テストコース上での自分の失態をカミングアウト
ここのところテストコースの話が続いたのでその流れで(?)
コース上での事故について書いてみましょうかね。
ボクは運転下手なので結構たくさん事故を起こしてしまっていて他人のことは言えませんので
あくまでもボクがやらかしちゃった失態だけを書くことにします。
たまにはボク自身のことも暴露しないとフェアじゃないですしね(苦笑)
最初に断っておくと、テストコースでは滅多に事故はおきません。一般道よりはるかに安全です。
確かに、普通の一般道・高速道路では出せないような速度や限界に近い走行もしますけど
それらは極一部の試験部署と時間に限られるからいつもそんな走り方をしてるわけではありません。
一般道よりはるかに密集していませんし、いちおう最低限レベルの運転技能は皆あるわけですからね。
もちろん、煽り運転する輩もいませんし。
※もっとも、高速車優先ですから後ろから煽られる方がルール違反になりますが。
ただ、一般道より安全とは言え、やはり時折り事故は起きてしまいますし
操縦安定性などの実験部員はどうしても限界に近い試験もするので事故る可能性が高くなります。
操安性の実験部員を長くやっていて一度も失敗の経験がない人は少数派かもしれないです。
と、あらかじめ自己擁護を用意しておくわけではないですが……
では、ボク自身の失敗談をはじめましょう。
先ずは群馬のテストコースの高速周回路での事故です。
レガシィの試験車両で官能評価をしていて120km/hくらいでスラローム走行というか
急激に車線変更をしてその時の応答性や後輪の滑り具合などを確認していたのですが
コントロールを失ってスピンし車両後部から周回路内側へとコースアウトしてしまいました。
群馬のテストコースは周回路の内側に耐久試験用の三悪(石畳路、玉石路、ベルジャン路)があり
その時は石畳路で軽くジャンプしてそこを突っ切り内側のガードレールに衝突して止まりました。
幸い、軽いむちうち症状というか肩こりが残っただけで身体は大事には至りませんでしたが
試験車両を廃車にしてしまいました。
全くの新型車の超お金のかかっている貴重な試作車両ではなかったのがまだ救われたところです。
ただし、実はそこにガードレールが設置されたのは事故のほんの数週間前のことで
もしガードレールが無かったら材料研究用の危険物の入ったドラム缶に直撃してたらしく
そうなると大惨事かつ命に関わる問題だったかも知れず、その話を聞いた時は戦慄が走りましたね。
次はSKCの高速周回路での事故です。
ニッサン・(8代目)スカイラインGTS-4の操縦安定性のデータ計測の一環で
180km/hで周波数応答試験をしていた時のことです。
周波数応答試験は100km/hでやるのが標準試験法となっているのですが
この車両は車速感応式の4WS(四輪操舵)や可変スポイラーが装備されていたので
その効果を把握するために車速を段階的に上げていってデータ計測をしていたのです。
そんなこと思いついてやっていたのはボクだけだったみたいですけどね。
周波数応答試験では精度の良いデータを取るために低周波数域つまり
非常にゆっくりした定常に近い状態の操舵の時をしっかり入れることが重要であり
同時にその時の速度をしっかり維持することが肝になるのですが
速度が速くなるにつれて周回路の限られた幅の中で大きくスラロームするのが難しくなります。
また、この車両は国内向けで180km/hで速度リミッターが効きますし
当時の速度リミッターは一度効くとガクンと一旦スピードが落ちてしまうので
速度リミッターが効かないギリギリで走行しなければきちんと計測できません。
いや、最初から170km/hとかまでにしておけば良かったと後になって反省してますが……
で、ひと通り計測を終えてから最後に念押しでその定常に近い大きなスラロームを計測したんですね。
そこで、一瞬速度リミッターを効かせてしまったんです。
そして、一瞬スピードメーターを見入ってしまったんです。
で、ハンドル操作が一瞬遅れて周回路の内側の砂利部分に左前後輪を脱輪させちゃったんですよ。
たら、もうあっちゅう間にスピンして、後ろ向きのまま周回路内側の砂利の空地を大滑走です。
現在その部分には様々な特殊路面が造られてるのですが当時はまだ何も無くて
ただただ砂利の空地しかなかったので幸いにもどこにもぶつからずに済みました。
それでも、180km/hも出していたのでなかなか止まらず
後ろ向きで滑走している時はどのくらい空地が続いていたっけとか溝とか土手とかなかったっけとか
あるいは何かの拍子で転覆になったら計測器が飛んでこなかなどあれこれ考えてましたね(汗)
結局、ぶつからなかったしもうデータ計測はこれで終わりでいいやと思って
そのままテストコースを出て群馬に帰ってきてしまいました。(まだ群馬勤務のころです)
しかし!脱輪してスピンした時に砂利を大量に周回路側にぶちまけてしまっていたんです。
周回路側に砂利をぶちまけたなんて想像もつかなかったのでそのまま帰ってしまったのですが
あとから犯人扱いされてこっぴどく怒られてしまいましたね。反論は出来ませんし。
ですから、これは物損は何もなかったけどボクとしては失態のひとつにカウントしています。
3つめは、と書いていきたいところですが、実はこれだけです。
SKCのハンドリング路などでサーキットではないと言いつつ
それでも試験内容や撮影用などでかなりサーキット的な限界走行はなんどもやってましたけど
ラッキーなことに一度も事故ることなかったです。
あと、強いて言えば、群馬のテストコースでキジを撥ねたことがあるのと
旧JARIでウサギをミンチにしたことがあるのですが、車両はほぼ無傷でしたので
キジさんとウサちゃんには合掌ですけど事故というほどではなかったですね。不可抗力に近いですし。
SKCでは鹿と衝突したなんて事例もありましたけど幸いボクは大型動物との衝突はありませんでした。
テストコースではなくサーキット(レーストラック)走行ということでは
入社当時のヘンテコ部署の時代に筑波サーキット(2000)の第一コーナーでコースアウトして
真横からスポンジバリアにぶつかって車両に細かい擦り傷をいっぱい作ってしまったことがあります。
でも確かその一度切りだったと記憶しています。
プライベートでレースごっこしてた時にぶつけられたことはありますけどね。
他にはまだテストコースと言えるほど整備されていなかった頃の北海道美深の雪上コースでは
何度も雪壁に突っ込んだりスタックしたことはあります(汗)
ただ、コース上で物損にまでなったのはたぶんミツビシ・ランサーEVO.?だけだったはずです。
競技車ベースのグレードでABSすら付いてないというのを失念していて
半凍結路面でブレーキロックからエンストしてそのまま固い雪壁に突っ込んで車両破損に至りました。
完全に運転ミスでしたね。
テストコース上での事故はこんなもんですが
次回はコース上以外での業務中の事故についても白状いたしましょう。
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コメント
こんにちは
自動車の走行試験業務は安全に留意していても危険が付きまとうんですね。
30年以上前ですがオヤブンさんの講演を聞く機会があり、その時はスバルの試験業務で死者が出たことはないと仰っていました。
他社では出ていると云うことだったので危ない仕事なんだな~と当時思ったことを覚えています。
投稿: SUNSUN | 2021-02-27 08:29
>SUNSUNさん
どうも初めまして。
そうですね、スバルでは今も試験業務で死者が出たことはないはずです。
他社でもそんなに多く出ているわけではないですし、
一方で試験業務以外の事故で亡くなってしまった方はもっといるでしょう。
スバルでも帰宅時に近道しようとテストコースを横切って試験車に撥ねられた人が亡くなったことがあったと聞かされました。
ボクが入社前のことですけど。
投稿: JET | 2021-02-27 08:43