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新書「フォン・ノイマンの哲学」を読了

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講談社現代新書の「フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔」高橋昌一郎著を読みました。
フォン・ノイマンは天才として有名なのですが、「はじめに」にはこう書かれています。
                                   (以下引用)
 二〇世紀を代表する天才のなかでも、ひときわ光彩を放っているのが、ジョン・フォ
ン・ノイマンである。
 彼は、わずか五三年あまりの短い生涯の間に、論理学・数学・物理学・化学・計算機科
学・情報工学・生物学・気象学・経済学・心理学・社会学・政治学に関する一五〇編の論
文を発表した。
 天才だけが集まるプリンストン高等研究所の教授陣のなかでも、さらに桁違いの超人的
な能力を発揮したノイマンは、「人間のフリをした悪魔」と呼ばれた。彼は「コンピュー
タの父」として知られる一方で、原子爆弾を開発する「マンハッタン計画」の科学者集団
の中心的指導者でもあった。                     (引用終わり)

 

副題にもなっている「人間のフリをした悪魔」とノイマンが言われる理由としては
この本の中では以下のように書かれています。
                         (以下引用、改行位置変更)
 要するに、ノイマンの思想の根底にあるのは、科学で可能なことは徹底的に突
き詰めるべきだという「科学優先主義」、目的のためならどんな非人道的兵器でも
許されるという「非人道主義」、そして、この世界には普遍的な責任や道徳など存
在しないという一種の「虚無主義」である。
 ノイマンは、表面的には柔和で人当たりのよい天才科学者でありながら、内面
の彼を貫いているのは「人間のフリをした悪魔」そのものの哲学といえる。
                               (引用終わり)


ただ、その程度の科学優先主義・非人道主義・虚無主義の人なら
いてほしくはないけどいつの時代でもどこにでもいるし
ノイマンが超天才であるが故にその批判が強まっているとも思えてしまいます。
原爆開発だけでなく生物兵器・化学兵器の開発だって人道的には非難されるべきですが
でもそんなこと言い出したら戦争そのものが非難されるべきものでしょう。

日本への原爆投下についてノイマンは戦争を終わらせるために投下すべきと主張したそうですが
それだって原爆投下が、しかも2発もの投下が戦争を早く終わらせて
結果的にアメリカ兵だけでなく日本兵や日本の民間人の命を救ったみたいな詭弁を
心底信じているアメリカ人も多いわけですからそんな彼らも悪魔と一緒ですよね。

とはいえ、同じく原爆開発に加わったアインシュタインについては以下のように書いてあります。
                                   (以下引用)
        原爆が投下された後の日本の悲惨な状況を知ったアインシュタインは、
深く後悔し、日本人として初めてノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹と会った際には、
「科学者として日本に申し訳ないことをした」と、泣いて謝っている。  (引用終わり)

後で謝っても……ではなくて、やはりはるかに人間らしいと感じるのは確かですね。
ちなみに、湯川秀樹は原爆投下のことを事前に詳しく知っていて知人に避難を勧めていたようです。

 

と、ここまででもまだノイマンを生粋の悪魔とまで言えるのかという感じですが
さすがに以下のくだりになるとそら恐ろしさを感じます。戦後の話です。
                                   (以下引用)
 さらに、ノイマンは「ソ連を攻撃すべきか否かは、もはや問題ではありません。問題は、
いつ攻撃するか、ということです」と主張し、「明日爆撃すると言うなら、なぜ今日では
ないのかと私は言いたい! 今日の五時に攻撃すると言うなら、なぜ一時にしないのかと
私はいいたい!」と述べたという。
 このインタビュー記事によって、ノイマンは「マッド・サイエンティスト」の代表とみ
なされるようになった。スタンリー・キューブリック監督の風刺映画『博士の異常な愛
情』は、この発言のノイマンをモデルに、「ストレンジラブ博士」を生み出したわけであ
る。                                (引用終わり)

ソ連がまだ原爆開発できてないうちに予防戦争として原爆投下して叩いてしまおうという話です。
さすがにこれは恐ろしすぎますし、その是非の議論をすっ飛ばして
「いつやるか?今でしょ」って林修じゃないんですからやる前提で話してるのは悪魔ですな。

ただし、マンハッタン計画に参画していた物理学者のクラウス・フックスが実はソ連のスパイで
原爆情報をソ連に流していたのでその頃にはソ連はすでに密かに原爆保有していたから
ノイマンの主張のように先制攻撃していたら人類滅亡に至っていた可能性があるわけです。
そなるともう単なる悪魔ではなくサタンですな。

 

なお、本書ではノイマンの原爆開発だけを取り扱っているのではなくコンピューター開発なども含め
様々なノイマンの功績や私生活などについても話が展開されています。
コンピューターという点では現代のコンピューターはほとんどがノイマン型と呼ばれるので
ノイマンが世界初のコンピュータ開発をしたのかと思ってましたけど、
実はイギリスのアラン・チューリングの方が先だったのです。

チューリングは今でこそ先の大戦中に敵国ドイツの暗号機エニグマを解読したことで知られてますが
イギリスはそれを1970年代まで完全に機密保持したためそれまで世に知られなかった人です。
この辺りはノイマンとチューリングを対比させながらその人間性にまで迫っているので
読んでいてなかなか楽しめる内容になっていました。
が、盛りだくさん過ぎるのでここでの紹介は割愛したいと思います。

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