョンを得やすい油圧パワステが付いていたから、足がストロークしようが、深めの舵を入れようが、
ステアリングのフィールは変わらない。トーションバーのねじれそのものを手で感じるような、サ
ラッとした制御だったから、ロールが怖かったらステアリングとアクセルで戻せたでしょ。そのプ
ロセスをちゃんと実感しながら修正できるクルマだった。
エ 初代フォレスターは、アンタが言う「いいクルマ」にかなり近かったわけだ。
T1 ターボの効き方やATには不満があったけど、十分にお勧めできるクルマだった。それがM
Cで乱暴な峠仕様みたいな味が入ってきた。FMCで登場した2代目は、さらにワケのわからない
クルマになっていた。あの時点でオレは諦めたが、今回のMCでは初代の方向に少し戻ったね。
                                     (引用終わり)
エ=エンジニアリング・コンサルタント氏からすると79Vのロールは場面によっては怖いといいますが
T1=ベテラン実験ドライバー氏は絶賛してくれてますね。
以前の88Aの時にも書いたけど79Vのロールは確かに国内で一部の変なお客さんから文句は出たけど
北米・欧州・豪州など世界的にはまったく問題視されなかったし
うるさかったのは国内というより社内ばかりという感じでしたけどね。
なので、担当者が変ったらダンパーを固めたというところなんだと思います。詳細は知りませんが(笑)

ちなみに、「ダンパーもちゃんと初期に減衰が出るタイプ」というのはちょっと誤解されやすいのですが
この記事でも書いたように79Vでは初期減衰が出る機構も何もない超格安の普通のダンパーでしかなく
それを足をスムーズに動かすことで摩擦でなく素直に減衰力を発揮させるようにしただけのことです。

ただ、T1が言う「ロールが怖かったら……戻せたでしょ」というのが正にボクが狙ったところで
ロールをグラッとさせちゃうような人は運転がラフでヘタな人なんだから
そういう人にはあるところで怖さを感じさせないと危ないからダメなんですよ、ということです。
怖さを感じても車両自体は安定してるし怖ければそれ以上は無茶しないですからね。

そして、そのためにはステアリングフィールもとても重要で、これまたT1が言う
トーションバーのねじれそのものを手で感じるような」とはボクが非常に拘ったところです。
こういうところまでちゃんと分かって評価してもらえると本当に素直に嬉しいですねぇ。

それにしても、一般的な自動車雑誌はたいていは悪いことはは書かないのだけど
新型車が発売されると掌を返したように旧型はこんなに悪かったのに新型は良くなったって書き方しますが
マガジンXはクルマにもよりますけど新型のマイナーチェンジなのに旧型(初代)の良いことばかり
書いていて、肝心の新型車の評価がほとんど書かれていないのは笑ってしまいます。

 

そしてやっとその82Tの評価に入るのかと思いきや……
                               (以下引用、改行位置変更)
エ ステアリングも違和感がある。中立付近に、妙にねっとりした感じがある。トリモチが着いて
いるみたいな反力というか……。
T1 レガシィもそうなんだよ。N(エヌ=ニュートラルの略)付近の軽い部分がないし、Nから
切り込んで行くと微妙に左右の感触が違う。もっとイヤなのは、SAT(セルフ・アライニング・
トルク)が出てステアリングが戻る感触が再びねばっこい。「戻らないものを戻す」感じになる。
エ キャスター角かな?
T1 それもある。最近のスバルはキャスター角を増やす傾向だね。舵を入れる初期で車体の向き
が変わるゲインが大きい。ノーズが勝手に内側に入る。            (引用終わり)

今度はこの時期のスバル車全般というかレガシィの話になっちゃってますね。
確かにレガシィはキャスタ角を増やしてステアリングフィールがおかしくなってるし
それを「トリモチが着いているみたい」というのは言い得て妙ですけど、
この82Tではキャスタ角を増やしてはいないような気がするのですが、ハテ。

ただ、トーションバーのねじりは感じさせず(ねじり剛性を上げ)戻りにダンピングを入れるというのが
当時のスバルのパワステの方向性だったのでこのような評価は不思議ではないですけどね。
そのような風潮の中でボクだけが79Vでまったく違う方向性の設定をしたわけですが……(爆)

