一般道での業務中の事故もカミングアウト
前回記事では(スバル・カテゴリーとしては接待の話に寄り道しましたが)
現役時代のテストコースやサーキットなどのコース上でやらかしちゃった事故をカミングアウトましたが、
今回は予告通りコース上以外の一般道などでの業務中の事故も暴露しちゃいましょう。
なお、プライベートでの事故はこのブログをはじめてからはその都度記事にしてきましたけど
それ以前のものまで遡って晒すのはさすがに抵抗もあるのでやめておきます。
また、通勤中の事故も九死に一生のもありますけど自転車でのも含めてここでは除外しておきます。
すなわち、ここでは業務中の海外・国内出張を問わず一般道・高速道などでの走行試験と
出張時の単なる移動や通勤を兼ねて走行試験をしたものも含みます。
また、テストコース内でもコース上ではなく連絡通路や駐車場での移動も含みます。
ただ、幸いにも海外での事故はなかったのでその点は良かったなと思います。
やはりなれない地だと物損だけだとしても面倒ですし精神的ダメージも大きいですからね。
まず最初に紹介するのは、サンバーの試験車を運転していてオートバイを撥ねてしまった事故です。
この事故直後は、おそらく今までの人生で一番オワタ感を味わい顔面蒼白になりました。
そのくらい衝撃的な事故だったのですが、もう少し詳細に説明していきましょう。
この事故はいつ起こしてしまったのかもうはっきり記憶も記録もないのですが、
5代目サンバーの改良開発に携わっていた時なのでたぶん1990年代前半の頃だったでしょうか。
サンバートラックのリアサスの仕様変更をして操安乗り心地の各種評価をテストコースで終えて
最終的に一般道および高速走行での念押しの確認をしておこうと考え、
でもわざわざ所外に出張するのも面倒だから帰宅する時に回り道して走ればいいかと思い
さらに高速道に乗ると高速料金精算するの面倒だから高速50号線を走ればいいかとなりました。
ちなみに、高速50号線とは北関東(群馬・栃木)の人にはお馴染みでしょうけど
国道50号線の一部の区間で制限速度は60km/hなんだけど流れは80km/h以上
特に夜間になると大型トラックまでも100km/h超えるような速度で流れている道路です。
(当時はまだ大型トラックの90km/h速度リミッターはなかった)
たしか、この時は直属の上司が現場応援(赤字続きのため開発エンジニアが製造ラインに応援派遣)で
不在となっていたので、先輩に連絡だけして基本的には自分だけで判断しての実施でした。
そして、サンバートラックの試験車にバラスト350kg積載してその高速50号線の
片側2車線のうち中央寄りの第2通行帯をぬわわkm/hで走ってたわけです。
そうしたら、第1通行帯の車列の中からオートバイが右ウインカー点滅して車線変更してきました。
目の前ではなかったですけど車速差がそれなりにあったのでみるみる車間距離が縮まりますが
車を一台追い越したらすぐに元の車線に戻る“だろう”と減速もせずさらに車間距離が縮まります。
何せ積載したサンバーなので一旦速度が落ちると戻すのに時間がかかるのを嫌ったんです。
ところが、そのオートバイはいきなりブレーキングしてさらに右に斜行しはじめたんですよ!
