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単行本「田舎のポルシェ」篠田節子著を読了

普段はあまり小説は読まない方ですし読むとしても安い文庫本の場合がほとんどなのですが
珍しく単行本の小説をしかも通販で購入して読みました。

B210503_13 
文芸春秋の「田舎のポルシェ」篠田節子著です。
そうまでして買ったのはこのジャケットから一目で分かるようにスバルサンバーが登場するからです。
実際に小説内では単なる「軽トラック」としてしか書かれてなくて
“スバル”とも“サンバー”とも年式も“富士重工製”かどうかも明記されてませんが
リアエンジンリアドライブ、田舎のポルシェだ」と喋る場面が出てくるので
ジャケットの絵の通りの富士重工製の最終型スバル・サンバーということでしょう。

ただ、世間的には「田舎のポルシェ」ではなく「農道のポルシェ」と謂われることが多いのでしょうが
まぁこの小説ではストーリー全体を通して「田舎のポルシェ」としたのだと思います。
いずれにしても、実は個人的にはサンバーをこのような〇〇のポルシェというのは好きではありません。
そこにはもちろんネガティブな意味合いはほとんど含まれていないというか
むしろポルシェという高性能スポーツカー並みに優れているという褒め言葉としてもありますが
ただ単純にRR=リアエンジン・リアドライブという共通項があるからという面もあるでしょう。

でもただそれだけのことです。レイアイトがたまたま同じなだけのことです。
目指している機能も対象としているお客さんもその使用環境もポルシェとサンバーは全く違います。
サンバーをポルシェと並べること自体、サンバーにとってもポルシェにとっても失礼な話です。
都会人がポルシェに乗るのに対して田舎っぺはサンバーに乗るということでもないし
高速道路(アウトバーン)でポルシェに乗るのに対して農道でサンバーに乗ることでもないです。

そして、富士重工製サンバーは何もRRだから良いというわけでもありません。
少々脱線してしまいますが、何かとメカニズムを取り上げて車のウンチクを語りたがる人がいます。
スバル(の小型車)なら水平対向エンジンじゃないととかAWDじゃないととか
サンバーならRRだからとか4輪独立懸架サスだからとか……
そんなものは手段でしかなく目指した目的でも出来あがった結果でもないんです。
つまり本質ではないんですよ、そんなものは。

なのに、これまたメーカー自らがRRだからとか水平対向だからとか言い出すから困ったもんです。
差別化を図りたいというのは分かりますが、差別化は本質以外の部分で付加価値を出したいからです。
つまり、衒示的(幻示的、みせびらかしの)消費を煽る行為につながっていきます。
それらを全否定はしないけど基本的にそういうのはいわゆる高級ブランドや嗜好品のものであり
スバルの求めるものではないしましてやサンバーが求めたものではないですから。

 

いやいや失礼しました。つい熱くなってしまいました。小説の話ですね。
この小説ではあまり書くとネタバレになってしまうのですが、簡単に言えば
軽トラで岐阜から東京にある実家の田んぼでとれた米を受け取って岐阜に戻るというものです(汗)
軽トラなんて田舎で近所の農作業場に行き来に使うもんだとかからはじまり
故に乗り心地が悪いだのうるさいだの直進性が悪いだのと悪態をつく描写が続きます。

実際にその通りのところもありますが、だけど赤帽サンバーは高速道路を長時間ぶっ飛ばすし
レジャー含めて軽乗用車として使われてもいるんだからそんな書き方しなくたって……
と感じるところも最初は多々ありましたけど
ストーリーが進んで思わぬ展開になっていくにつれてサンバーの本領発揮みたいになっていきます。

ただ、そこにメカニズムの解説もないしこれみよがしのウンチクもありません。
それはボクがサンバーの長所・短所を知っていてそこに意識を向けているから気づくのであって
それらに意識が向いていない普通の人が読んだら別に気づかないくらいの表現です。
サンバーが主役ではなくあくまでも登場人物に焦点があたっていてサンバーは脇役です。
そういうところもサンバーがサンバーらしいところでもあります。
これがポルシェだとどうしても人物よりもクルマのポルシェの方に目が行ってしまいますからね。

楽しめるストーリー展開で最後はちゃんとオチもついて小説としてもなかなか秀逸だと感じました。

 

なお、この本は実際には「田舎のポルシェ」「ボルボ」「ロケバスアリア」の3篇の構成となってます。
「ボルボ」は20年以上前のワゴンとして登場してきますが具体的な車種名は書かれてません。
これも出だしは故障ばかりするボロ車として書かれてますが
最期の方はやはりボルボらしいというかボルボの真骨頂が発揮されるような展開となってます。

「ロケバスアリア」のアリアは日産アリアでもなく謎ですが出てくる車はまぁロケバスです。
特定のブランドとかではないので“らしさ”という点ではなんとも言えないのですが
3篇の中で一番泣けるストーリーはこれでしたね。

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コメント

面白そうですね
普段、小説なんて全く読みませんが、読んでみたくなりました
機会があれば読んでみようと思います
ご紹介に感謝です

投稿: 五条銀吾 | 2021-05-05 20:45

>五条銀吾さん

著者は特に自動車関連の小説に長けているというわけでもなさそうだし
また自動車好きというわけでもなさそうな65歳の女性ですが
それでも登場させる車の本質をよく捉えているような気がします。
ウンチクで頭でっかちになっているというより本質を見抜く力を感じます。
機会があれば読んでみてください。

投稿: JET | 2021-05-05 20:57

JETさんのレビューとコメントを読んで、ちょっと悩みながらも買ってしまいました。オチも気になりますし、なかなか興味をそそる上手いレビューですね。
読みかけの本を読み終わったら、次に読もうと思います。

私もスバル車に対して「水平対向じゃないと」「4WDじゃないと」などというのは違うと思ってます。
サンバーも、RRなのは360からレイアウトを踏襲した結果だと思いますが、よく言われる「リアエンジンなので空荷でも後輪にトラクションがかかる」というのは一理あると思ったり。
レガシィの次に乗ってみたいと思っているうちに、うちのレガシィがダメになるより先に、サンバーがなくなってしまったのは残念です。

投稿: ぶらっと | 2021-05-09 22:56

>ぶらっとさん

このJET-LOGを読んで本を買っていただいてもボクの懐には一切広告費は入りませんので
大袈裟なレビューは書いてないはずですけど……

読み終わって何か思うところがあればまたコメントください。
もしくはぶらっとさんのブログ記事にしていただければ幸いです。

投稿: JET | 2021-05-10 00:33

今頃コメントします。

どっかのメーカーの軽トラは「農道のフェラーリ」だそうですがもうディスコンしてしまいました。

残念。一応「ミッドシップ」でした(笑)

まあ普通のトラックでしたけどね。最後の最後で昨年?変な色を出してましたが。いやエナジードリンク色ではないですけど。どうせなら出せばよかったのになあ。

投稿: TOMO | 2021-05-13 22:25

>TOMOさん

軽トラとしてはミッドシップが最も有利というのがボクの自論です。
RRだとリヤヘビーになるというわけではないし慣性モーメントうんぬんではなく
ホイールベースとリアサスの設計自由度という点でMRの方が有利ですから。
軽バン(1BOX)ならFFが最適というのもボクの自論です。

そういう意味ではアクティトラックとN-VANは理想に近い(近かった)かも。

投稿: JET | 2021-05-14 05:31

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