で、いちおう、82Tは上質感が備わり、当時のスバルの中では一番まともという評価がされますが
最後のまとめになるとまたまた82Tであることはどこかに飛んで行ってしまいます。
                               (以下引用、改行位置変更)
T1 (中略)レガシィも同じだよ。だんだん作為的になってきた。
エ ブッ飛ばしていないとストレスを感じるクルマということか。
T1 初代フォレスターって何が優れていたのか、スバルでクルマを作っている人たちが忘れちゃ
ったみたいだね。水平対向エンジンによるシンメトリカル・レイアウトとかAWD(オール・ホイ
ール・ドライブ)だとかは手段に過ぎない。それがもたらす結果が大事なのに。
 (中略)
エ それにしても日本の自動車雑誌はレガシィ絶賛だよね(笑)。
T1 もちろん悪くはない。高速高G領域とか、ボディと足のしっかり感とか、そこはさすがにス
バルだ。しかし、一般ユーザーはテストコースやサーキットを走るわけじゃないでしょ。以前のポ
ルシェ911やフェラーリ353がなんでスゴイかと言えば、渋滞にハマっていても、あのクラッ
チのスムーズな感触とか、吸い込まれるようなシフトとか、とにかく正確で、まるで自分の手足の
先にタイヤがあるかのような一体感を感じられるからだとオレは思う。速度にかかわらず操作感が
一定で、無駄のないマシーンだけが持つオーラをいつも感じられた。だから無理してでも買うし……
オレは買えないけどね(笑)……憧れの対象になり得る。
エ 初代フォレスターはそれに近かった?
T1 かなりイイ線だったね。カッコは野暮ったくて内装の質感なんて最低だったけどね(笑)
  (中略)
エ STiのシャコタンだけはやめたほうがいい(笑)。これ以上ストロークを詰めちゃダメだな。
T1 同感。
エ (中略)与えられたマシンで最高の走りをしなければならないのはレーサー。しかし一般の人
は違う。そこを実験部門に理解してほしいね。
T1 オレたちがここで文句を並べていることは、普段、実験部が無視している領域の話しがほと
んどなんだ。もちろん、ちょっとした高速領域で破綻しかけるクルマもあるけどね……。しかし、
ちゃんとやってるメーカーはあるし、大多数の欧州車はダンパーと足にコストをかけているから、
日常領域の走りでストレスがない。違法速度でブッ飛ばして、「ああ、楽しかった」では、クルマ
は進歩しない。それをスバルに言っておきたいね。              (引用終わり)

またまた、79V絶賛と21Z批判(皮肉)となってしまってますね(笑)
STiのシャコタンをやめた方がいいというのはこの82Tのことですけど。

まっ、79V開発に携わったボクにとってはポルシェ911やフェラーリ353を引き合いに出されても
ピンと来ませんけど「かなりイイ線だったね」と言われれば悪い気はしませんが
何度も書くように社内的には79Vが走りの優れたクルマという認識はこれっぽっちもないので
忘れちゃったもなにもないんですよねぇ~。

そして、最後に伏線回収というか冒頭のニュル詣での功罪ということと繋がってるわけですな。
ただ、この82Tが当時のスバル車の中では一番まともだったと評価されたのは
そのニュル詣でをしなかったからというよりも良い意味で適当に扱われた車種であって
21Zのように大勢で寄って集っていがみ合って開発しなかったからなんだと思いますけどね。

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コメント

いつも楽しく読ませていただいております。車とバイク好きの50代のオヤジです。
特にスバル関連(車)の記事?を楽しみに毎日ブログをチェックしております。
他社(他車)の批判はせず、ご自身の経験で書かれておられる内容なのでとても面白く不快にもなりません。若いころは雑誌の提灯記事を鵜呑みにしてましたが、今はネットでいろいろな情報が手に入るので便利になりました。
これからも面白い記事を更新してください。応援しております。

投稿: 車とバイク好きの50代のオヤジ | 2021-09-30 09:16

>車とバイク好きの50代のオヤジさん

どうもはじめまして。
応援ありがとうございます。励みになります。
ほんとうは昔話ではなくて今の話をした方が良いんでしょうけど
もう最新技術に疎いですし最近のことを書くといろいろ支障もありますしね(笑)

投稿: JET | 2021-09-30 09:56

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