もともと車間が詰まった状態でかつ速度があったのにブレーキ踏まれたらあっという間に急接近です。
しかもオートバイは右に寄っていこうとするので、こちらからみたらオートバイが
自分の真正面に向かってふっ飛んで来るかのような錯覚というか恐怖さえ覚える光景でした。
咄嗟に横(右)に避けてもオートバイはさらに右に寄ってくるので、もう避けられません。
実際は本当にアッという間、オートバイがブレーキかけてから1秒もなく、ガーン!と衝撃音です。
かなりの速度差があったのでこの時点でライダーが大きなダメージを受けている可能性大です。
ただ、前方に撥ね飛ばしたような感覚ではなかったので後ろか横の路上で倒れているだろう、
とすると二次災害の可能性が高く特に大型トラックなどに轢かれたら万事休すです。
恐る恐るミラーで後方確認すると暗闇に何かが転がってるのだけ見えました。
そこで、ハザードを点滅させながらバックでオートバイの近くまで戻ってから救出に向かいました。
その方が、二次災害の可能性が低くなると考えての行動です。
サンバーから出ていったら、あれっ、ライダーが立ち上がってオートバイを起こしていました。
運の良いことにというか何故だかライダーは無傷でピンピンしていて
「転んじゃったよー」とか喋ってます。
ボクはなんだか狐につままれたみたいな感じで少し拍子抜けしてしまいましたが
ライダーの方も何が起きたのかちゃんと把握できてないようでした。
ことの真相は以下のようなものでした。
オートバイは50cc原付1種のいわゆるレーサーレプリカってやつでした。
60km/h速度リミッター付ですからぬわわkm/hで走るサンバーとは
最初から40km/h程の速度差があったことになります。
そして、このライダーは追い越しをするために第2通行帯に車線変更してきたのではなく
衝突場所の少し先にある増設されている右折専用レーン(第3通行帯)から
中央分離帯の隙間で右折しようとしたのでした。
しかし、そもそも原付1種は第1通行帯しか走れませんしその先は(二段階でも)右折禁止であり
原付は左の側道に出て地下道を通って右側に行くことが義務づけられている場所なのでした。
このライダーはまだ高校生で免許取って1週間ほどで交通法規もきちんと理解できてないばかりか
車線変更するのに後方確認するとか右折レーンに入ってからブレーキ掛けて減速するという
まぁそのような基本的な運転ルールもマナーも分かっていないライダーなのでした。
そして、サンバーの左ドアの前端というか前面パネルの左端の部分が
原チャリのハンドルバーの右端を引っ掛けるようにぶつかったみたいで
ライダーは直接撥ねられることなくハンドル取られてコケてしまったようなのです。
衝突時の速度差は非常に大きかったはずですがライダーを直撃しなかったのと
ライダー自身は減速して比較的低速でコケたのでほぼ無傷だったというわけです。
むしろ速度差が大きかったためコケたオートバイやライダーをサンバーの後輪で轢くこともなく
結果的にラッキーだったということなのかもしれないです。
それでも、事故は事故ですし物損もありますから警察に連絡してその場で事故見分も済ませました。
で、最終的にはライダーの運転ルール違反が事故原因ということで注意されて終わりになりました。
ボクの方はサンバーにバラスト積んでる理由を聞かれると説明が面倒なところでしたが不問でしたし
事故直後にバックして戻って停止していたので速度超過もしてなかったと判断されたようでした。
もちろん、隠蔽工作するためにバックしたのではないのですが黙っておりました(汗)
ちなみに、事故見分後によくよく見たらサンバーの右後輪車軸のキャッスルナットが削れていて
衝突場所の中央分離帯側の縁石にも一定の高さで長く削られた傷ができてました。
つまり、ボクは車線内でギリギリまで右に避けていたという証ですね。
それでも、原チャリのハンドルを引っ掛けてしまったわけですし
これがあと10cmとかでも避けきれていなかったらと思うと今でもゾッとしますね。
5代目サンバーは軽枠拡幅前のモデルなので次の6代目サンバーになると8cm幅広くなるので
これだけの差でも相当にヤバイことになっていたかもしれません。
やっぱり幅の狭いクルマで良かったです(なわけではないですが)
もっとも、相手の高校生は単に原付でルール違反して車線変更時の後方確認も不十分で
そのためにちょっと接触してコケちゃった、ぐらいにしか思ってなくて、
まさか生死の境目のような状況だったなんて露ほども思ってなかったでしょうね。
というわけで、一歩間違っていたら大惨事になっていたかもしれない事故でしたけど
結局は相手側の過失が大ということで行政的にも社内的にも特に咎められなかった事故でした。
次は……と書きたいところですけど、既に結構長くなってしまったのでこの続きはまた別記事とします。
| 固定リンク
コメント