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新書「人新世の『資本論』」斎藤幸平著を読了

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集英社新書の「人新世の『資本論』」斎藤幸平著を読みました。
2冊になっているのではなく左が表表紙(表1)、右が裏表紙(表4)です。
といっても、黒背景のところは全面帯みたいになっていて本当の表紙はその中にありますが。

で、タイトルの“人新世”って何?ってのと、“資本論”も資本主義経済について書いてるの?
というくらいしか思わなかったけど
帯の上の方に“脱成長経済”って書かれてあるのに目が留まって買ってみました。
ただ、帯の他の部分にも目を通せば、“人新世”が何を意味しているのかも分かるし
帯の裏面も読めば“資本論”はマルクスの「資本論」を意味しているのも分かりますね。
買った後で、さて読むかとなってからやっとボクは気付きましたけど……

そして、“人新世”とはノーベル化学賞受賞のパウル・クルッツェンという人が名付けたそうですが
地球が地質学的に人類が地球を破壊しつくす年代に突入したことを意味しているそうです。
つまり、人為的温暖化説などになんの疑問も持たずにそこからスタートしている点で
以前読んだ「環境問題の嘘 令和版」などからするとちょっときな臭い気がしますし
そこから資本主義、新自由主義を完全否定してさらにマルクスの資本論が出てきても
今さらソビエト・コミンテルンの極左共産主義かよとうんざりしてしまいます。

しかし、最後の「おわりに」にはこう書かれています。
                                   (以下引用)
 マルクスで脱成長なんて正気か――。そういう批判の矢が四方八方から飛んでくること
を覚悟のうえで、本書の執筆は始まった。  (中略)
 それでも、この本を書かずにはいられなかった。最新のマルクス研究の成果を踏まえて、
気候危機と資本主義の関係を分析していくなかで、晩年のマルクスの到達点が脱成長コミ
ュニズムであり、それこそが「人新世」の危機を乗り越えるための最善の道だと確信した
からだ。                              (引用終わり)

つまり、マルクスの晩年の思想は共産主義ではなかったし無論資本主義でもなかったというわけです。
ですから、著者の主張も冷戦時代のソ連などの共産主義に回帰しろとかではないわけです。

 

かといって、現在の科学技術をすべて否定して産業革命以前の生活に戻りましょうというわけでもないし
逆に将来の科学技術によって(人為的かどうかは別として)地球温暖化などの環境問題を
解決できるという夢を肯定しているわけでもありません。
なにせ、冒頭の「はじめに」では以下のように書いているのであるから。
                                   (以下引用)
 温暖化対策として、あなたは、なにかしているだろうか。レジ袋削減のために、エコバ
ッグを買った? ペットボトル入り飲料を買わないようにマイボトルを持ち歩いている?
車をハイブリッドカーにした?
 はっきり言おう。その善意だけなら無意味に終わる。それどころか、その善意は有害で
さえある。   (中略)
 かつて、マルクスは、資本主義の辛い現実が引き起こす苦悩を和らげる「宗教」を「大
衆のアヘン」だと批判した。SDGsはまさに現代版「大衆のアヘン」である。
                                  (引用終わり)

この点では著者は人為的地球温暖化をまったく無批判に受け入れているわけではないようです。
なので、太陽光発電など再生可能エネルギーやEVも全否定はしていませんが
それらを製造するためのレアメタル採掘も含めたエネルギー消費の問題や
それによる新たな環境破壊や格差問題などについても多面的に捉えられています。

ですから、資本主義のもとでの科学技術の発展では環境問題は解決しないと断定するわけですし
資本主義は成長しないかぎりは成立しえないので持続可能とするには脱成長しかないというわけです。

ボクなんかは早期リタイアしてからは個人的にも社会的にも脱成長してますから(笑)
というのは冗談だけでなく、何故GDP増大、インフレ、株価上昇などが正義で逆は悪なのか、
ということを素朴な疑問としていだくようになっているので
この脱成長が実現できるのならある意味で魅力的に感じるのも正直なところです。

けれども、著者は今の新自由主義、資本主義の制度の元では絶対に脱成長は不可能と言い切ります。
では、どのようにして脱成長を実現するのか?
まぁこの答え(著者の主張)を書いてしまうとネタバレに近くなってしまうので止めておきます。
興味のある人はこの本を読んでみてください。400ページ弱あるので読み応えありますが。
最初はきな臭いと思ったけど、読み進めるうちになるほどと思うことがたくさん書かれてます。

 

本論とは少しずれますが、へぇーと思ったフランスの気候市民議会の例を紹介します。
                                   (以下引用)
 市民会議の特徴は、なんといっても、その選出方法である。選挙ではなく、くじ引きで
メンバーが選ばれるのだ。ここに選挙で選ばれる国会との決定的な違いがある。もちろん、
くじ引きといっても完全にランダムではなく、年齢、性別、学歴、居住地などが、実際の
国民の構成に近くなるように調整される。               (引用終わり)

民主主義というと選挙とセットであると思い込んでいたボクとしてはハッとさせる話ですね。
地方自治体の議員とか国会でも衆議院なんかは選挙でなくともくじ引きでいいんじゃないかとね。
重要な政策をくじ引きで選ばれた議員が決めるなんて……という考えもあるでしょうが
人の生死にも関わる裁判員制度の裁判員だってくじ引きで選ばれるわけですし。
また政策決定にも影響する世論調査だってある意味くじ引きで選ばれた回答者の意見ですから。

少なくとも選挙を辞めれば次の選挙のための無意味なパフォーマンスや派閥争いなどなくなりますし
巨額の選挙費用やら公職選挙法違反やらとも無縁になるでしょうからね。
まっ、議員さんたちが今の利権にしがみつこうとするでしょうから
クーデターでも起きない限りそんな制度にはならないでしょうけどね。

なお、著者は「完全にランダムではなく」と書いていますけど
こちらの「でたらめの科学」という本で乱数のことを勉強したボクからみたら
それこそが完全にランダムになるようにしたくじ引きということになるのかなと思いますが(汗)

 

ただし、この本では人口爆発についてはまったく触れられていないのがモヤモヤ感が残るところです。
グローバル・サウスの問題がなくなれば自然と人口増加は止まると考えているのかもしれませんが
個人的にはそんな楽観的に考えられないし人類の経済活動の脱成長を目指すのであれば
自ずと人類の頭数=人口も脱成長=人口減を目指さないといけないのではと考えてますけどね。

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